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第295話


 「ハァッ………ハァッ………!」


 殺気にあてられて、呼吸が荒くなってる。

 口ではああ言っていたが、やはり本能は危険信号を出してしまっているらしい。


 「ア、ニキ………」


 ガリウスも汗びっしょりだが、動けないほどではなさそうだ。


 「お、だいぶマシな方じゃねーか。流石に不良やってっと肝も座ってくるもんだな」


 「アンタ………何でそんな………っ、動けるんスか………?」

 

 「前も言ったが、俺は今まで冒険者だったし、殺気には慣れてんだ」


 と、言うことにしておこう。


 「殺気なんざガキの頃からあてられ続けてきたもんだし、この程度じゃ冷や汗の一滴もかかねーな」


 俺はガリウスの肩にポンと手を置く。


 「お前は多分大丈夫だ。寧ろもっと殺気を理解しろ。殺意を学べ。これを体に刻みつけて、生き残れる本能を育て上げろ」


 俺は肩から手を離してニッと笑った。

 ガリウスは相変わらず汗びっしょりだ。

 だが、そんな状態で俺に答えるように少しぎこちない笑みを見せた。


 「やって………みますよ!」


 さて、一足先に終わらせとくか。


 少し気になったので、ミレアの方をチラッと見る。

 こいつも少し影響が出ているようだが、大丈夫そうだ。



 先に行く途中、一番気になっていた人物が立っていたので、声をかけてみる。


 「………お前マジで耐えられンだな」


 ウルクが言った通り、驚いた。

 本当に耐えられるんだな。

 初めた時に殺気を感じないようにいちいち調整したが、どうやら必要もなかったか。


 「うん、暗殺者に追われるような私だから、他の人よりは慣れてるよ。只でさえ、ルナラージャは圧政で、奴隷たちに王族が疎まれてるんだから。殺気くらいじゃ怯まないよ」


 と、本人は言うが、この殺気はそれだけで耐えられるようなレベルじゃない。

 恐らく、逃亡した時からいくつも死線を越えてきたのだろう。


 「お前も大変だな」


 「目的のためだもん。こんな所じゃ立ち止まってられないよー」


 ウルクはゆっくりと足を進める。

 その歩みは、他の者よりも、確かに力強かった。

 決心を垣間見たような気がする。

 心の強い女は嫌いじゃない。


 「じゃ、先行くぞ」






 俺は教師たちのところへと向かった。

 ここまで悠々と歩けているのは流石に俺だけのようだ。


 「………」



 教師陣が訝しげに眉をひそめた。

 そして、何を思ったか、俺にさらに強い殺気をぶつけてきた。


 しかし、反応はしない。

 この程度は誤差でしかないのだ。


 俺は教師たちの目の前に立つ。


 「——————よォ」


 「「っっ………!!」」


 教師たちに歯を見せて笑ってみるが、反射的に殺気を混ぜてしまったせいか、気圧されて少し仰け反っている。


 「恐ろしいガキだな………」


 「そりゃ嬉しい。ま、自信なくす必要はねーよ。アンタら、俺の事情はあらかたファリスから聞いてんだろ?」


 俺がファリスよりも強いという情報はここの教師を含めて数人に知られている。


 「まだ多少疑っていた部分があったが、これは認めざるを得ないな」


 イレーヌは俺にそう言った。


 「我々も集中しなければならないのでな、少しそこで待っていてくれ」


 「合格だ、ケン。合宿も頼むぞ」


 「おう」


 割とスッとクリアした。

 さて、こいつらは何人残るか。










———————————————————————————











 「ハァッ………ぁあ………!」



 「ふーッ………ふーッ………」



 「ぅ………ぐ………」



 威圧の類いのものは、言ってしまえばハッタリに近い。

 心の持ちようで、いくらでも耐えられる。

 しかし、人というものは、そう簡単に割り切れないものだ。

 悪意の類に一度反応してしまうと、どうしても耳に入ってしまうように、一度殺意を向けられると、つい真っ向から向かってしまう。

 自身に向けられた意思に無視をすることができないのだ。



 「………」


 ガリウスは前に立っておる教師を睨みつける。

 どうやら、正面から向かう道を選んだようだ。

 

 「戦う事になれば、殺気なんて浴びて当然だ………………俺様は、そんなモンにどうこうされるつもりはねぇ………!」



 足を進める。

 ケンは合格した。

 あんなに簡単に合格したのだ。

 だったらせめて、足元くらいには及びたい。


 ガリウスはそうやって足を進める。



 「ん………? あの女………もうあんな所に!」


 ウルクは後方のガリウスに気がつく。

 何を思ったのか手をブンブン振ってきた。


 (な………何なんだあの女。頭大丈夫か? つーか途中編入の王族だろうが。そんな根性ついてんのかよ)



 「チィッ………!」



 ガリウスは向かっていく。

 ミレアも既に動いていた。




 脱落者も出ようとしている。

 それでも、ここはこの国の魔法学院のトップの学級なのだ。

 多くの人数が、動き出そうとしている。




 そして————————————












———————————————————————————











 「特科一組、24名。二組、23名。総合科、20名。医学科、10名。技術科、7名。そして戦闘科全員。予想を上回る人数だった。おめでとう。今回の合宿は、この人数で行う。場所は、鱗の泉だ」



 鱗の泉。

 ドラゴン系のモンスターが大量生息する土地。

 水浴びをした竜の鱗が大量に溜まっていることからそう名付けられている。

 年に一回バブルが発生して大量出現するため、魔法騎士団がモンスターの討伐をするのだ。

 周囲には大きな町もあるので、騒ぎに託けて盗賊による悪事が横行するという。


 今回に限り、魔法学院は騎士団と共同で盗賊とモンスターの対処を行う事になった。


 「3日後に現地集合だ。それまでに、しっかりと心を決めておけ」


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