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第258話


 「やっほー、君が噂の特科生君かな?」


 近い。

 俺は半歩下がって答えた。


 「ああ。聖 賢だ」


 「ほうほう、ケンくんって言うんだー。あ、私の名前はアリアちゃん、ですっ!!」


 キメポーズのような格好を取ってそう言った。

 なかなか癖の強いキャラである。


 「みーたんが認めた男の子と聞いて参上しちゃったん、だ・け・ど………人相悪いね!!」


 「余計なお世話だ!」


 目つきが悪いせいで、向こうでは子供にも泣かれた。

 こっちの子供は冒険者とか見慣れているからか、俺をみてなくようなやつはいない。


 「いやー、メンゴメンゴ。本当に何でかなーと思っんだよ? みーたん男の子が近づくだけで目が死んじゃってるからねー。ま! 何にしても面白い子が入って来てくれてアリアちゃん的には嬉しいよ。もっとも、あっちの人達にとって、1組に強い子が入るのは喜ばしくないだろうけどね」


 「あっちって、第二生徒会とやらか?」


 「ほよよ、もう聞いてたんだ。うん、そだよ。んでもってこっちにとってはラッキーなんだー。君たち7()()が入ってようやく同じ人数になるからさ」


 7人程度ではあまり誤差はないと思うが、まぁ、対抗戦があるらしいので、そこんところはやはり人数を揃えておきたいところだろう。


 ん?


 「7人?」


 「7人」


 俺らを合わせて4人だ。

 という事は、


 「俺たち以外にも転入生がいるのか?」


 「あ、そっかそっか。あの子たちとはまた別だもんねー。アリアちゃん失敗!」


 「この前、転入生が3人入って来た。お前たちとは別のだ」


 イレーヌはそう言った。


 「アンタはここの教師か?」


 「イレーヌだ。口の利き方に気をつけろ転入生。氷漬けにされたくなかったらな」


 なるほど、氷属性が得意な感じか。

 多分担当教師みたいな感じなのだろう。

 だが、得意だったとしても俺には関係ない。


 「んじゃ、されてもいいからこのまんまで」



 イレーヌはピクリと眉をひそめた。

 アリアが俺の隣で苦虫を噛み潰したよう顔をした。


 「………いいだろう。望み通り指導して——————」



 イレーヌが氷二級魔法【絶対零度】を発動しようとした。

 なので、



 「ほいっ」

 


 パチンと指を鳴らすと同時に、魔法の構築に邪魔を入れた。

 すると式が狂い、魔法の位置がずれ、



 「!?」



 俺の数メートル後ろで発動した。


 「構築が遅い。ちゃんと詠唱してりゃあ俺も邪魔できなかっただろうな。その前にアンタが凍ってただろうけど」

 

 これは、無詠唱の数少ないのデメリットだ。

 魔法の構築には、種類、発動方向又は地点、規模などを決定する必要がある。

 詠唱はこれらの自動化であり、方角さえ決めればあとはやってくれる。

 そこに他者の干渉は不可能だ。

 そもそも他者の魔力を弾く性質も持っているのだから。


 しかし、無詠唱や詠唱短縮は妨害が可能。

 相手が術式をある程度完成させる前に邪魔を入れると式が狂う。

 作成途中の魔法には所謂所有権のようなものがないので、他人の魔力でも反応するのだ。



 「くっ………学院長の言うことはまんざらデタラメでも無いらしいな」


 「ちなみに何て言われてんだよ」


 「私より強い、と仰られていた」


 あのおばさん、そんな簡単に言っているが、それがどれだけとんでもない事実なのか理解しているのか?


 「それ程の力………特科でも持て余すぞ」


 「だろうな。だから黙っといてくれよ。いきなり有名になりたいわけじゃねーから。わかるだろ? 強大な力ってのは軋轢を生む。特にエリートばっかのこんなところじゃな。それは俺の望むところじゃない。披露するにしても、俺がもっとみんなに受け入れられてからだ」


 「確かに………その方が賢いと言えるだろう。ここでは、な」


 何か含みのある言い方だ。

 そう言う状況に実際になったやつでもいるのだろうか。


 「全く、学院長もとんだ問題児をお連れになられたようだ………」


 「迷惑はかけねーよ。迷惑がられるのは別だがな」


 直接暴れたり荒らしたりはしないが、自由気ままに動き回るつもりだ。

 それで迷惑がられても知らん。


 「ところで、先ほどの詠唱妨害だが………」


 「アンタも魔法使いの端くれって訳か。言っとくが教えんぞ」


 「………チッ」


 「態度悪ィなオイ」












———————————————————————————













 「本日の議題は以上です。魔闘祭の討議は後日第一生徒会と合同で行います。それでは解散してください」



 ファリスが参加していた会議がようやく終わった。

 背筋をぐーっと伸ばしている。


 「あ〜〜………………終わった〜」


 生徒の目も気にせず、右手を伸ばして机にうつ伏せになっていた。


 「これだから会議は嫌なんだよなぁ」


 ただでさえデスクワークが多い学院長の仕事なので、これ以上じっとしていなければならない会議は、とてつもなく嫌いだった。


 すると、1人の生徒がファリスに声をかけた。


 「学院長」


 「む」


 顔を向けると、そこには1人の男子生徒がいた。



 「どうした、イシュラ」



 イシュラ・ノゼルバーグ。


 第二生徒会の生徒会長だ。

 赤みかかった黒色の髪で、目がキリッとしている。

 相当の美形だ。

 さぞモテることだろう。


 「もしや寝ていたのか?」


 「あなたと一緒にしないでいただきたい」


 「はっきり言うなよ。冗談はさておき、用があるんだろう?」


 「ええ、少しお話しがあります」


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