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第179話


 「今更だが、お前と共闘ってのもなかったな。今までは基本的にどっちかいれば勝てたし」


 「そうだな。まぁ、お前は縮んでるが」


 「かてーこと言うなよ。そら、来るぞ」


 俺達は目の前のデスウェポンを睨みつけた。

 先程吹き飛ばした事で、デスウェポンの警戒も怒りもマックスになっている。

 そして、


 「キュリリリリリリリリリリィィィィ!!!!」


 「構えろッ!!」


 「ああ!」


 デスウェポンは脚を一本に収束さして前に突き出した。

 俺達は左右に避け、攻撃を仕掛ける。

 すると、それに合わせてデスウェポンが脚を大きく開いた。

 それぞれに4本ずつで攻撃をしてくる。


 「俺ら相手に脚半分は」


 「舐め過ぎだッ!!」


 俺は、このゴーレムの小さな体躯を利用して攻撃をすり抜け、ニールは【ステージハーフ】の身体能力とハンデなしの技術をフル活用してその攻撃を全て弾いた。


 「「ハァッ!!」」


 両脇から一撃。

 これは効いている。


 「もう一発だ!」


 「わかっている!」


 もう一撃放とうとした瞬間、デスウェポンは一歩退がり、挟み撃ちから脱すると、 俺を狙って攻撃を仕掛けてきた。


 「うおっ!」


 「何っ!?」


 攻撃が頰をかすった。

 先程ラクレー達と戦っていた時よりずっとスピードが増しているようだ。

 

 「お前らっ、こんなのと、戦ってたのか?」


 「スピードが上がっている! さっきまでとは桁違いだ!」


 俺は紙一重で躱していたが、つい喰らってしまった。


 「くっ………!」


 俺はその衝撃を利用して後ろに跳ね返った。


 「くっそー、デカブツだって効いてパワータイプにしたのはダメだったか。でも、この緊張感、スッゲェ久しぶり………でもねーか。ついさっきもだったかんな………へへっ」


 つい笑みが溢れた。

 手こずるなんていつぶりだろうか。

 ここまで強くなってからこの世界に渡ってきたせいで、こっちの世界では緊張感のあるスリリングな戦いはろくに


 「戦いってのは、こうでなくっちゃな」


 俺は再びまわり込もうとした。


 「! へぇ、学習すんのか。流石は悪魔の兵器なんて言われてるだけはあんな。デスウェポン。だが、」


 俺はあえて正面から突っ込んで攻撃をした。

 デスウェポンが脚を剣のように変形させ、斬りつけてきた。

 俺はそれらを全て躱す。


 「? なんだこの感じ………」


 ニールは、俺の避け方が妙である事に気がついたようだ。

 俺は絶妙な距離を取りつつ避けたり弾いたりを繰り返した。

 そして、誘導したのだ。


 「! なるほどな」


 「これで、挟み撃ちだ」


 デスウェポンは気がつかないうちに俺と位置が逆転していたのだ。


 「ニール、これはあくまでも時間稼ぎだ。適当に流して、この状態だけは絶対にキープさせろ」


 「了解だ」


 デスウェポンは再び抜けようとしたが、俺達はそれについていくと、ついに諦めたらしく、デスウェポンは立ち止まった。


 「! ニール、気ィつけろよ」


 「ああ、すごい魔力だ」


 下手に動くとかえってマズイことになると判断し、俺達は攻撃をしなかった。

 その間に魔力を貯めておく。


 「そろそろだな。せーので行くぞ」


 「わかった」


 俺とニールは、突撃の準備をする。


 「せーのッ!!!」


 ほぼ同時に攻撃。


 「くたばれッ!!」


 「【黒炎一閃】ッ!!!」


 俺は拳に貯めた魔力を一気に弾いて攻撃を、ニールは得意技の黒炎一閃を放った。

 魔力の爆発で強い光が生まれた。

 どちらも渾身の一撃である。

 しかし、


 「マジかよ………」


 「これは………!」


 デスウェポンはさらに変形し、足の数が倍に増えていた。

 パワーが多少落ちる代わりに、スピードをそのままにしている。

 そして、


 「ガードしろッ!!!」


 「ッ………!」


 デスウェポンは脚を一点に収束させ、そこから魔力砲を放った。

 吹き飛ばされた、と思った次の瞬間、足を掴まれ、宙に吊るされた。


 「マっズい!」


 振り払おうとすると、別の脚が飛んで来る。

 俺達は避けるので手一杯になっていた。


 「くそッ! このままじゃ死ぬぞ!」


 「しまっ………剣が!」


 ニールの大剣が吹き飛ばされ、基本形態に戻ってしまう。


 「おいおいおい!」


 この状態のステータスではニールは避けきれない。

 万事休すと思われたその時だった。




 

 パァンッ!!!


 


 

 銃声が轟くと同時に、デスウェポンの顔が凍った。

 そして一瞬の隙が生まれる。



 「これならッ!」

 


 俺は少し緩んだ脚を跳ね除け、ニールの剣を拾って投げた。

 ニールはギリギリの所で剣をキャッチしてステージハーフになり、攻撃を間一髪で防いだ。


 「銃………って事は!」


 「ニール! 大丈夫ですか!」


 リンフィアだった。


 「リンフィア様………!」


 「ん?………! んのやろッ!!」


 デスウェポンがリンフィアに向かっていった。

 すると、


 「マジで予備作っといてよかったぜ」


 甲冑の体を使い、リンフィアの前に出た。

 ダガーを取り出し、一撃目を弾く。

 こいつはスピード型で作ってあるので、多少脆いが、こういう攻撃にはかなり有効だ。

 俺は攻撃を防ぎ、ニール達が来るのを待った。


 「いくぞニール!」


 「わかっている!」


 デスウェポンは背後の俺たちに気がつくと、再びそっちに戻って行った。





 「ありがとうございます、ケンくん」


 「礼を言うのは後にしろ。そろそろ終わる」


 「え?」






 「! もういいか………」


 俺はニールの肩に乗った。


 「飛べ」


 「は?」


 「ラクレーの魔力チャージが終わった。最後の一撃だ」


 


 ズオッ!!!




 「!」


 漸く、魔力を貯め終え、準備が完了した。


 「あのモンスターの性質上、高い魔力のある方へ行く。急いで飛べ」


 「了解した」







 「キュリリリリリリリリリリ!!!!」


 「さて、あたしの抜刀と君のとっておき、どっちが強いか」


 デスウェポンはこれに対抗するため、さらに変形した。

 もはや蜘蛛の原型は留めておらず、剣のような形状になっていた。


 「キュリリリリリィィィィ!!!」


 かつて無い程に高まった魔力をその一撃に込めた。

 デスウェポンは、地面を蹴り、ラクレーの心臓を目掛けて一直線に飛んだ。



 「【万裂羅(バサラ)】」



 一瞬にして、ラクレーとデスウェポンの位置が逆転した。

 

 「この技はタメが長い。だからあまり好きじゃ無いけど………」


 ラクレーは剣を振って鞘に収める。

 カチンという音と同時に溜まっていた魔力が緩んだ。


 そして、デスウェポンは足先の方からスゥーっと消えていき、跡形も無くなった。


 「たまにはいいね」



 万裂羅

 

 対象を幾万幾億にも斬り裂き、纏った魔力でそのかけらを消し去る事で、敵を完全に抹消するという技である。

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