表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/1486

第157話


 ニールは蓮達の会話をぼーっと聞いていた。


 

 俺たちの世界の?

 どう言うことだ?

 あの武器は確かあいつの………ああ、そうか。

 なるほど、同じ人種か。

 あいつも元は黒髪だって言ってたな。

 

 「お前………………レン、と言ったか。見たところ同い年だよな。15、6くらい」


 「はい、そうですけど」


 「さっきの剣技は凄かった。間違いなくこの国で指折りの剣士に入るだろう」


 ニールは素直にそう思った。

 おそらく同じステータスなら勝てないだろう。


 「ありがとうございます。貴女もかなりの達人ですね。それにあの身体能力。正直驚きました。こんなに強い人がいるとは」


 「ふふ、そんなに丁寧に喋らなくてもいい。年は同じだしな。全く、同じ人種でもあいつとは大違いだ」


 「はは、じゃあちょっと砕けた感じで話すよ………………同じ人種………? っ! あの、聖 賢って知ってる?!」


 「ん、なんだ、知り合いだったのか」


 「やっぱり! あいつこんなところに来ていたのか………」


 すると、俺の名前を聞いたルドルフが蓮に尋ねた。


 「ヒジリ ケンというのはあの少年か」


 「はい、追放された彼です」


 ルドルフには正直苦い思い出だろう。

 あの宿屋での脅迫は一生忘れまい。


 「そうか………」









———————————————————————————











 「お疲れ様でした、リンフィア様」


 「お疲れ様、ニール。お陰でみんな助かりました」


 「滅相もございません。それと………彼らは如何なさいますか?」


 ホルクス達は固有スキルからは解放された。

 魔力吸引のお陰でギリギリ延命しているが、体はボロボロだ。


 「捕縛して待っていましょう。ギルドマスターさんに処理を頼んだ方がいいと思います」


 「わかりました」


 「ニールねえ〜〜!」


 ラビがニールにしがみついた。


 「よかった〜〜〜」


 「心配かけたな」


 ニールはラビの頭を撫でた。


 「ルドルフさんもお疲れ様でした」


 「うむ」


 「それと………」


 リンフィアは蓮の方を見てどうしようかと迷っていた。


 とりあえずお礼、でしょうか?

 それとも名乗った方が?

 うー………



 「どうも、獅子島 蓮と言います。この間こちらに召喚された勇者です」


 「「!」」


 リンフィアはちらっとニールを見た。

 ニールは首を横に振っている。

 何もしないと言うことだろう。

 リンフィアはおそらく蓮も自分が魔族だと気がついてないと思ったので、この場はスルーしておくことにした。


 「勇者様、ですか。驚きました」


 「と言っても、まだヒヨッコですけどね。向こうに仲間がいます。それとここにも」


 「えと、高橋 颯太っす」


 「あっ、さっきは助かりました! ありがとうございます!」


 「あ、うス」


 「何をタジタジしてるんだ高橋」


 「うっせぇ! こちとら女慣れしてるお前と違うんだよ! ホストみたいな名前しやがっ——————!? すんませんッしたァァァ!!」


 蓮はホストみたいな名前と言われると無言で怒る。

 これがまためちゃくちゃ怖い。

 ケンもこれには正直ビビってた。


 「勇者様はなんでこんな所に来てるんですか?」


 「名前でいいですよ。獅子島でも蓮でも」


 「じゃあレンさんももっと砕けた感じでお願いします。私の敬語みたいにいつも言ってるなら別ですけど」


 「そうかい? ならそうするよ。何でここにいるか、だよね。ここに来たのは任務だよ。さっきの魔族達の退治か捕縛。君たちのおかげで捕縛で済みそうだ。今度は俺が質問するけどいいかい?」


 「はい」


 「ケンを知ってるんだろう? 今あいつがどこにいるか知ってる?」


 「ケンくんは………あっ! ケンくんがいないです」


 全部終わったような雰囲気だが、まだ何も解決してはいない。

 ケンを含め、Sランク以上の冒険者達はまだ監禁されたままだし、冒険者の大半は脱出できていない。


 「じゃあ、探さないとね」


 「その前に、少しいいかしら?」


 横からは、琴葉やフィリア達がいた。

 何故か警戒しているように見える。


 「どうしたの? 綾瀬さん」


 綾瀬は黙って蓮を見ていた。


 「あっ、琴葉ちゃん!」


 「リンフィアちゃん………」


 琴葉は何故か不安そうな目でリンフィアを見ていた。


 「ど、どうしたんですか?」


 「っ………!」


 琴葉は何も言わない。

 すると、綾瀬が言った。


 「獅子島くん、気づいてないのね」


 「一体何の話?」


 「彼女達を鑑定して見て」


 「鑑定?」


 蓮は言われた通りリンフィア達を鑑定したが、特に異常はなかった。


 「何もないけど………」


 「そう………やっぱり、超鑑定でしか見られないか………いい? よく聞きなさい。獅子島くんゆっくりこっちに来て。高橋くんと教官も」


 蓮達は綾瀬に従った。

 そして、


 「っ……… 何を!?」


 琴葉、蓮、高橋、ルドルフ以外の全員がニールとリンフィアを囲んで武器を構えた。




 「よく聞きなさい。彼女達は、魔族よ」

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ