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第1186話




 穏やかだ。


 なのに、妙に重くるしい。

 静かに、そっと触れる様でいて、ゆっくりと確実に押し潰してくる。



 肉体も魔力もそうだが、何より神威の質が、信じられないほどに上がっている。



 正直、微かに手が震えてしまうほどだ。





 「………抑えが利きませんね」


 「「!!」」




 すぐさま飛び退いて距離を取る地竜。

 警戒はとうに過ぎ、それは怯えへと変わり始めていた。


 すると、





 「………え、ミレアちゃん!?」




 覚えているモンスターのところへ向かって、ミレアは無造作にゆったりと歩き始めた。


 モンスターは動かない。

 しかし、敵は理性のない獣。


 いつ襲いかかってくるかわからない。



 だが、この妙な安心感はなんだろう。

 大丈夫だという自信がある。



 ………あるのだが、







 「何する気だ、お前………」




 ミレアは、いよいよモンスターの目の前までやって来た。

 しかし、まだ構えもしなければ、魔法に用意もしない。


 俺たちは、ただ黙って、次に取る行動を見守っていた。


 そして、ミレアは俺たちの誰の予想にもはまらない行動を取り始めた。






 「さぁ………………!」



 「「「!!」」」




 威圧………しかし、中途半端だ。


 これでは怯えさせるのではなく、かえって逆上させてしまう。



 ………いや、これが目的なのか?

 捕食によって進化させることが目的なのか?




 「くそっ、デカくなっちまうぞ!!」




 流石に、あの距離で地竜が進化するのは危険だと踏んだのか、コウヤが真っ先に飛び出そうとした。


 しかし、






 「待て」


 「と、ぉおっ!?」





 その瞬間、何かに躓いた様にバランスを崩した。

 それを見た全員の視線は、自然と足元へ落ちていく。




 「!!………あれは、ノームの能力!?」




  雪の中から飛び出した土が、コウヤの足に絡みついていた。

 リンフィアのいう通り、あれはノームの能力………と、初めは思った。





 「………ん? いや、あれは………」





 よく見ると、その土の中から小さく緑が見えている。

 土で隠れている部分を、俺の“眼” でじっと見つめてみた。


 すると、





 「………蔦、なのか?」





 そこには、植物の蔦が生えていた。

 ミレアの意思に従う様に、きつくコウヤに巻きついている。


 これは、ノームの力ではない。





 「さぁ、食べなさい」




 焦る様に捕食をし、大きくなっていく地竜。

 それをじっと見つめるミレアに、焦りは微塵もない。


 あれは、かつて見た地竜と同じ眼だ。



 敵ではなく、餌を見る眼だ。






 「食べて、大きくなって………私の糧になって下さい」


 「グゥルルルォオオオオオオオオオオオオッッッ!!!」





 周りの地竜を喰らい、より巨大に、より強靭に進化した地竜。

 ビリビリと大気を震わせる咆哮には、身震いを禁じ得ない。



 だが、ミレアだけは、平然と目の前に立っていた。





 「それじゃあ………」


 「っ、金ロールちゃん、ぼーっとすんなッッ!!」




 一歩。

 両者共に、前へ踏み出す。


 ミレアが地竜に近づいた瞬間、地竜は飛び出して、大口を開いていた。



 一見すると危機的状況に思える。

 コウヤも、リンフィアも、焦って飛び出していった。



 だが、異様なまでの余裕と、妙な期待感。

 これがどうしても、俺を焦らせはしなかった。




 「金ロールちゃん!!」


 「ミレアちゃん!!」





 神威が、ざわついている。


 何かが、起きる。





 「………!!」





 地面が飛び出し、壁となる。

 地竜の行く道を塞ぎ、攻撃を阻止した——————わけではない。




 「さて………」




 隆起した地面が切り離され、土塊は形を変えて地竜を囲む。


 地竜を包む様に球体となった土の中から、激しく暴れる音と咆哮が聞こえるが、その球に一切の傷も入らなかった。


 叫び声は、次第に消えていく。




 そして間も無く、暴れる音が聞こえなくなった。





 「きっと、管理者はこんなふうにして、このフェアリアを創ったのでしょうね」




 


 地竜を包んでいた土塊が、ゆっくりと開いていく。

 すると、





 「………………!!」






 そこには、地竜を縛るように、木々や草花が絡み付いていた。

 その土の上で、地竜を包み込む、小さな森が出来ていた。






 「これが、遥か太古に自然の神として妖精達を統べていた、罪の神の権能。自然を支配し、作り出す力です」





 ブチッッ、と。



 地竜に絡み付いていた蔓が地竜の首を絞め、いとも簡単に千切り落とした。

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