第118話
2021/11/19
この回で流石に見逃せない矛盾を発見しましたので、修正させていただきました。
「やっぱ時間かかるなー」
俺は外でニールと待ち惚けていた。
こいつと二人になる事は滅多にないが、なったらなったで案外会話が続くもんだ。
「聞いているのか! その時のリンフィア様はなぁ!」
「あー、はいはい。聞いてる聞いてる」
と言ってもニールが一方的にリンフィアの話をするだけだ。
小さい時のリンフィアはこうだったとか、こんな事を一緒にしたとか、中には聞いたことのある奴もあった。
「お前本当にリフィ好きだな。軽く引くくらい」
「当たり前だ! お前も毎日一緒にいたらわかるだろう! あの愛らしさを!」
「………まあ、たしかに可愛いところはあるな」
俺は何を言ってるのだろう。
「何ィ! この不埒者がァ!」
「それは理不尽過ぎるだろうが!」
こいつも結構遠慮がない。
ズカズカ言ってくる。
その方が話しやすいので俺はそっちの方がいいが、一切の遠慮がない。
「この破廉恥者! 汚物!」
めっちゃ言うやんけ。
「うるせぇよ! 話の続きはどうした!」
「話………そうだ! いいかよく聞けよ」
こう言えば脱線しても元に戻せる。
ここ最近分かったことがある。
こいつ、馬鹿だ。
見た目は1番しっかりしたお姉さんの様だが、話してみると結構馬鹿なのが分かった。
かなりポンコツだ。
基本的にリンフィアが1番しっかりしているが、割といろんな場面ではしゃぐところもある。
ラビはもう言わなくてもいいだろう。
ぶっちゃけ1番まともなのは俺だ。
不良が1番まともなパーティー。
なかなかイカれてやがる。
「そう言うことがあってな」
「へーへー、そうですか………」
こうやってまじまじ見ていると、ふと思うことがあった。
「む、何だ。話は終わってないぞ」
「お前さ、全身装備真っ黒だけどさ、インナーとか鞘とか、その他もろもろも全部黒なのはなんかこだわりでもあんのか?」
そう尋ねると、ニールはわかりやすく目の色を変え始めたので、うわっと言ってしまった。
しかし、スイッチの入ったニールはそんな事お構いなしに話をし始めた。
「よく聞いてくれた! そうだ。これは私のこだわりなのだ。ほら!」
バッと立ち上がり、見てくれと言わんばかりに手を広げ始めた。
「………」
「………」
意味深な沈黙が流れる。
居た堪れない空気感に、流石の俺も目を逸らしてしまった。
どうしようか、そう思っていると、ふとリンフィアの方から魔力の変化が感じ取れた。
今の感じ………リフィのやつ詠唱短縮出来るようになったか。
「向こうは順調だn」
「貴様私に恥をかかせる気か?」
反射的に避けた所を見ると、抜き身の剣が首のあった位置に置かれていた。
「うおぉ!? お前何刃向けてんだ!? つか避けてなかったらサクッと言ってたぞ。サクッと!!」
「うるさい」
「こいつなんて言い草………お?」
顔をよく見ると、ニールは物凄い赤面していた。
「ふっ」
「な、なんだ」
「お前結構可愛いとこあンじゃねーか」
そういうと、さっきの剣を思い切り横に降って(振って)きた。
見えていればこっちのもの。
しかし良い子は真似するな。
俺は某菓子パンヒーローの様に復活は出来ん。
「かか、かわっ、可愛いとかっ!」
「ほれ、そう言うところだ」
「〜〜〜!」
からかいがいのある奴だ。
竜だの黒だの中二好きとは意外だったが、その分とっつきやすいと言うものだ。
その後も俺は、しばらくニールをからかって遊ぶのであった。
 




