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第314話


 「ふぅ………何とか入り込めたけど………結構入り組んでるねー」


 そこはとある洞穴。

 ここなら監視の目が届かないと踏んでやってきたウルク。

 どうやら目論見通りだったらしい。


 「それにしても、三帝の権限って凄いねー。こんな強い人たち護衛につけてくれるんだ」


 ウルクは1人ではなかった。

 名目上、騎士たちのサポートという事になっているが、そうではない。

 彼らは、()()()()()()()()、ひいては彼女の護衛なのだ。


 「我が主人の命である故。此度はお供させていただきます、ウルクリーナ王女殿下」


 真っ白い甲冑を着たガタイのいい男はそう言った。


 「そんな長い名称じゃなくていいのに。まぁ、よろしくねー」


 懐から筒状の魔法具を取り出す。

 この作業には欠かせない魔法具だ。


 「それは………」


 「探知機だよー。これで“遺品”を探すの。特殊な………魔力? まぁそれっぽい似た何かを“遺品”は発しているらしいんだよねー」


 遺品。

 それは、ウルクの目的の成就の為に欠かせないものである。

 即ち、国をひっくり返す為の道具であるということだ。


 「じゃ、 頑張って探してみよっか」










———————————————————————————










 「………貴方達は、思ったよりずっと有名だったのですね」


 そう言えば、ミレアとレイには俺が規格外の力を持っていることは話してあったのだ。


 「前にも言ったが、あんま言いふらすんじゃねーぞ」

 

 「ええ、分かっています」


 「やっぱり大物だったんだね、ケンくん。僕今のうちツバつけとこっかな?」


 ひひと笑う。

 シャルティールは冗談めかして言っているのか本気で言っているのかいまいち分からん。


 「すまない、何か事情があって伏せているとは知らず………」


 「気にすんな。そのうちみんなにはバラすつもりだ。()()()()実績と信用を得るために伏せてるだけだから、これ以上広まらなかったら無問題だぜ」


 数人の生徒にはバレても構わないのだ。

 むしろその方が動きやすい。


 今言った通り、時期が来れば俺の素性を話すつもりだ。

 それが信用の提示に繋がり、えていた信用がより強固となる。

 まだ切り札としては全然有効っぽいから大丈夫だろう。


 「もう結構ここで喋ってたんだが、出撃はまだか? いい加減頃合いだろ?」


 「ああ、そろそろだ」



 すると、1人の騎士がやってきて、ルーティンに出撃の準備をするように言われたことを伝えた。


 「やっと出番か」


 「待たせてしまったな。では、大騎士長の所に向かおう」

 








———————————————————————————










 「お前たちの部隊には洞窟の最下層に向かって貰う」


 「!………」


 えらくデカイ仕事を与えるもんだな。

 最下層からにじみ出ている魔力からして恐らくかなり厄介なのがいるはずだ。


 「こればかりは騎士団のみでは対処しきれん。お前たち学院生はまだ場数を踏んでいない子供だが」


 「「………」」


 ニールとレイは同じようなシラーっとした顔をしていた。

 この2人に関しては実戦経験は10年以上ある筈だ。

 ニールは話を聞いたので間違いない。

 レイも、戦い方を見る限り、武器と戦闘がこびりついたかのように身に馴染んでいる。


 「トップクラスとなると、戦力的にはかなりの物だ。一般騎士を編入するよりずっと成功率が上がるはずだ」


 妥当な判断だ。

 今回来ている騎士の中で、ルーティンはおそらく2番目に強い。

 こいつらは皆その一歩手前くらいには来ており、実戦において、ニールとレイの両名はミレアより強く、ルーティンにも届きうる。


 ニールに関しては覚醒半魔があり、レイも何か隠している様子である事を考えると、ルーティンより強いと思う。


 ただ、今回ニールには覚醒半魔にならせるわけにはいかないというのはあるので、実質一番頼れるのはレイだ。


 「じゃあ、そろそろ出撃するのか?」


 周りの連中が、俺の口の利き方にギョッとした。

 ニールは特に何とも思っていないが。


 特にミレアは、誉ある大騎士長に何て口の利き方を………みたいにこっちを睨みながら言っていた。

 そういえば、ファリスにタメ口利いたときは言葉が出なくなるほど怒ってたので、それと比べるとまだマシな方だろう。


 ルーティンも少し慌てて俺にこう言う。

 

 「ケン………私の時は構わないが、大騎士長にその言葉遣いは………」


 「構わん。この少年はそういう複雑な位置にいる男なのだ。口の利き方なぞ気にせん。それで、出撃だったな」


 「ああ」


 「出撃は今日ではない。最終日にお前たちの出番を用意している」


 「!」

 

 「それまでは好きにしていい。他の部隊の支援をするもよし、訓練をするもよしだ。ただし、最終日の出撃に支障をきたす事だけは許さん。それと、緊急時の時のために監視の行き届いていない場所へ向かう事も禁じる。私からは以上だ。後はルーティンに聞いておけ」


 そう言って、スカルバードは戻っていった。

 

 俺たちは、急な暇が手に入ってしまった。

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