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第140話


 「………」


 みんな口をパクパクさせている。

 みんなして同じような顔をするもんだから思わず笑いそうになる。


 「どした? スッゲェ顔してンぞ」


 「お、おまっ………は?!」


 何言ってんだおっさん。


 「ドラゴン斬ってびっくりしてンなら、そんな反応しなくてもいいだろ」


 「見えなかったぞ!? 何したんだ!?」


 「いや、普通に斬ったんだよ。見りゃわかンだろ、って見えなかったっつってたな。細かく言うとだな」






 俺は自分がどう言う動きをしたのか詳しく説明してやった。

 

 「そんな感じだ」


 「それを、この一瞬でやってのけたって言うのか!? はは………俺が勝てねー訳だ」


 「」


 「さて………」


 俺はセレスを睨みつけた。


 「っ………!」


 睨まれたセレスはバケモノを見るかのように目を丸くし、奥歯をカチカチと鳴らしていた。


 「こっから出せ」


 俺は【威圧】を乗せてそう告げた。

 しかし、セレスは何も言わない。

 しばらくしても何も言わなかったので、腹に据えかねた俺は、【威圧】のレベルを数段上げ、木刀に手を置きながらこう言った。




 「斬られてェか?」




 「………………!!!」


 この場にいる全員が背筋を凍らせた。

 【威圧】が漏れていたようだ。


 「ひっ………! しっ、知らない! ここからの脱出方法は聞かされて無いわ!」


 「デタラメ言ってんじゃねぇよな? 自分がここから出るときはどうするつもりだった?」


 「ああっ、アンタら全員殺せば自然と脱出できるって………」



 嘘をついている様子では無い。

 俺は少し考えた。

 しかし、そんな条件のついた空間は存在しない。

 恐らく本来の術者の操作か、別条件か………

 それに当てはまるのが固有スキルにあった気がする。


 「おい! 観てンだろ! 返事しやがれ!」


 どこかで見ているのは間違いない。


 「おいボウズ、いきなりどうした?」


 「この空間はとあるスキルで作られた空間だ。このスキルは作った本人なら中の様子を観察できるようになってンだよ」


 出てくるかどうかも本人次第。

 だが、恐らく向こうは俺が何者か気になってるはずだ。


 「向こうから来たもん同士話そうぜ?」


 「?」


 これを聞いても大半は意味がわからないだろう。

 だが、これで向こうも俺の正体がわかったはず。



 『………そのままの意味で受け取っていいカナ?』


 「!」


 どこからともなく声が聞こえて来た。

 女の声だ。


 「おう」


 『まだ城にいるって聞いていたんだケド、情報が違ってたのカナ?』


 「さァな。どうでもいいからさっさとここから出せよ。こいつが後何を出して来ても俺は問題ねぇよ? さっきの見てわかってる筈だ」


 『あはは、確かにそうカモネ。でも、簡単に出すと思ってるのカイ?』


 俺はため息をついた。

 確かに言う通りだ。

 それで解放した場合、高ランクと低ランクを分断した意味が無い。


 そもそもこいつらの狙いは街でも市民でもなく、冒険者なのだから。


 『ま、何も抵抗しないってのも退屈なので、こちらからも一人送り込むことにしたヨ。ははは、気に入ってくれるとイイナー』


 「はぁ?」


 

 

 ゾワっ




 「!」


 何かの気配がする。

 いや、まだ来てない。

 でもあと少しで………来る。


 再び空間が歪む。

 今度は比較的小さい。

 現れたのはヒトだった。


 「何だ? 人?」


 「人間じゃ無い、魔族だ! 肌が真っ黒だぞ!」


 ………いや、そうか?


 確かに顔色は人間離れしているが、ツノも牙も羽も尻尾も生えてない。

 半魔族か? いや、鑑定すればわかるか………


 

 俺は鑑定をしようとした。

 しかし、


 「ッッ………!」


 鑑定が弾かれた。

 これは………


 「なるほど、隠蔽スキルの応用か。器用な真似すンな」


 「ナイトメア、聞いていないぞ。こんなバケモンと戦わせるな」


 『アンタなら大丈夫ダヨ。死にはしないし、死にそうになったら回収してやるからサ』


 「フン」


 ピリピリするこの感じ………少なくともSランク冒険者以上だ。


 「あんたも同類かい?」


 俺はそう尋ねた。

 よく見ると顔が日本人顔だ。

 肌が真っ黒だが、顔の感じは日本人。

 しかも結構整った顔をしている。

 年は恐らく、20から30の間だ。


 「そうだ。顔を見たらわかるだろう」


 男は無表情のままそう言った。


 「無愛想なやつだ、なッ!」


 俺はブーストで強化をし、一気に——————





 「!?」




 ——————倒せなかった。


 魔法の効果がいきなり消えたのだ。

 俺は警戒して足を止めた。


 「………テメェ、エグいスキル持ってんな………」


 「調整が難しいものでな。俺も上位の魔法は制限されるが、ある程度なら使える」


 これは、固有スキル【アンチアビリティ】だ。

 魔法や、魔法剣などのアビリティ等を搔き消す。

 しかし、使用者は魔法の使用が可能と言う理不尽なスキルだ。


 「片付けさせてもらう。悪く思うな、少年」


 

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