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第1193話



 「………」



 ルージュリア達が扉の前で睨み合って、もう数分経っている。

 扉の向こうにいる相手も、ルージュリアの気配に気づいてからは慎重になっていた。




 「こちらに気づいていますね? どなたかは存じませんが、一体彼に何のご用件でいらっしゃったのですか?」


 「………!」





 返事はない。

 しかし、声に気がついてますます警戒を高めた。


 扉を挟んで立ち、何もせずに睨み合っているという奇妙な光景だが、両者とも至って真剣。

 攻撃の意思を見せれば殺すという意思が、目に見えていない相手に対して、これ以上ないほど伝わっていた。




 「いい加減、返事くらいしたらどうなんです?」


 「………」




 やはり返事はない。




 「エルが外から様子を見て見みましょうか?」




 一向に進まない状況を焦ったく感じたのか、エルはそう提案した。

 しかし、ルージュリアはあまりの力ではない様子であった。




 「いえ、やめておいた方がいいでしょう。恐らくはかなりの手練れでしょうから」


 「そうなのですか………」




 心なしかシュンとしているエルを撫で回すルージュリア。

 すると、




 「!………去りましたか」



 扉の向こうにいる誰かは、結局何もする事なくこの場を去って行った。




 「行っちゃったのです」


 「ええ………でも少し、警戒が必要そうですね」















——————————————————————————————















 「ただいまなのです!!」


 「む」



 元気のいい声が聞こえたと思ったら、ルージュリアとエルが戻ってきていた。



 「悪りぃな。急に集めて」


 「いえ、一度話をした方がいいでしょうから」




 妙な男とやらの話を聞いて、とりあえずみんなを一時集めることにした。

 ルージュリアなら大丈夫だろうが、俺たちが狙われないとも限らない


 警戒するに越した事はないだろう。



 「てかさ、全員集まったんなら先に宿決めようぜ」


 「ふふふ、いったいどの口で………あら? 先に合流なさっていたんですね」



 ポケットに手を入れ、何やら気色の悪い笑みを浮かべながら出てくるコウヤ。

 こいつとはついさっき偶然出くわしたのだ。




 「フフフ………今の俺にはお前がこっそり言っていた悪口も金髪の思い浮かべんた失礼な感想もガシッと受け止める寛大さがあるのだよ」


 「ウゼェな」


 「そうですね。貴方は余裕がない方が面白いというのに」


 「言い過ぎだぞ、お前たち」




 いつも通りなコウヤに戻って妙な安心感と満足感を感じた。

 ルージュリアもこれで良いんだよと言わんばかりに首を振っていた。



 「なにか良い事あったんですか?」


 「そうだとも! 聞いてくれよ銀髪ちゃん。萌えあった小遣いで呑んでたらさ、」




 出だしから酷いなと顔を顰めるリンフィア。

 しかし、ご機嫌なコウヤはそのまま続けた。




 「めっちゃ美人のおねーちゃんが一緒に呑んでくれたんだよ! いやぁ、超美人だったね。今度の試合じゃ当たりたくないなぁ」


 「ん? 試合?」


 「おお、そっか知らないか。いや、その子も今度の大会に出るんだとさ。美人相手はちょっとやりづらいんだよ。そもそも普通に強そうだし」




 強い?

 今のこいつが強いと言う事は、なかなかの強敵だ。


 注意しておく必要があるかも知れない。




 「その女、どんなふうだ? 武器は? 種族は?」


 「あー、どうだろ。参加選手が無敵になるのもあって手ぶらだったしな。けど、雰囲気的に多分接近型かな。後種族は………………あれ?」




 おかしいなーと呟きながら頭をかきだした。

 すると、次第に様子がおかしくなり、どんどん頭にハテナを浮かべていった。




 「どうしたんだよ」


 「いや………そういえば………耳、尖ってなかったかも」


 「「「!!」」」




 つまり、プレイヤーの可能性がある。




 「連れも確かに羽がなかったな………」


 「プレイヤーだと………? 他にもいたのか………」


 「よろしいですか?」




 いつもの癖で、ふと考え込もうとするが、声に気づいて思考を止めた。

 ルージュリアも何かあったらしい。



 「どうした、ルージュリア」


 「先程の男性とは別に、ハルの秘密基地に来ている方がいるらしいのですが、どうやらその方も人間らしいです」


 「同じやつか?」


 「いえ、ボロを着た奴隷の女性らしいので、酒場で飲んでいるとは考えにくいです。多分、別人でしょう」




 コウヤも、ボロ服は着ていないと言っていたので、そこは別人なのだろう。

 闘技場にいた奴隷と同一人物だろうか。

 だが、そう考えるのも早計かもしれない。


 もしかすると、別の勢力だったら、ここには少なくとも3グループのプレイヤーがいるということになる。




 「族長の親父の言ってたやつだけ警戒しとけば良いって思ったんだけどな………」




 ついつい口からグチが溢れる。

 さっきあったシルフに、俺たち以外のプレイヤー………厄介な相手ばかりだ。


 今のように、勝ち目が薄い時に限って邪魔が入るような気がする。


 勘違いや被害妄想じみてはいるが、どうしても嫌なものというのは大きく見えてしまう。





 今回の大会、一筋縄ではいかない、どころではなさそうだ。





 「………ん?」




 少しぼーっと遠くを眺めていたら、ふとあるものが目に入った。


 少し離れた路地の向こうに、ハルバードが立っていた。


 表情が、どこか重い。

 そして、どこか寂しげだ。



 どうやら、その路地を進もうとしているが、進めないでいるらしい。



 が、すぐに引き返して帰って行ってしまった。






 「?………まぁ良いか。宿探すぞ、宿」

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