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第1424話

申し訳ありません!

ちょっと短めです!



 「くっ………はははは………神が不要か………被造物が、恩すら忘れて楯突くとは………しかしまぁ、もはや問答は不要か」




 既に対立は決まっている。

 これ以上、交わす言葉はなかった。




 「しかし一つ聞いちゃおうカナ」


 「む………」


 「君らは既にこちら側に足を踏み入れつつあるが、力を得た時に果たして欲が出ないと言い切れるかい? それだけの力、国を滅ぼして頭と成り代わるくらいは容易いもんだよん?」




 馬鹿なこと、と一蹴するには、確かに大きな力だった。

 王に成り代わる事は、出来なくもないだろう。


 そして、その上で彼女たちが否と答えることに対して疑問がなかったのだろうかと、2人は訝しんだ。




 「何のつもりだ?」


 「やらないと言う事でオケな感じカナ?」


 「当然でしょう」



 「そう、だから君らじゃ務まらない、神にふさわしくないのさ」




 大きく手を広げ、罪の神は大仰にそう言った。

 そして確信に満ちた表情で、罪の神は続ける。

 



 「ヒトには指導者が必要だ。そしてそれが神であるべきだと言うだけの話だ。それをなぜ拒む?」


 「それだけの力、感情のままに振るわれれば多くの人が不幸になります。むしろ何故それがわからないのかが理解出来ません」


 「? それでいいじゃないか」


 「「—————————」」






 不快とも違う心地の悪さ。

 違和感と言うべきか、その反応はおかしいものとして強く2人に刻まれた。

 同じことを話しているのに、何か見ている先、否見え方が違っている。


 まさしく得体が知れない。


 怖気が、2人の背筋を伝っていた。




 「むしろ意のままに振るうからこそ人々は神を恐れる。神の機嫌を取り、そこに統一意思が生まれる。感情がなければ恐怖を生み出せず、力が足りなければ侮られる。故に、(おれ)たちは神として相応しい」


 「………例え勝っても、アンタより上がいるんだぞ?」


 「関係ないさぁ。所詮カラサワもヒト。いずれ(おれ)が力を取り戻したあかつきには(おれ)の軍門に下る。そうに決まっているんだ!!」



 わかりやすく機嫌を損ね、神は荒れ狂った様子で力を撒き散らす。

 しかし、それは結局のところ現実逃避であった。


 所詮、この世界の神は完全な存在とはなり得ない。


 故に倒せる。

 倒すしかないのだ。




 「「「………」」」





 問答も終わり、お互い既に余力はない。

 この戦いの終わりを、ここにいる全ての者が予感していた。


 上はいる。

 この戦いで何かの運命が変わる事はないのかも知れない。


 しかし、少なくともこの戦いで、いくつかの因縁は終わる。




 「っ………」




 魔力を流す体が軋み、痛みに声が漏れる。

 あるいは表情が歪む。


 力を絞り出すごとに身体が()()なり、しかし()()なる。

 苦痛と乖離し、引き上げられる身体能力に既に意識が追いつかなくなりつつある。


 正真正銘の限界。

 神も人も関係なく、本当に最後の力だった。




 「今度こそ終わらせてあげよう」




 巨大化はもうしない。

 限られたリソースで作られた等身大の身体に、罪の神は全てがつぎ込んだ。

 素性も回復もない。


 壊れれば終わり。


 お互いに。




 戦いが終わる。

 ゴールテープの前で、最後の戦いの号令をかけたのは、罪の神であった。




 「ヒトとして生きることを拒むのならば、死ね!! 異端者ども!!」


 「最後の最後です。気を張りなさい、ラビ!!」


 「ああ、勝つぞ!!」




 金色に輝く羽根を広げ、再び銃を作るミレア。

 ボロボロになった肉体を屈強な身体に作り変え、鋭い爪を構えるラビ。


 全てを出し尽くそうと吠える2人の声を号令の返答に、戦いの終わりが始まった。

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