表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1155/1486

第1150話




 「よし、行くか」




 最低限必要なものを身につけて、崖の上に全員で並んだ。

 改めて見ると、やはり相当広い。



 こうやって見ると、攻略印の位置もわからない。

 そもそもどこにあるのかもわからない。



 が、普通のダンジョンと違うことなんて百も承知だ。

 もとよりそのつもりで挑んでいる。



 そもそも、目的は攻略ではなく、経験値集めを兼ねた修行だ。

 精々強くなって帰って来てやる。





 「エル、頼む」


 「ご主人様、昨日も言いましたけど、この人数ならゆっくり降りるのが限界なのです。それでも大丈夫なのです?」




 小型のバハムート形態のエルでは、3人乗せて飛ぶのが限界であった。


 4人なら飛行は可能だが、5人となるとやはり結構厳しいものがあるらしい。


 だが、問題はない。

 目的はあくまでも、安全な着地だ。




 「それでいい。無茶させて悪いな」


 「大丈夫なのです! みんなのお役に立てて嬉しいのです」




 俺の成長が止まっているせいで、こいつも成長が止められてしまっているのは本当に申し訳ない。

 いつか伸び伸びと空を飛べるように、ここで目一杯力をつけねばならない。





 「よし、みんな捕まれ」




 俺とコウヤが尾ひれや足にぶら下がり、他3人がその上に乗る形になった。

 羽がある分背中は若干広いが、それでも大きな椅子一つ分といったところ。




 「よし、飛ぶぞ。せー………のっ!!」




 俺とコウヤで思い切り上に飛び、最高行動に来ると、羽を動かしてホバリングを開始した。





 「っぅ………」




 想像以上の負担に声が漏れ、捕まっている体が小刻みに揺れ始める。


 思ったより早い速度で地面に落ちていた。

 このままでも俺たちは大丈夫なのだが、問題はエルだ。





 「無理すんな。まず4人を先におろしてもいいんだぞ」


 「っ………いえ、行き………ます!!」






 身体を前に傾け、足場のない崖の先へ——————











 「「「!?」」」






 崖の外、異様な魔力を突如として浴びせられた。


 今の今まで感じなかった異様なプレッシャーが、ダンジョンの中央から鮮明に感じられた。


 環境が、変わった。


 それを、ここにいる誰もが、崖の向こうに触れた瞬間理解した。




 俺たちはゲート越え、とうとうダンジョンに入ったのだ。













——————————————————————————————











 「はぁっ………はぁっ………………」


 「お疲れ。よく頑張ったな」


 「はぁっ………………へへへ………頑張った………のです」




 疲れたのか、エルはすぐに影の中へ帰っていった。

 しばらくは出て来られないだろう。

 ここから先はしばらく空中からの偵察は無しだ。




 「それにしても………ここから見るとより異様ですね」




 ミレアは地面の乾いた砂に触れながらそう言った。




 「土っつーか砂だな。森と砂漠が混ざってる」




 ここはぱっと見は森なのだが、地面には異様に砂が混ざり、所々砂漠が侵食していた。

 ただ、一応木の実もあるので、食料には困らなさそうだ。




 「今んところ、周囲にモンスターはいない感じだな。ま、いきなりってのもしんどいし、丁度いいや」


 「コウヤ君、油断は禁物ですよ。魔力濃度が異様に高いですから、いつモンスターが湧いて出てくるか……………っ、危ない!!」


 「へ——————」






 ミレアの呼びかけにハッと気がつき、後ろを振り返るコウヤ。

 頭で反応した頃には、もう()はコウヤを大きく弾き飛ばしていた。




 「コウヤッ!!」


 「っぶな………」





 どうやら、コウヤは間一髪のところで、素早く()と体の間に剣を滑り込ませていたらしい。


 衝撃で体が宙に浮いていたが、なんとか身体を捩って攻撃の軌道から外れた。






 「なんだよこいつ………モンスター?」


 「じゃないな。全く魔力もなければ、生気も感じない」




 生き物ではない。

 動いてはいるが、規則性があって、意味のない動きが多すぎる。




 「多分、ダンジョンのトラップだ」


 「なるほど、どうりで魔力も何も感じなかったわけだ。なぁ、ミレア………」




 返事がない、と思ってふと振り返ると、俺は思わずギョッとした。





 「ミレア!?」




 なんと、ミレアが息を切らして膝をついていたのだ。

 慌てて近づいて様子を伺うが、攻撃を喰らった形跡はない。


 しかし、ひどく顔が青ざめていた。




 「どうした!?」


 「目が………感情………………このダンジョン………」




 混乱しているのか、言葉が支離滅裂になっている。

 だが、なんとなく理解した。


 どうやら、感情を見る目の力で、何かを見てしまったらしい。




 「っ、う………え………………!!」


 「!!」



 斜め上、迫り来る数本の枝。

 だが、パターンはもう覚えた。


 コンマ2秒待機、そこから飛んで左からくる枝に一瞬だけ足を乗せ、身体を捻って木に身体を向かい合わせつつ、やや後方へ下がり、右上からの枝を回避。


 それでもまだ攻撃の範囲内。


 が、問題ない。




 「リフィ!!」




 そのままミレアを掴んでリンフィアの方に投げた。




 「上、左、右、右………」




 目視、記憶にあるパターンに合わせ、最低限の回避をしつつ、間合いから離れた。




 「ふぅ………やっぱ俺のステータスじゃキチィな」


 「うーわ全部避けた………金髪、お前マジでどんな反射神経してんの?」


 「反射じゃねーよ。覚えた通りに動いてンだ」




 トントン、と頭を叩きながら俺はそう言った。




 「まぁなんでもいいけどさ、さっさと逃げようぜ」




 たしかに、特に用はないので、このまま逃げてもいい。

 が、少し木の動きに違和感を感じた。



 よく見て見ると、何かを守っているように見える。


 恐らく、中心部。

 枝に隠れているが、木の幹のてっぺんに、何かがある。





 「ちょい待って」


 「んあ?」





 物は試しだ。

 何かあるなら、確かめるまで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ