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第161話


 「ギルファルドのおっさん………どこにいンだよ」


 ギルファルドの捜索を開始した。

 暗殺を知ったのはさっきだ。

 急だったから場所を把握していない。

 そもそもあのおっさんが素直に教えたかどうか。


 とりあえず当てになるのは、


 「おい、蛇女。おっさんがいる場所教えろ。元秘書だろが」


 そう、こいつは元秘書だ。

 スケジュール管理はしていたはず。


 「………最後に見たときはスタート地点の横の特別席にいたわ。予定通りならそこにいるでしょうね。けど、この騒動じゃ移動してるかもしれない。そもそもその情報はすでに魔族サイドに渡っているからもう遅いかもしれないわよ」


 「チッ………」


 こればかりは祈るしか無い。

 どうにか間に合ってくれよ………!


 俺はブーストを掛けて一気にそこまで飛んでいった。










 気配がない。

 誰もいないのか?………いや、


 「邪魔者だけは居るんだな」


 探知——————



 北西45m先6人

 南南西60m先3人

 東30m先4人

 東北東50m先2人



 総勢15人の魔族が俺を狙っていた。


 待ち伏せか。

 やれやれ。




 「まとめて——————」



 傍目から見ると、消えたように見えた俺の姿。

 そして、俺を見ていたやつの視界はその瞬間に暗闇となった。

 俺は一瞬のうちに全員の顎を殴って気絶させたのだ。



 「——————倒したっと」


 うち1人だけ意識を残して尋ねることにした。


 「よォ、元気かにーちゃん」


 あの中では最もちゃんとした気配を感じた。

 装備的にもこいつがリーダーで間違いなさそうだ。


 「嘘だろ………人間ごときがこんな………ヒッ!」


 俺は首根っこに手を当てた。


 「質問その1、 ギルファルドの居場所を教えろ」


 「こっここ、ここには居ない! ぎぎぎ、ギルド本部に向かっていると聞いた!」


 「りょうかーい。あ、嘘ついてたら歯ァ全部折って、舌引っこ抜いて二度と喋れなくするから。わーったら失せろ」


 魔族は一目散に逃げ去っていった。


 「あ、逃したらマズイか」


 俺は気絶させて、仲間と一緒に縛って放置した。







 「ギルドか。街の中心部ってのが厄介だよな」


 街の看板でもあるギルドは、当然街の中心に建てられており、人通りも多い。

 もし暴れられたりでもしたら被害がとんでもないことになる。


 「急ぐか。行き先はギルド………………ギルド?」


 待て、何か不安要素があった。

 何だ? 不安要素………………ぁ………ある!


 「………マズい!」


 ギルドはダメだ。

 だってそこには、


 「マイがいるじゃねぇかッ!」


 あいつは“ヴェルデウスの娘”だ。

 万が一見つかればタダじゃ済まない。


 「クッソ………急がねぇと………」


 俺はピタッと動きを止めた。

 セレスは突然動きを止めた俺を怪訝そうに見ていた。



 「何だ、これ………頭が………くッ………ぅ、ぁああああ………ッッッ!!!!」


 

 激しい痛みだ。

 頭が割れるようだった。

 何かが無理やり頭の中に入ってくる。

 一体これは——————





           




 「!!」


 今一瞬、人が見えた。

 男だ。

 俺より少し年上の男。

 見たことは無い。

 誰なのかは知らない。

 だが、何者なのかは、わかった。





 勇者、 いや、“使徒”としての力を宿せず、零れ落ちた逸れ者達の極致。

 しかし、彼らは除かれたのでは無い。


 選ばれたのだ。


 それは、あらゆる時代で名を残した、人ならざる人。

 神の極まれし力の一端を受け継ぐ者。


 “特異点”


 神より選ばれし、神と人の間にある者だ。





 俺もまた“特異点”だ。

 これは特異点同士の遭遇で発生する現象、“共鳴”。


 「魔族サイドの特異点………この街に入り込みやがったのか!」


 共鳴とは、特異点同士が始めて接近する際に発生する現象。

 発生は初見の相手が接近したときの一回きりだ。


 「ついてねー………少なくとも普通の魔族達よりはバケモンなのは確かだな………出張って来るか? 普通」


 ますます急いで行かないといけなくなった。


 










———————————————————————————

 




 






 「どうした? 王サマ」


 ナイトメアは男に尋ねた。

 男はご機嫌そうな様子で答えた。


 「アハァ………!! いぃねぇ。特異点が居やがったかァ。ハハァァ!!!」


 色白でくせ毛の男は邪悪に笑った。

 

 「テメェらがいってたあの金髪ヤローだヨ! 今見えた」


 「見えタ?」


 「どう言う仕組みか知らねェがァ、俺にはわかンだヨォ。これは特異点同士が近づいたら起きるなんかだ」


 共鳴という現象だと言うことは認知していないが、男は直感でそう言った。


 「あいつやっぱ特異点だったノカ。道理で強い訳だ」


 「あン? さっき閉じ込めてたのかァ?」


 「うん、あっさり逃げられたけどネ。お飾り特異点じゃ無さそうダヨ。私の作ったドラゴンあっさり倒しちゃったモン」


 「マジかァ! そいつァスゲェ! 急がねぇと俺らもやられちまうンじゃねぇか? アンタはどう思う? なぁ——————」



 男は目の前に居る男にそう尋ねた。



 「ギルファルド・シルバさんよォ!!」

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