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第174話


 「セイッ! ハァッ!!」


 斬る、斬る、斬る。

 ひたすらにデスウェポンの弱点を攻撃し続ける蓮。

 ここからではわかりにくいが、確かに効いている。

 その証拠に、たった今外でデスウェポンが攻撃を停止させた。


 リンフィアは次々と銃を撃ちまくった。

 自分でチャージしていた雷三級魔法をあるだけ使っている。


 「なかなか、変化は起きませんね」


 「確かに………いや、起きてるよ」


 蓮は一旦攻撃をやめ、地面を足でコンコンと突いた。


 「揺れが消えてる。デスウェポンが止まったんだ」


 「あっ、本——————」


 当と言おうとした。


 が、リンフィアはある事を思い出し、焦燥の色を浮かべた。

 止まったが消えていない。

 つまりまだ生きている。

 


 「れ、レンさん! 急いで出ましょう! デスウェポンが変形します!」


 「変形って………どうなるの!?」


 「少なくとも小型化するらしいです。このままじゃこの空間に潰されちゃいますよ!」


 「!? 大変だ、急ごう!」


 蓮とリンフィアは急いで空洞を抜けた。

 入口の突起は攻撃をしてこない。

 今は完全に動いてないようだ。

 




 「ここまできたのはいいけど、小型化ってどれくらい小さくなるか分かる?」


 「さぁ………私もこのモンスターの詳細はよくわからないんです。特徴と変形の話。それと弱点属性と場所くらいで………」


 「そこまで知ってたら十分だと思うけど………逆にそこまで知っていてその先の情報がないって事は、おそらく戦闘形態が観測された事例が殆どないって事なんだろうね。それはつまり………」


 滅多にならない程の変身を使われる。

 つまり、今までとは比較にならないくらい強くなる可能性が高い。


 「そうなったら俺たちだけで倒せるか………」


 「まずは降りてから考えましょう」



 蓮とリンフィアはデスウェポンから飛び降りた。













———————————————————————————












 「教官、みんな!」


 「おお、レン。よく戻ったな。それで、作戦は成功したのか?」


 蓮は微妙な顔になった。


 「獅子島、何か問題でも起きたのか?」


 「起きた、って言うのは正確じゃないな。起きていた………いや、起きることを知ったってところかな? だから降りてきたんだよ。今からこのモンスターが変形するらしいんだ」


 「ああ、委員長から聞いた。こっからパワーアップすんだろ? メンドクセーモンスターだ」


 綾瀬は超鑑定で変形の情報は掴んでいたが、肝心のその内容は、変形後ではないとわからないらしい。


 「人型程になれば私とダグラス殿、それと数名のSSで戦う。近距離で戦える冒険者はそれくらいだろう」


 ニールがそう言った。


 「ニール、覚醒半魔はなるべく使うなと言いたいところですけど、そうも言ってられませんよね」


 「申し訳ございません。お見苦しい姿を晒すことになってしまい………むぎゅッ!」


 リンフィアはニールの頰を引っ張った。


 「そう言う事を言ってるんじゃないんです! 無茶をするな、そう言ってるんです」

 

 「………少し難しいですね。今の感じだと“ハーフ”、最悪フルモードで戦う可能性もありますから………せめてもう一人いれば」


 「あたしが()る」


 みんな一斉に声の方向を向いた。

 そして、蓮が、あっ、と声を上げた。


 「む、君もいたの?」


 ひらひらとレンに手を振ったラクレー。

 結構気に入ったご様子。

 レンが手を振り返すと、フィリアに足を踏まれていた。


 「おぉ!? ラクレーじゃねぇか! 久しぶりだなオイ!」


 「うるさい、オジサン」


 「おじっ………! お前、減らず口は治ってないらしいな!」


 プイッとそっぽを向いたラクレー。


 「つーかお前さん、何でこんなとこにいるんだよ」


 ラクレーは髪の毛を弄りながらめんどくさそうに答えた。


 「ここの冒険者は粗方逃し終えたから」


 「逃した!? お前まさか、参加しなかったのはわざとか?」


 「ん」


 「予想してたのか? いや、そんなに頭の回るタイプじゃねーしな………あっ、坊主の仕業か! がっはっはっは! あいつどこまで用意周到なんだよ!?」


 みんなは何となく俺の顔を思い浮かべた。

 そして一人だけ、ラクレーを睨む者がいた。


 「ぬぬぬ………思い出しましたわ。あなた、何度か王宮にきてらっしゃいますわね?」


 「………誰?」


 「誰でも良いですの! 良い事? わ・た・く・し・の! レンに手を出したら………」


 フィリアは蓮の腕にしがみ付きながら、目をカッと見開いた。


 「ただじゃおきませんわ!!」


 「んー」


 ラクレーは再び蓮に手を振ると、デスウェポンを見に行った。


 「これか」


 ラクレーは足に近づく。

 そして深く息を落とし、詠唱を開始した。


 「『剛強なる鋼の肉体は天上を突破し、限界を忘れ、ただひたすら強さを求める。我は鋼の凶器なり【クインテットブースト】』」


 白のオーラが纏われる。

 ラクレーは剣を抜き、腰を低く落とした。

 そして、





 「シィッッ——————!」



 


 一閃。


 金属同士が触れ合ったはずなのに、あの鈍い音が聞こえない。

 素人でもわかる。

 凄い一撃だ。


 ラクレーは剣を鞘に収める。

 キンッ! と言う音と同時に脚は横に倒れた。

 あれだけ苦労して壊した脚をたった一撃で斬ったのだ。



 「準備運動はおわり。もう来るよ」




 ラクレーは前方を睨みつけた。

 特に魔力に変化は見られない。

 が、わかる。

 これは勘だ。

 世界最高峰の剣士が感じとった微かな敵意。

 それを感じ取ったのは、この場では、ニール、ダグラス、そして、蓮だけだった。



 「これは………!」



 デスウェポンが液状に変形していく。

 黒い液体はラクレーの前方に収束していき、やがて人型になった。

 すると、徐々にシルエットが変化していく。

 後ろに、蜘蛛の脚のようなものが現れ始めたのだ。

 そのまま液体はデスウェポンの全身を包んでいく。


 「構えたほうがいい………」


 そして、


 「ッ………!」



 デスウェポンは蜘蛛の脚をラクレーに伸ばして攻撃をした。

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