第1481話
ギリギリになってすみません!
お知らせです!
場合によってはしばらく休むかもしれないので、真面目にお話しさせていただきます。
諸事情あって入院することになりました。
私も入院の経験はないので不安ですが、一応無事です。
このようにお知らせは出来るので、なんとか作業は出来ますが、体調が優れないので、投稿頻度は落ちてしまいそうです。
体調次第ですが、5日後には投稿したいと考えております。(もしかしたら少し伸びるかも……)
ここまで読んでくださっている方々には大変申し訳ありませんが、お待ちいただけると幸いです。
度重なる投稿頻度の低下、本当に申し訳ありません。
私も頑張って投稿を続けますので、どうか皆さん応援よろしくお願いします!
—————————この日を待っていたと、俺………“コウヤ”は心底思う。
初めて会った時から、凄い奴だった。
白紙のクセして2人がかりの俺たち相手に引きもせずに戦って、最後には乱入した別の連中ごとぶっ倒していった。
鮮烈だった。
けど、この時はそこまで気にしちゃいなかった。
とにかく凄い奴、凄くなるんだろうなって奴。
でも、俺には関係ない。
そう思って、俺はまた俺に課した日常に帰っていった。
そう、あの頃の俺は自分に枷を嵌めていた。
異常は重々承知で、でも下手して何もかもを失うのが怖くて、自分から何でもない一般人になろうとしていた。
それを、金髪はぶっ壊した。
里を救い、俺のダチを救い、そして何より俺に希望を見せてくれた。
こいつとなら、俺が失ったものを取り返せるかもしれない、と。
そうして、俺は金髪と己と弟を探す旅に出た。
まぁ、結果としては、どっちも見つかったようで、どっちも見つかってない。
俺に過去などなく、そして弟など存在しなかった。
でも、この旅に後悔はない。
旅をする間に、俺はより大事な仲間を手にしていた。
金髪。
そんなかでも、お前は俺にとって、かけがえのない相棒みたいな奴だった。
無茶するし、自分のことを蔑ろにするし、危なっかしいのは見てらんねぇけど、でもそれもこれも、仲間が大事だからやってくることだった。
まぁ、それで怒鳴ったりもしたけどな。
でも、俺も救われた。
作られた人形だと知ってなお、お前は俺を仲間と呼んでくれた。
俺のために命を張って戦ってくれた。
怒ってくれた。
相棒と、呼んでくれた。
だから俺は、お前と対等以上でいたかった。
お前がいつでも頼れるように、お前をいつでも守れるように、そして何より、1人の人間として、お前という高みに勝利してみたかった。
それに挑戦できるこの時間が、俺には奇跡のように輝いて見えた。
邪魔者もいるし、余計な事情も入り込んでる。
けど、お前も楽しんでくれてる。
それが嬉しい。
「金髪ゥゥァアッ!!!」
「コウヤァァアアッ!!!」
剣を握る手が重い。
ぶつかる度、なんど落としそうになったことか。
フェアリアの書き換えも、【聴従偽画】すらも通用しない。
我ながら馬鹿げたとんでもない力だと思っているが、それでも金髪はこれを止めてくれる。
嬉しい。
でも悔しい。
強いジレンマだ。
それでも、俺が悩まずにいられるのは、それくらい金髪が頼りになるからだ。
とにかくぶつかればいい。
こんな力を得ても、そう思わせくれる奴がいてくれるから、俺は安心して戦えるんだ。
ああ、楽しい。
痛いけど、苦しいけど、そんなことを忘れるくらい爽快なものが俺の中で歓喜をあげている。
一体これはなんだ?
俺はおかしくなったのか?
なんだっていい。
何をやったっていい。
何をしたっていい。
それでもお前は俺を超えてくれる。
受け止めてくれる。
だからもっと無茶苦茶にやろう。
自由にやろう。
常識を壊して、不可能を材料にして、無駄を注ぎ込んで、そうすれば、そうすれば—————————
—————————おかえり
と。
俺を引き戻したのは、そんな何気なく金髪が放った一言。
でも、大事な一言。
操られてる俺ではなく、意思のない俺ではなく、“俺”が帰ってきたから、あいつはそう言ってくれた。
なのに、今、俺は何をしていた?
『お疲れ様。ようやく引き出してくれたね。んじゃ、交代』
聞き馴染みしかない、不快の声の主に手を伸ばす。
いや、伸ばしたって意味はない。
この手は、もう奴の手なのだから。
でも、掴んだところで何かが変わるわけではない。
俺は、最悪の扉を開いてしまったかもしれないのだ。
逃げろ、金髪。
その力は、
——————————————————————————————
「………水、差しやがったな?」
「差すさ。これ、戦争だぜ?」
文句は言えない。
正論はあちらのもの。
そもそも悠長に決闘などと言っている方が馬鹿げている。
と、頭では当たり前に理解している。
でも、その理解が消し飛ぶほどの怒りが、今俺の中で暴れていた。
「何邪魔してくれてんだ………………テメェエエエエエッッ!!!」
「感謝しているよ。君は色々ヒントをくれた。特に神威の話はいいヒントだ。こんな世界でも神威だけは経験値ではなく己で高めていく。そして使うほどにその使用感は高まる。だったら、必死さで僕を勝る彼が適任だ」
くだらない講釈などもはや聞く耳は持たないが、俺の頭はいやでもそれを記憶する。
しかし、どれだけ聞き話そうとも、どうしても反応してしまうものはあった。
「彼が限界を超えてくれたおかげで完成したよ。聴従偽画………いや、“超常戯画”が」
「!!」
聴従偽画。
それは確か、相手の都合のいい幻覚を見せ、不意を突いて相手を倒すという技だったはず。
だが、それはこの戦いでも何度も破っている。
なんなら初見から見破っている技だ。
だが、危険な技だ。
もしもこれが進化したというのなら、警戒しなくてはと、俺の脳は無理やり俺の熱を冷ました。
「喜びなよ。多分この先、この力を見るのは君1人になるだろうからさ—————————」




