表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/1486

第171話


 「さてと、早速ここから離れねぇと………っと」


 少し立ちくらみを起こした。

 そういえばヨルに使った()()のせいでフル稼働できないのを忘れてた。


 『無茶は感心しないなぁ。君はアレの危険性を十分知ってるだろう? 正しい手順を踏まずに無理やり、しかも急に使うからだよ。あと15分は待機するべきだ』

 

 「うっせぇ、そんなに待ってられっかよ。お前も見てるならもうわかるだろ。巨大モンスターは変形可能だ。それも、強力なパワーアップをする。この魔力は明らかに異常だ」


 『もうちょっとくらい勇者の彼らを信用してもいいと僕は思うけどね』


 俺は思わず舌打ちをした。

 そんなことはわかっている。

 だがもどかしいのだ。


 「信用してないわけじゃない。何もしないってのは性に合わねンだよ………そうだ、あれだ! 今の能力を使えば!」


 俺は不安定な魔力をゆっくり練り上げた。

 これなら出来る。

 この方法を取れば、一級魔法も使える。


 『癪だけど、それ以外に今すぐ駆けつける方法は無いね』

 

 「ああ」











———————————————————————————










 「レンさん、下が騒がしいです。急ぎましょう!」


 「その方が良さそうだね」


 クインテットブーストももう長く保たない。

 急がねば。


 「すみませんが、先行お願いします。後ろから私がこれで援護するので」


 リンフィアは銃を構えた。


 「それは頼もしいな。じゃあ………行こう!」


 蓮が一気に飛び出した。

 デスウェポンから飛び出した突起物が、レンの方角を向く。


 「ッ………!」


 高速の光属性の魔法が飛んできた。 

 極力受けずに避ける。

 まずは右。

 すると、避けた場所に魔法が飛んできたので、ジャンプして魔法を躱し、空中で体を捻ってさらに躱す。


 しかし、3発ほど避けられそうに無いので、


 「ハァッ!」


 上から下にまとめて魔法を斬った。

 

 着地すると今度は、 上半身を埋め尽くすような散弾のような魔法が飛んできたので、スライディングで躱す。


 しかし、


 「くっ………これはッ………!」


 避けられないと思った直後。



 パンッ!!



 背後からの銃声。

 周辺の魔法を巻き込んで一気に消しとばした。

 風魔法の魔法弾だ。


 「助かる!」


 「いえ!」


 進んだり下がったりするので、なかなか前に進めない。

 ここは、



 「根本を断とう! もしかしたら再生可能かもしれないから、一番攻撃の多い突起物を壊して一気に進むんだ」


 「了解!」


 目的地のてっぺん。

 そこにある突起物が、一番魔法を撃ってくる。

 何処にいても狙われるという不利な点があるが、裏を返せば、こちらも好きな場所から狙えるということ。

 そして、これを一瞬でも消せたら、少しのダメージ覚悟で突っ切れば一気に進める。


 「ただ………」


 「あそこの弾幕だけ異常に厚いですね」


 狙おうとしても弾き返されてしまう。

 リンフィアが試しに撃ってみたが、案の定無駄だった。


 「一度下がりましょう。作戦を練った方が良さそうです」


 「そうだね。戻ろう」


 蓮とリンフィアは一度後退した。





 「私の魔法弾じゃ、ちょっと足りなさそうですね。至近距離からの攻撃………ブーストがかかっている今の状態のレンさんなら可能かもしれません」


 「でも結構難しいよ、それ。俺がそこまで辿り着く前に魔法の餌食になってしまいそうだ」


 確かに、直接狙うには危険すぎる場所だ。

 蓮にいくら才能があるとはいえ、無数の魔法を掻い潜ることはまだ出来ないのだ。


 「せめて一瞬だけなら防げるかもしれないけどね」


 「一瞬………」


 リンフィアは何かを考えるようなポーズをとった。

 そして、閃いた。


 「一瞬あれば、どうにかなりますか?」


 「多分ね。でも本当に一瞬だよ?」


 リンフィアは思いついた策をレンに伝えた。


 「風魔法に回転をつけた状態のものをぶつけて、それに乗ったレンさんをあそこまで飛ばします」


 「でもそれだけじゃ………」


 「はい。だからタイミングを合わせて思いっきり飛んでください。かなり微妙なタイミングですから、少しでもズレたら失敗です」


 蓮は一瞬だけ間を開けた。

 リスクは結構、いやかなり大きい。

 だが、考えてみれば確かにこれ以外の方法が思いつかない。

 おそらくそんなに時間的にも余裕はない。

 やるしか無い。


 「なるほど………うん、わかった。呼吸を合わせるのは得意だから任せて」


 「ごめんなさい………レンさんを危険にさらすこんな方法しか思いつけませんでした………」


 「いや、これならなんとかなりそうだ『開け、万物を収める王の見えざる蔵【アイテムボックス】』」


 蓮はアイテムボックスから剣を取り出した。

 まだ眠っているので、そこまで大した剣には見えないが、リンフィアはその剣に秘められた魔力を感じ取っていた。


 「凄い………これ、神格武具ですか?」


 「何でも王家に伝わる伝説の剣らしい。ありきたりだよね。いわゆる勇者の剣ってやつさ」


 正式名称は、聖剣フェルクレス


 装備条件があり、少なくとも解明されているのは、剣術スキルが10以上であることだ。

 これをクリアすると、装備は可能。

 しかし、完全な状態で装備するには、また別の条件があるが、それには色々な説がある。

 とりあえず装備可能な事が確認されているのは、蓮だけだ。


 「今日は後2回“解放”出来る。うち一回をここで使う。今俺が使えるのは、超至近距離で使うやつだけなんだ。それであの魔法を消して向こうに飛んで斬る。これでいこう」


 「はい!」

 

 蓮とリンフィアはそれぞれ準備を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ