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第1051話



 目標その1 水増し役にされた患者の治療。


 目標その2 ミレア達が履行中ゆえ保留。


 目標その3 まだ手はつけてないが、あるものを利用して派手なことをする。




 こうやって見ると、2や3はまだかなり曖昧だが、俺の中で構図は出来てきた。

 これを一気に領主にぶつけたい。


 だからそのためにも、4つ目の目標はかなり重要になってくる。




 目標その4。

 仲間を引き入れること。




 これは他の三つと違い、全ての作戦をより効果的なものにするためにも必要なものだ。

 結局、俺たちの目的はあくまでも妥当領主にある。

 本人を殺せない以上、好感度を下げる他ない。


 しかし、それでは足りないのだ。


 敵の好感度を下げつつ、こちらの好感度を上げるためにも、人員が必要だ。





 「まず引き入れるなら、この部屋にいる奴だ」




 俺は、隣の部屋の扉の前に立ってそっと手を出した。

 中から気配は感じる。

 あいつは間違いなくここにいる筈だ。




 「コウヤさんのお友達のイーボさん………ですよね」




 そう。

 イーボだ。


 あいつの妹は疫病患者として現在隔離されている。

 事情を話してわかってくれれば間違いなくこちらの味方に付いてくれるだろう。


 

 ………ただ、一つ恐れている事もある。

 プランBはあるが、可能であれば使いたくはない。


 あいつが協力してくれるのを願うまでだ。




 「よし………」




 意を決し、扉をノックする。

 いつものように返事が返ってきたので少し待つと、さっきまで外にいたのか装備を着込んだイーボが出てきた。





 「よ」


 「む………依頼はどうした?」


 「10日ぶりに顔合わせていきなりそれか………まぁいいや。話があるから上がっていいか?」





 そういうと、イーボは視線を一瞬G・Rの方に向け、何かを探るように見つめていた。

 当然の反応として警戒はしている。


 当の本人はのほほんとしているが。




 「………ふ」




 すると、相変わらず言葉をを省こうとするイーボは、上がって来いと手招きをしながら奥へ入っていった。




 「大丈夫らしい」




 招待してもらったところで、早速部屋に入る事にしよう。













——————————————————————————————











 「進捗はどうだ?」




 部屋に入るや否や、珍しくイーボの方から話題を振ってきた。

 やはり、妹が疫病患者だからか、調査の結果が気になっているらしい。




 「進んだには進んだが、ちょっと厄介そうだ」


 「! 進展、あった………のか…………………!?」




 期待と疑念の混ざった複雑そうな声。


 これは何年も解明されなかった謎の病だ。

 それをポッと出の子供が調べて進展したというのだから信じられないのも無理はない。


 だが、進展したのは事実だ。

 なんなら、ミレア達が無事に返って来れば終わらせられる可能性すらある。



 「早ければあと一月二月くらいでどうにか出来るかもしれねーんだ」


 「信じられん……………」




 もっと言えば、こいつの妹が水増し要員だったらすぐにでも治せる。




 「なぁ。お前の妹………」


 「すこし待ってくれ! 落ち着きたい」




 妹の事を詳しくこうとすると、徐に立ち上がりながらイーボはそう言って、部屋の奥へ向かった。


 紅茶の匂いが微かに漂ってくる。

 意外な趣味だと思っていたら、どうやら人数分注いでくれたらしい。

 イーボはそのまま自分の紅茶ををグッと一気に飲み干すと、深呼吸をして席に戻った。




 「落ち着いたか?」


 「………すまん」




 困惑しているのだろう。

 紅茶をくれた時の手は微かに震えていた。




 「えーっと………どこまで話したか………」








 ぼーっと水面を見つめる。


 水面に映る自分の顔。

 波紋一つ立たず、綺麗に写っている。


 我ながら酷いものだ。

 目の前で狼狽えている友人と反するように平然としているのだから。



 少し、自分が恨めしい。





 「なぁ、イーボ」


 「?」




 俺はG・Rから紅茶を奪い取って俺のものと共にイーボの前に置いた。


 私の! と騒いでいるが、ここはひとまず無視。

 俺はまっすぐイーボの目を見た。




 「何を——————」






 「俺は何もしてないけど、お前の判断は間違ってない。安心して殺しに来いよ」





 「   」




 手を後ろに回して、手をグーパーと開いていると、察したのかG・Rは俺の手を握った。

 強く握った。



 「………」




 イーボは何も言わない。


 失敗への失望か、それとも自責か。

 だから、言葉をかける。

 救われるその時まで、せめて自分を責めないように。




 「全て、計算通りだぜ。イーボ」


 「!!」




 帰巣——————






 残りの一回を使い、俺たちは部屋を後にした。











——————————————————————————————











 「まさか、隣にいるとは思ってない………でしょうね」


 「だな」




 灯台下暗し。

 魔力を消し、静かにしていれば、近くにいるとは案外バレないものだ。


 見た感じ、隣の部屋からは気配が消えている。

 言われて外に探しに行ったようだ。


 それも、“指令” なのだろう。




 「紅茶には毒が入ってた」


 「!」




 恐れていた事というのはこれだ。

 協力して来れそうな人物に脅しをかけるというやり方。


 特にイーボは領主にとって目障りな俺とコウヤが関わっている共通の人物。

 領主が手を回さないわけがない。


 加えてイーボは妹を人質に取られているようなもの。

 言うことを聞かざるを得ないだろう。



 多分、やられたのはイーボだけではない。

 他にも手を回している筈だ。





 「なんて非道な………ケンくん、どうしま………………っ………」





 望んでやってる協力者は、全員殺してしまおうか。

 いや、ただ殺すんじゃ俺の気が済まない。

 

 そう思うくらいには、はらわたが煮えくり返っていた。




 「俺が……………一番嫌いなマネして来れたな。あのクズ野郎……………!!」





 家族を盾にする。

 この罪は重い。


 評価を落とせばそこで終わりにするつもりだったが、気が変わった。


 さて、どうしてくれようか。

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