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第262話


 「じゃあ、絶対に言うなって言われているところ以外をちょっとだけ話すけど、絶ッッ対誰にも言わないでね」


 「ああ」


 ウルクはふぅ、と深呼吸した。



 「私は、私の国を乗っ取るつもりだよ」



 国家転覆であってたのか………


 「理由は?」


 「私はあの国のシステムが嫌い。奴隷制も嫌いだし、何より民の苦しみの上で悠々と暮らしている貴族や王族が嫌い。私が同じ王族だってことが許せなくなるくらい」


 命も言っていた。

 ルナラージャは階級制がはっきりと出ている国だと。

 下の者が上の者に逆らった時の罪は重く、誰も逆らおうなんて思えないほどだ。


 「レトやバルドは昔からずっと一緒にいたからついてきてくれたの。奴隷制がどうこうっていうよりは、私を守るためっぽいけどね。それでもついてきてくれたことは嬉しかったんだ」


 「でも、3人じゃ国を抜けるのは厳しいだろ」


 「うん、協力者はいるよ。誰かは言えないけどねー。それはケンくんが仲間に入ってくれたら教えてあげる」


 チラチラとこちらを見ている。

 期待している眼だ。


 「それは保留だ」


 「えー、でも駄目って言ってないだけマシかー。うん、今はそれでいいや。もう聞かないの?」


 「いや、一つだけ。お前が国を出る前に異世界人を召喚したか?」


 「え? なんで知ってるの?」


 「その異世界人とこの間接触した。天崎 命ってやつだ」


 ウルクはうーうー唸りながら何かを考えている。


 「ミコトちゃんかー。それはキッツイなー………」


 淡々とそう言っている。

 驚きがないあたり、こいつもだいぶくぐってる。


 「まぁなんでもいい。ただ、そいつら多分、お前を殺しに来てるぞ」


 「あー、やっぱし? あの人の事だからすぐ勘付くだろうとは思っていたけど、もうこっちに送り込んでるんだねー」


 驚くどころか納得していた。

 あの人とは国王の事だろうか。

 だとしたら、飛んだ父親だな。

 

 俺も、狂った親を持ったからよくわかる。



 「まぁ、お前の素性が広まらない限り、簡単にはこの学園に入ってくることはないだろうぜ」


 「そだねー」


 とは言え、俺が教えたせいで若干早まるかもしれないので、そこには罪悪感がある。

 流石に知らぬ存ぜぬってわけにもいくまい。

 それに、こいつには亜人奴隷達の事で借りもあるしな。


 「万が一………」


 「ん?」


 「万が一追っ手が来たら撃退くらいはする。今はこれでいいか?」


 「うん、よろしく!」


 








———————————————————————————












 「ふぅ、今回は短かったですね」


 ミレアが会議を終え、寮に戻ってきた。


 「おかえりー。早かったねー」


 「ええ、今回の招集は簡単な会議だけでしたから………あれ? 制服?」


 ウルクは制服に着替えていた。

 というのも、ちゃんと理由がある。


 「お、帰ってきたな。悪りぃが一緒に来てくれ、って、そんな露骨に嫌な顔すんな。なんか歓迎会みたいなのしてくれるらしいからお前らも呼べってファリスに言われたんだよ」


 「学院長と言いなさい。失礼ですよ」


 「へいへい。つーかお前俺には慣れてきたな。拒否反応みたいなのは無いの?」


 「そこまで酷いわけじゃありません。今では触られない限り攻撃しなくなりました」


 触ったら攻撃するってことか。


 「会長として、男子生徒の相談も受けねばなりません。だから、だんだん慣れていけるように練習を——————」


 俺は一瞬で移動してミレアの拳の上に手を置いてみた。


 「レッツ練習」


 「いっ、イヤアアアアアアアア!!!!!」


 無詠唱強化からいきなりフック、アッパーの2コンボ。

 一般生徒にしたら死ぬぞ。


 「わ、私に触らないで下さい! 死にますよ!」


 「でも、今のは結構抑えれてたよね?」


 「今のでか!?」


 「酷い時はいきなり無詠唱のレールガンらしいからねー」


 ヤベェ………死人がでるぞ、それ。


 「お前よくそれで会長に選ばれたな」


 「私もそれが気になってレイくんに聞いて見たんだけどねー、ミレアちゃんは女子生徒に絶大な信頼を寄せられていて、触りさえしなかったら男子生徒の相談も聞いてくれるって。特に男子はその冷ややか目がたまらないってよくわかんないことを………」


 「あー、わかったわかった。マゾ野郎どもからの人気絶大なんだな」


 「あと美人だからって声も多いっぽいよ」


 なるほど。

 普段から男子生徒をしばき回っているレイだからここまで知っているのだろう。


 「何故でしょうか………釈然としませんね」


 「あ、どうでもいいけど行こうぜ。腹減ったし」

 

 「そうだね。学院長待たせちゃうよ、ミレアちゃん」


 「それはいけませんね。急ぎましょう」


 そして、俺たちは歓迎会に向かった。


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