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第291話



 「昼休憩もそろそろ終わりだな」


 ベルが聴こえる。

 10分後に再開だ。


 「んん〜〜………っはァ。私の憩いの時間も終わりか。書類整理ばかりで疲れるんだがなぁ」


 ぐーっと、体を伸ばす。


 「では私は行くよ。面倒な仕事がたまっているのでな」


 ファリスはやれやれと頭を抱える。

 あまりイメージないが、仕事はちゃんとしているらしい。


 「では、頑張れ。もっとも、お前が本気で頑張ってしまうと記録どころではないがな」


 「安心しろ。程々に手は抜く」


 「フ、そうか。じゃあな」


 戻る、かと思ったらファリスは立ち止まって振り返る。


 「そうそう、この測定は合宿の班決めも兼ねてると言ったよな?」


 「おう」


 「だから、今回限りもう一種目増やしている」


 「そうなのか?」


 「さっき増やした」


 自由かよ。

 まあいいけどさ。


 「それでは、本格的に時間がないので私は行くよ。ではな」


 ファリスは自室へと戻っていった。

 なんの仕事かは知らんが、本気で忙しそうだった。

 学院長も大変だ。


 俺は手に持ったおにぎりを口に押し込む。

 さて、午後もテストだ。


 「っぷはぁ………ごちそうさん」


 不自然にならない程度にやる。

 ただし、全員にそこそこ印象に残るような結果を残さねば。


 「程々に、程々に」


 









———————————————————————————











 この後の種目で俺は総合で2位につく結果となった。



 新入りがここまで出来るのが気に食わないのか、敵意をもつ奴が現れて………と言う状況にはならなかった。


 一応、負けて悔しいと思ってそうなやつを持ち上げたりなどして、そう言ったいざこざは避けている。

 元々、そう言う揉め事が面倒で力のことを伏せているのだ。

 こんなところでケンカしては堪ったもんじゃない。


 

 さ、名目上これが最後測定だ。



 「そんじゃ、今度は操作強度を測定するぞー」


 操作強度とは、文字通り操作中の魔力の強度であり、これが高ければ高いほど魔法の効果が強くなり、妨害も受けづらくなる。

 魔法は、威力は精密度が大きければ大きいほど高く、耐久度は強度が大きければ大きいほど強くなるのだ。



 「こいつを使う。見てろよ」




 ファルグが取り出したのは半径30cm程のリングだった。

 リングの内側にはリングを一周して線が入っている。


 「っ………と」



 リングの内側から透明の糸のようなものが出てくる。

 糸はどんどん増えていって、やがてリングの穴を完全に埋めた。



 「この糸の結合の強度は、お前らの操作強度と直結している。緩ければ糸も緩み、隙間ができてそれがどんどんでかくなるわけサ」


 ファルグはリングの上に筒を置いた。

 その中に水を流し込む。

 すると、



 「こ、これは………!」



 リングの下には水は一滴も垂れてこない。

 魔力の糸は一切の隙間がない。



 「水も通さないくらい強度を増せ。今回はこの下に紙を敷いて、破れた枚数に応じてランクを決める」

 


 ファルグは指をパチンと鳴らすと、リングの糸が解け、水が下へと流れていった。


 「カッコつけてんなオッサン」


 そう言ったガリウスに、


 「そう言う年頃だ」


 と、返した。



 「説明は以上。10分後に出来る奴から前に来い」









———————————————————————————











 「ふン………ッ!!」

 

 「おお、なかなかいいじゃねーかガリウス」


 「へへ、そっスか?」


 素直だなぁと思いつつ、普通に感心していた。

 こいつが一位を取れそうな種目は自由度の測定とこの種目だ。

 精密度以外なら他も秀でているが、いかんせん得意不得意というものがある。


 「俺様も一コくらいアニキを超えてみせますよ!」


 「そりゃ楽しみだ」


 拳をコンと合わせる。


 「僕も忘れてもらっちゃ困るな」


 「よう、シャル。えらく自信ありげだな」


 ムフーっと鼻息を立てるシャルティール。

 ものすごい自信ありげだ。


 「当然! 僕は前回この種目で一位だったからね!」


 「あのクソ女が調子悪かったからだろうがアホ女」


 「うっさいバカ!」


 「ンだとこのアマァ!!」


 「あー、ウルセェから下がれガリウス。オメーも煽られてんじゃねーよ」


 と言うか、なんで俺が仲裁せにゃならんのだ。


 「「だってコイツが!」」


 「なるほど。テメーらァ余程鬱病になりてーらしいなァ?」


 「「すみませんでしたァーっっ!!!」」


 深々と頭を下げた。

 と言うのも、こんな反応するのは訳がある。

 入って早々だが俺は教師を1人鬱になるまで追い込んでしまったのだ。

 テヘペロ。


 被害者の名前はステュルク・オバン

 まぁ、適当な授業をしていたので、数十秒で論破して、そのあとダメなところを心が抉れる言い方で言いまくったのだ。

 周りからは、やめて! 先生のライフはもうゼロよ! と言わんばかりの視線を向けられたのだが、一部は嫌いな教師がズタボロにされてにっこりしていた。

 大半が嫌っていたので、思ったより悪印象を与えずに済んだ。



 「あれは恐ろしかったぜ………」


 「あんな毒舌を僕は知らないよ………」


 「だったらケンカすんな。せめて殴り合え」


 あれ? なんか違う?



 と、下らないことをしていたらあっという間に本番が来てしまった。

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