表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1170/1486

第1165話



 攻略本。


 それは、他の誰にもない、コウヤだけの力。

 コウヤは、ここに謎がある気がした。


 それが何故なのかはわからない。

 だが、理屈ではないのだ。




 『わからないけど、わかる』




 そういう本能が訴えかけるような何かが、攻略本へ意識を向けていた。




 (俺の、力——————)




 だから、これは本当に無意識だった。


 思考を攻略本に向けていたコウヤは、ごく自然に、いつも通り手にとるように、攻略本を取り出した。


 すると、





 「!!」




 それを取り出す一瞬、神威が動いたのを察知した。

 そして、ただ察知したわけではない。


 そこには、大きな発見があった。



 これは、この空間ならではの僥倖。

 あまりに自然で、慣れすぎた作業を振り返るには、絶好の機会。



 コウヤはそれを、偶然掴んだ。




 (同じだ………)





 本を扱う時の感覚。


 これが、神威を扱う感覚と、あまりにも似ていた。

 いや、同じだったといっても過言ではなかった。


 何より、本にはコウヤの神威が巡っていた。


 ごく自然と。

 まるで、体の一部のように。



 そして、逆に体からは一切の神威が抜け落ちていた。





 (………これは一体………)





 奇妙な現象だ。

 謎も多い。


 しかし、この場においては、この現象は何よりのヒントになった。




 (………!!そうだ。まだ残っているんだ。探していないポイントが——————)





 妙な寒気を感じ、思わず集中を乱すコウヤ。

 それも、一過性のものではない。


 それは、身体の芯からゆっくりと凍りつくような感覚であった。


 そして、時間が経つごとに、ゆっくりと、何かが抜け落ちていくのを感じていた。


 


 (………っ………ぁ、れ………)





 息苦しさが、尋常ではない。

 体も、頭も、止まりかけていた。


 とはいえ、原因は明確。

 霞かかった思考の中でも、答えは出ていた。




 もう、限界に来ている。




 コウヤの肉体が、悲鳴をあげている。

 神威を使いすぎたのだ。




 外部………コウヤの肉体にも、まず間違いなく影響は出ている。

 恐らく、ケンもそれに気づいているだろうという確信を、コウヤは持っていた。


 だが、もうそれを裏切りや、切り捨てだと考える思考は残っていない。



 今彼が思っているのは、きっと外で自分を信じて待っているであろう、仲間の期待に応える。


 ただ、それだけだった。




 (………不思議だ………頭の中がふわふわしているからかな………余計な事を考えずに済む。今なら、出来る)





 残った意識を、全て集中させる。

 体力的にも、これが最後。


 今まで全く手がかりはなかった。


 しかし、コウヤは奇妙な確信を得ていた。




 ここに、求めているものがある。




 修行としての目標も。

 自分探しを行うという、大きな目標も。


 




 (神威………俺の全てとも言えるこの力の源………それが強くなれば、少しは俺のことが………力のことが、わかるかな)






 期待と確信の向く方へ。

 コウヤは、神威を伸ばしていった。






 (——————お前俺は、何者なんだ?)















——————————————————————————————

















 ——————俺とお前が主役になれるような、そんなゲームを作るんだ。もちろん、お前もだぞ、    。



 ——————じゃあ、僕がお話を考えたい!









 笑い声と、他愛もない会話が聞こえて来る。



 誰の声だったか。


 いつのことだったのか。


 何もわからない。



 広がるのは見知らぬ景色。

 この世界とはまた違う、とても綺麗で、知らないものばかりの場所。



 ただ、ここがきっと故郷であり、これが自分の記憶なんだろうなという事は、なんとなくわかった。




 そして、今見ているこの少年と少し幼い声の主が、きっと自分とその兄弟だという事も。




 何故、こんなものを今見ているのかはわからない。

 でも、もしも管理者が自分の兄弟だとすれば、このフェアリアを作った理由は——————











——————————————————————————————













 「………夢を見た。古い記憶だ」




 体にまとわりついていたものを全て振り解き、目を開いたコウヤはそう言った。




 「お前のか?」


 「ああ。多分、これが俺の原点なんだろうなっていう記憶。だから俺は、こんな神威を持ってるんだと思う」




 どうやら、神威を通じて、少しは自分と縁のある神のことを知ったらしい。

 驚きはしない。


 俺はもう、ついさっき十分すぎるくらいに驚いた。




 「これが、羽か?」




 コウヤは、攻略本の背に付いているものを指差してそう言った。


 通りで、あれだけ自由に神威を扱っているくせに、手こずっていたわけだ。

 コウヤに関しては、そもそも当てはめるべき常識が間違っていたのだ。

 コウヤが羽を発現させられる場所は、自身の身体ではなく、攻略本だったのだから。



 しかし、




 「そいつは羽じゃないぞ」


 「なに?」




 コウヤが発現させたのは、羽ではない。

 ついている羽は複数であり、それは密集して2つの形を作っている。


 そう、翼のように。




 「羽、翼、天輪、天燿。神威の扱いが長けていくほど、この順で解放されていく。つまり、お前は羽をすっ飛ばして、その先に………翼の解放まで行ったんだよ」




 かつて、ウルクが立っていた場所。

 翼の解放。


 正直、想像以上の逸材だ。




 「おめでとうコウヤ。お前、まだまだ強くなれるぜ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ