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第225話


 全員タキシードとドレスに着替えた。

 みんなまだ未成年なので、似合ってない感じは否めなかったが、蓮だけは決まっていた。


 「………お前………」


 「皆まで言うなよ。何言われるかは大体予想付いてるから」


 「イケレンくん、ホストみたいじゃん!」


 グサリ。


 あ、これ刺さったわ。

 完全にそう思った。

 蓮の顔がこれまでにないくらい引き攣ってるのだ。


 「あははははははは!!! そのカッコでその名前だったら完全に」


 「高橋? 俺たち部屋、一緒だったよね?」


 「………」


 蓮は遠回しに帰ったら覚えてろと言っていた。



 「はあぁぁ………レン、かっこいいですわぁ………」


 蓮を見るフィリアの眼にいつもに増して濃いハートマークが見えた気がした。


 フィリアは着慣れているのか、安定した感じだった。


 「殿下、とてもお似合いですよ」


 「ほほっ、本当に!? きゃーー!!! 嬉しいですわっ!」


 しがみつこうとしたら蓮に軽々避けられていた。

 コケる前に支えるところは如何にも蓮らしい。


 「で、エル。お前何ちょっと豪華な鯨になってんだよ」


 ラビがエルを抱えて俺のところまで運んできた。

 みんながドレスを着ているのを見て “エルもそれしたいのです” と言ったらしい。


 「キラキラなのです。おねーちゃんにやってもらったのです」


 「なー、ししょう。ピカピカしてきれいだろー?」


 成る程。

 このとりあえず光らせとけ見たいな状態にはこいつがしたのか。

 流石にこれを頭に乗っけるのは嫌なので、ラビの頭に乗っける事にした。

 ちなみに、 「おうかんみたい」と言って喜んでいた。


 「よし、遊」


 「待て。なぜお前だけツッコミ回避できると思ったんだ?」


 蓮に肩を掴まれた。

 ぎくり


 「ナンノコトカナ?」


 俺はとぼけて退散した。


 ちなみに、 俺の格好は、タキシードにサングラスをかけたオールバックの金髪だった。

 これが突っ込まれないわけがない。

 自分でセットしながらそう思った。









———————————————————————————










 「ん? 坊やじゃないか」


 「お、ギルファルドのおっさん」


 逃亡先にたまたまギルファルドを見かけた。

 改めて見ると、いつもに増してセレブ感が凄い。


 「なかなか似合っているじゃないか」


 「俺こう言う堅っ苦しいカッコ苦手なんだけどな」


 基本学校では制服は着崩していた。

 反抗したいとかそう言うのではなく、ただ単に窮屈な格好が嫌だった。

 それで目を付けられたこともある。


 「フフフ、 若者は皆そう言う。だが、身だしなみというのは、存外重要なものだぞ?」


 「わーってるよ」


 と言われてもきちんとした格好をする機会は無いだろうが。

 


 「ふむ、ここであったのも何かの縁か………」


 ギルファルドは顎に手を当て、 何かを企んでいた。


 「坊や」


 「あン?」


 「私とひと勝負いこうじゃないか」











———————————————————————————










 「ムムム………賭けるべきか………いや、ここで退く事はウチのプライドにかけてあってはならない! 金貨20枚ベットイン!」


 七海はポーカーをしていた。

 勝ったり負けたりしてなんとかじわじわ20枚まで稼いだのだ。


 「宜しいですか?」


 「うん」


 七海の手札はフルハウス。

 カードを変えずに出す事にした。

 結果は——————






 「うわぁーん! 負けちゃったよぉ! すずっち慰めてぇー!!」


 七海は涼子に泣きついた。

 涼子は持ち前のポーカーフェイスを生かして勝ちまくり、なんと金貨400枚まで増やしていた。


 「ん。よしよし」


 涼子は七海の頭を撫でながら再び勝利し、金貨450枚。4500万円である。

 と言うのも、キョロキョロしていた涼子を、何処かの富豪がカモだと思って勝負に誘ったため、ここまで勝ったのだ。

 そう、涼子はこう言う素人相手では無敵だ。

 このカジノのディーラー相手でもかなり勝つだろう。


 「お、お嬢ちゃん。もう一回だけ………」


 「ん。最後って言った」


 涼子はぶんぶんとかぶりを振ってこの場から立ち去った。


 富豪のオッさんは今日すでに負けまくっていたため、所持金が全て消え、ショックで膝から崩れ落ちた。



 「ひぇー、恐ろしいな谷原のやつ。つか金貨450枚か………4500万円!?」


 「颯太くん集中しないとまた一文無しだよ」


 「お、おう」


 美咲と高橋はルーレットをしていた。


 「私は赤!」


 「じゃあ俺も赤!」


 チップを置いてしばらくしたらベットが締め切られた。

 ディーラーが神妙な面持ちでボールを弾いた。

 ボールはカタカタと音を鳴らしながら回っていく。


 入ったのは………




 「27番………赤」


 「「よしっ!」」


 賭け金が2倍になる。

 美咲と高橋の所持金はそれぞれ金貨50枚と20枚となった。


 「まぁ、俺たちはちまちまでもいいかな」


 「そうだね」


 すると、おぉっ! という歓声がそばで聞こえた。


 「おー、ニールさん儲かってるっぽいな」


 「リンフィアちゃん達もあっちに集まってるよ………ん?」


 美咲は目を疑った。

 なんと、ニールたちの相手は、






 「さて、私が相手ですわ」


 「殿下………本気ですか?」


 フィリアだった。


 「お、王女様。どっちが勝っても変わらないだけですし、やめたほうが………」



 「私は一向に構わん!」


 と、ニールはどこかで聞いたようなセリフを言った途端に周りの野次馬たちが勝負をしろと囃し立て始めた。


 両名とも、所持金、金貨300枚ほどあったのだ。

 素人同士でここまで高額な勝負をするのが珍しいのであろう。

 しかも両方美人なので、おっさんの野次馬率が高い。


 「よく言いましたわ。今まではあまり言ってませんでしたが、言いたいことあるんですの………あなた! 私のレンに馴れ馴れしいですわ!!」


 「フン! 王女だかなんだか知らんが、偉そうにするのもここまでだ。私の主人、リンフィア様こそ至高! それをここで教えてやるッ!!」



 完全に巻き込まれていた蓮とリンフィアは頭を抱えていた。

 ラビ、エル、琴葉は、もうどうでもいいやという感じで勝負を見届ける事にしたらしい。



 「「勝負ッ!」ですわ!」


 

 ぼーっと眺めていたラビはあるものを見つけた。

 ラビはそばにいた琴葉とエルにそれを伝える。


 「なーなー、ことは、エルー」


 「うん、どしたの?」


 「ししょうがなんかやってる」


 「へ? ケンちゃん?」


 琴葉の視線の先には、大衆に囲まれて、大量のチップを賭けているギルファルドとそれに相対する俺がいた。


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