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第1044話



 あの状況では落ち着いてウインドウが見えないので、人気のない場所………まぁ、宿の自室に入った。




 「あーーーー、身体がー。バキバキ言って………ますー」




 箱から出たG・Rは体を曲げてストレッチをしていた。

 ゴギゴギとえげつない音が鳴っている。




 「あ、見て………ください、ケン君。膝が一番音がすごい………です。いかに箱がきつかったかこの音を以ってちょっとは反省して………ください」


 「ごめんて」




 圧がすごい。

 そしてひしひしと怒りを感じる。


 しかしG・Rには悪いが、この話は一旦置いておく。




 俺は改めてウインドウを開いた。


 すると、やはり表示内容が数字の下に少し増えていたのだ。

 そこには、今回のミッションの成功条件と失敗条件書かれていた。




 ——————ただし、いくつか抽象的な内容も含んでいる。






 「なんだ………これ」




 勝利条件:敵を狼少年にすること。


 敗北条件:プレイヤーの死亡/狼少年になること。




 うん、回りくどい。

 そりゃ死んじゃダメだろ。


 というか、この規定は毎度書いている気がする。




 それはさて置き、やはり出てきた狼少年。

 今回の異界童話………ミッションがモチーフにしている物語は、“狼少年” の元となった、“嘘をつく子供” だ。


 つまり、いわゆる狼少年………嘘を吐き続けた結果誰にも信じられなくなった少年のようになってはいけないのだろう。




 そして、その指針となるのが、恐らくあの数字。

 あれはもう好感度を数値化したものと見て間違いない。



 つまり、あれを一定以下にしてしまった瞬間、ミッションは失敗。

 初日から表示されていた、“バッドエンドの回避” というのは、つまり俺が狼少年になることなのだ。



 そして恐らく、具体的なペナルティはわからないが、負ければ何かしら俺にとって不都合が起こる。




 「なるほど………ようは領主を失墜させろってわけね」




 だが、一つ気になるのは、勝利条件に領主の死亡と書かれていないこと。

 故に恐らく、失墜以外に方法はないということだ。


 手を出せないのが面倒だが、やるしかないだろう。




 「………………なるほど………となると、勝ち筋は………うんあるな。でも時間的にどうなんだ………?」





 チラッとG・Rのを見てみる。

 引き摺り下ろすまでのルートは見えたが、時間があまりない。




 「どうしたん………ですか?」


 「位牌に封じたガキどもの魂、もう少し長く保てないか?」


 「!」




 そう尋ねると、ぐっと唇を噛んで俯いた。


 わかっている。

 酷な質問だ。


 しかし、この答え次第でペースが変わってくる。




 「………………ごめん………なさい。魂を封じる技術は、実は覚えて間も無いん………です。これは、教わったもの………ですから」


 「教わった………!? 誰から!?」


 「名前は………えーと………………あ………聞いてない………です。でもテンションの高い男の子と一緒………でした」





 ………心当たりはある。


 それは、俺もよく知る人物だ。

 あいつらがいるのなら——————いや、ダメだ。



 今あてにしてはいけない。




 しかし、妙に嬉しい気分にはなる。

 もしかしたら、久々に会えるかもしれない。





 「よし。まぁできないもんは仕方ねーよ。ただ、計画通りに潰すのなら期限付きになる。だからまずは、野郎の顔でも拝みにいくとするか」


 「大丈夫………ですか?」


 「ああ。襲撃やらなんやらは一応心配すんな。いざって時も今日はまだ3分マックスまで使えるから、逃げ切る自信はある」




 それに、一つ思うところがある。


 敵はもう、恐らくある程度俺に目星を付けているだろう。

 それでも何故か、権力を使って無理やり幽閉したり、罪をでっち上げて評価を下げるなどをしてこないのだ。


 これもまた予測でしかないが、もしかしたらそういう直接的なミッションの妨害は、禁じられているのかもしれない。



 敵は一体何が出来て何が出来ないのか。

 このミッションにおいて俺と何が違うのか。



 少しでも見極めるためにも、一度会うべきであろう。





 「後はお前の分の宿代やら飯やらをどうするかだが………お前を人前に出すわけにもいかねーし、その辺はどうにかしておく」




 ここの看板娘も大概現金なやつだ。

 賄賂でも渡して宿代さえ払えば黙っておいてくれるだろう。




 「1ヶ月は基本ここで缶詰だけどいいか?」


 「引きこもるのは得意なので任せて………ください」




 親指立てていうことじゃないぞ、G・R。

 しかし、変に出る心配をしないでいい点には安堵した。




 「さてと………それじゃあ俺は早速………」




 と、領主宅に向かおうとすると、G・Rに引き止められた。




 「あっ、一ついい………ですか?」


 「?」




 そして一つ、頼み事を聞いた俺は、宿屋を後にした。

















——————————————————————————————















 決戦の地………か、どうかはわからない。


 しかし、少なくともこの先は、俺にとって敵の巣窟。

 本来ならば取るに足らないような敵であっても、油断をすれば速攻お陀仏だ。




 「おお、やっぱり本邸もでっけー………さぞ大人数の召使いがいるんだろうな」




 そのあたりも、しっかりと見ていこう。


 さぁ、敵の本拠地に乗り込むとしよう。

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