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第1482話

どうも桐亜です!

依然入院中です!


しかし、順調に回復していますので、少しずつ書けるようになってきました。

次回の更新は4日後になると思います。

それまでに体調が戻れば、その次からはいつも通り更新しようと思うので、どうかお待ち下さい!


これからもどうぞよろしくお願いします!


 超常戯画………大層な名前だが、おそらく虚勢ではない。

 今の俺でも怖気がするほどの神威が、ダンジョン中を取り巻いていた。


 流石、2つの神の力を持つだけがある。

 それも、本人の力だ。


 牢という空間を形造る神と、自然を司る神。

 この両者の力をもって、何故相手に都合のいい幻覚を見せる能力なんて得たのかが疑問だったが、腑に落ちた。


 不完全だったのだ。

 あれだけでも厄介だというのに、一体どうなる?




 「これがどういう力か、教えておいてあげるよ」


 「!? ハッ、舐めやがって………なんのつもりだ」


 「いやね、ちょっとでも戦意を削げたらいいなと」




 何を今更と思うが、断る理由はない。

 わざわざ塩を送ってくれるのなら、喜んで受け取ろう。



 「聴従偽画は、相手を支配するという僕本来の力名を奪う力の性格が混ざった力。つまり精神支配。けど、もう僕には不要だ。神の力を完全に得た僕のこれからの力は、いわば現実支配」


 「現実支配ねぇ、今までも散々似たようなことやって来たろうに」


 「そうかい? まぁ思い出してごらんよ。コウヤが出していたのは魔法、一度の空間移動、武器、モンスター、それらはゲームのアイテムやシステムの一部のようなもの」




 ああ、知っている。

 コウヤは本気だったんだ。

 行動に一定以上の制限がついているのは検討がついていた。

 だから、俺も冷や汗が止まらない。


 そんな説明をされたからには、より警戒してしまう。

 おそらくこいつは、




 「デバッグじゃない。これからやるのは、みんなご存知の—————————」





 いない。

 高速移動………ではない。


 これは間違いなく、空間転移。

 とうとうクールタイムがなくなったらしい。


 と、頭は冷静に考えるが、どうも過去一番で俺の危険センサーが反応している。

 細胞の一つ一つが目を持ったと思うほど、周囲の全てに気配を張り巡らせた。



 どこだ、どこにいる。

 目を離せば、俺に命はない。



 こんなところで死ぬわけにいかなかった。

 揺らぎを—————————見つけた。


 空間の異変。

 それが出現ポイント、だが、




 「………は?」





 それは、あまりにも巨大………いや、莫大であった。

 答え合わせは、探知のその先。

 上空に、無数のカラサワが立っていた。




 「「「—————————改造(チート)さ」」」




 分身………いや、そんなものじゃない。

 全部、こいつだ。


 今俺は多分笑ってる。

 力が抜けて緩んでしまったのだろう。


 いつぶりだろうか、こんな絶望は。




 「………作者が“チート”か?」


 「「「介入した以上僕も一プレイヤーさ。そして、僕介入そのものが、そもそも不正行為(チート)。相応しいだろう」」」」


 「そうだな。悪行だもんな」


 「「「元気そうでなによりだ」」」




 切り札はある。

 でも、勝てる保証はない。


 それでも、やるしかない。

 俺はまだ死んでいない。

 そして、まだ救えていない。


 俺が戦う理由は、それで十分だ。





 「「「さて、異端者くん。最後にいい物語を見せてくれよ」」」


 「クソが………」


 「「「テーマはそうだな………不正(チート)異端(バグ)の大戦争だ」」」




 大戦争………多勢に無勢にも程がある。

 しかし、付け入る隙はある。


 それを突くためにも、まずは、




 「()()、どうにかしねぇとな………」





 上空にいる無数の分身から、強い光が溢れていた。

 術式は………広範囲魔法、それも一つ一つが全力。


 相殺は出来そうにない。

 つまり、逃げ場はない——————ので、敢えて詰める。

 


 目の色を変えたあたりを見るに、やはり万能ではないらしい。

 それでも脅威である事に変わり無い。

 地面を蹴り、上空へと身体を飛ばしたその瞬間、対岸から光の雨が降り注いだ。



 近づくたび………とはいえ、1秒もない刹那の間の移ろいではあるが、身を焼かれるような熱の圧迫感は凄まじかった。

 感知はしない。

 隙間がないのは織り込み済み。



 後は、斬る。




 「っィシャァッ!!!」




 魔力を纏った剣で、光を真っ二つに斬り、魔法の群れを抜けた。


 絶望を抜け、しかしそこにもまた絶望。

 カラサワと分身たちは、隙間なく俺を囲っていた。


 さぁどうすると言わんばかりに笑っている。

 みな、()()()




 「………やっぱり」


 「「「!?」」」

 



 だが、俺は構わず本体に向けて直進した。

 予想外だったのか、また一斉に顔色を変える。

 

 そう、一斉に。

 こいつらは皆、寸分狂わず同時に動いている。

 つまり、バラバラに操作は出来ない。




 「万能じゃねぇらしいなァ!!」



 

 容赦は不要。

 躊躇をすれば狩られる。


 全身全霊を剣に込め、その勢いのまま、俺は首を狙って剣を放った。

 だが、当然受け止める。

 互角だったので、それは違和感なく受け入れた。




 「っぱ堅ぇな………堅………………あ?」

 

 


 しかし、妙だった。

 体幹があまりにブレなさすぎる。


 いや、おかしくはない。

 宣言通り、これはチートだ。




 「ステータスも、いじれるんだな、これ。それと………」




 全くとんでもないやつだ。

 更にネタがあると。


 じゃあ、お返ししないとだ。



 「後ろ、だろ?」


 「!」



 流石に、後を追って来ている魔法の気配はわかる。

 だから、待ったのだ。

 ギリギリまで待って、引きつけて、そして、




 「お返しだ—————————」




 俺が空間転移をすると同時に、魔法はカラサワたちのところへと突っ込んだのだった。


 期待はしてない。

 何せチート。


 もったいぶることもなく、煙を払って出て来たカラサワは、平然と俺を見下ろしていた。



 「………へっ、無傷かよ」


 「お互い様だ、この………」




 万能ではない。

 それだけが救い。


 その僅かな救いだけで、俺はどれだけ戦えるだろうか。


 ………でも、やるんだ。

 こいつだけは、絶対にぶちのめす。




 「チート野郎が」


 「バグ野郎め」





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