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第141話


 琴葉は森の中にワープさせられていた。


 「うぅ………イタタ………わっ! ここどこ!? ななみん! すずっち! 高橋くん!」


 琴葉は慌てて周りを見渡した。

 すると、


 「おいらはここだぞ〜」


 「ん」


 「うぉぉぉ………おい! 早く退いてくれ!」


 高橋が下敷きになっていた。

 どうやらこの4人全員一緒にワープしたらしい。

 これに関しては七海のファインプレーだ。


 ワープ前、突然の光に驚いた七海が、全員に飛び込んだ結果、4人とも触れていたのでまとめてワープしたと言うわけだ。

 高橋が下敷きになっているのも、そのためである。


 「あ、ダッシュくん。メンゴメンゴ」


 「いてて………首が折れるかと思ったわ。お前案外——————」


 七海が高橋の喉に指を当てた。

 

 「それ以上は死刑でござる〜。ドゥーユーオーケー?」


 「うんうんうんうん!!! オッケーオッケー!!」


 5倍速くらいで頭を振った高橋。

 英語の間違いは敢えて指摘しない。


 「どうやらワープしたっぽいよ。誰もいなくなってる」


 「さっきの魔族もいるのかいな? いやっすねー。ウチ戦いたくないもん」


 七海はため息混じりにそう言った。


 「とり合えず安全な場所に——————待って」


 琴葉は耳を澄ました。

 五感が他人より優れている琴葉は少しでも違和感があると気がつく。

 今回その音源となったのは、


 「っ………! モンスターが来たよ!」


 「嘘だろッ!?」

 

 高橋は森の向こうを見た。

 すると、向こうからこちらへ迫るモンスターの大群があった。


 「クソッ! 数がおかしいだろ!」


 「鑑定………っ………!! ことりん、逃げないと………あれ一匹だけでもウチら勝てないよ!」


 群のモンスターは恐竜型のモンスターだ。

 名称はフレアレックス。

 火属性のモンスターで、鋭い牙や爪から炎が出る。

 中でも厄介なのは、あのスピードだ。

 あのスピードで後ろに回り込まれ、噛まれたら最後、消し炭になるまで離さないという。


 「逃げる………よし、任せろ」


 「高橋くん?」


 高橋は強化魔法詠唱を始めた。


 「『我が肉体は限界を超え、鋼となる。【デュオブースト】』!」


 青い光が高橋を包む。

 強化が終わった高橋は急いでこう言った。


 「みんな俺の上に乗っかって!」


 真ん中に七海が乗って、その上に琴葉と涼子が乗った。


 「本気で走るから振り落とされないようにだけは注意してくれ」


 上の3人は抱き合って体を固定させた。

 高橋は重心を下げ、 走る準備をする。


 足にゆっくりと力を入れ、一気に地面を蹴った。

 それと同時に高橋は固有スキルを発動した。


 すると、


 「ッッ——————!!」


 高橋のスピードがどんどん上がっていく。

 それは、Aランク冒険者の本気の走りをも上回るスピードだった。

 


 これは固有スキル 【加速】によるものだ。



 ——————もっとだ、もっと速く!



 これは、高橋自体が加速するのではなく、周りの時間を遅らせて、結果として高橋が加速している状態になるのだ。

 これは、高橋が息を止めている間のみ発動する。

 しかし、効果は絶大で、その間に流れる時間は実際の10倍に引き延ばされる。

 つまり高橋は通常の10倍速で走っているのだ。


 「はっや!」


 「——————!!」


 「え? 何て言った?」


 しかし、自分の話す早さも10倍な上に、聞き取る早さが10分の1となり、基本的に会話は不可能。


 「ま、いいや。行けー! ダッシュくん!」










———————————————————————————










 「ゼーっ………ゼーっ………きっつー! 久々の面倒な役やったなぁ、俺。でも、これで、ゼェ、ゼェ、振り切れたろ」



 「大儀であった。褒めてつかわすぞ、ダッシュくん」


 「………」


 高橋はつっこむ余裕もないようだ。


 「それにしてもとんでも無いところだね、ここ。あんなモンスターがうじゃうじゃいるんだったらかなり危ないよ」


 「七峰の、言う通り、だ………………ふぅ。やっと息が整った。今回は偶然逃げ切れたけど、毎度毎度逃げれるとは限らないもんな」


 「はいはーい! 提案がありまーす!」


 七海が手をブンブン振り回しながらそう言った。


 「期待してないけどどうぞ」


 「やだね! そんなこと言うダッシュくんには教えてやんないよ! べー!」


 「ンの野郎………!」


 高橋は青筋を浮かべて手をプルプルと震わせているが、手は出さない。

 男として、と言うのもあるが、返り討ちにされるからと言う理由も大きい。


 「オホン、では提案しよー。ズバリ、用心棒だ!」


 「用心棒?」


 「そ。こんな祭り開くくらいなんだから強い人がいっぱいいてもおかしくないっしょ。と言うわけで、鑑定でウチらよか強い人を発見したら、その人を仲間にするのだ!」


 3人から、おぉー! と言う声が上がった。


 「山本にしちゃあ、まともな案じゃん。よし、それでいこうぜ」


 「ん」


 「すごいね、ななみん! さんぼーみたいだった!」


 「わっはっは! くるしゅーない!」


 






 琴葉のグループ、蓮のグループ、リンフィアのグループは、偶然にも同じ目的で行動を開始した。

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