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第997話



 「あの野郎………!?」




 突如として現れた何でも屋、コウヤ。

 目撃者に逃げられたのも問題だが、敵に居場所を知られたのが、ガージュ達に取って何よりマズかった。




 「ガージュ、どうすんだ!?」


 「手っ取り早く殺せ。俺も出る。2人は魔力の充填を始めろ。急げ!!」



 「「了解」」





 ガージュは後ろの2人に小型化した核を渡し、武器を構える。

 不幸中の幸いだが、ここでコウヤさえ消せば、もう邪魔が入ることはない。


 手っ取り早く、しかしスマートに。

 周りにバレることなく殺す必要がある。




 「行くぞ」


 「おう!!」




 窓から身を乗り出し、ギリーは目標をコウヤに定めた。

 逃げる前に女もろとも殺すべく、魔力の込めた足で一気に蹴り出そうとした。


 その刹那——————








 「2人まとめて俺が——————」







 攻撃が、迫る。

 気がついた時には、すでに遅かった。


 顔の横僅か10cm。

 窓際にいたギリーを目掛けて、再び光の弾が飛んできた。


 先程の一撃もコウヤのものだという思い込みが生んだ小さな隙。

 それを誰かは見逃さなかった。



 咄嗟に顔を向け、攻撃の線を目で辿る。

 いよいよ当たるというその瞬間、





 「なっ」






 視線の先に、確かに見つけた。


 いない筈の存在。

 ここにいてはマズい存在。


 里を出た筈の、リンフィアがそこにいたのだ。






 「お前は——————」






 直撃。

 咄嗟のガードも間に合わず、そのままギリーは吹き飛ばされてしまった。





 「ギリー!?」


 「なん………で………………ここに………」


 「!!」





 窓を覗き込み、ガージュも確認した。

 確かにリンフィアがいる。



 情報は、誤りだったのだろうかと、怒りは衛兵達に一瞬向くが、そんなわけないとすぐさま考え直す。

 1人ならまだしも、複数人が出たと、一律そう言っていたのだ。


 お告げやミッションの関係上、領主がはめる可能性がないと考えると、答えはただ一つ。


 なんらかの方法で衛兵を欺いたということになる。




 それはつまり、





 「おっ、問題なく攻撃が通ったな。コウヤ思った通りだ」


 「「「!!?」」」




 その男は、窓から入ってきて、まるで心を読んだように、思考を読んだ。

 余裕綽々、してやったりと言わんばかりの自信に満ちた表情。


 やはり、気に入らないと再確認すると同時に、殺す機会が恵んできたと、ガージュは素直に喜んだ。





 「さーて、邪魔させてもらうぜ」


 「ヒジリケン………………!!」

















——————————————————————————————















 視点:ヒジリケン





 それは、数日前のこと。

 ウンディーネの手が借りられないとわかった俺は、とある人物の元に向かった。


 それは、




 「悪いな。早速貸しってのを返させてもらいたいんだ」




 あの時、鉱山で助けた女、ララーナであった。

 こいつは、病院で唯一意識を取り戻し、正気を保っていた。

 協力を得られるとすれば、ララーナくらいであったのだ。




 「なるほど………領主が信用出来ないってわけね………………いいですよ。協力します。うちの鉱夫に、門周りの見張りをさせればいいんですよね」


 「いいのか!?」


 「ええ。貴方は私を救い、傷を癒してくれた。それだけの理由があれば十分…………ぃひっ!?」




 俺は思わずララーナの手を握って頭を下げていた。


 頭を下げるのは嫌いなタチだが、ここは素直に頭を下げずにはいられなかった。


 感謝は当然ある。

 しかし、それ以上に、ほんの数日前にあんな目にあった女に頼み事をするのが情けなくて仕方ない。




 「ありがとう。絶対恩返しする」


 「え、ええ」




 協力は得ることが出来た。

 残る準備は、後一つ。












————————————














 「里を出るんですか!?」



 驚いた声をだすリンフィア。

 気持ちはわかるが、まだ途中だ。

 当然、逃げるつもりはない。




 「そうだ。作戦だからな。ただし、コウヤは置いていく」


 「え………………でもそれじゃ、いざって時に近道が………」


 「安心しろ。こいつがいる」




 ポンポンと頭の上にいる手触りのいい鯨を叩いた。

 エルがいれば、連絡も取れる。


 通信魔法具が普及していないこの世界でも、こいつがいれば交信が可能。

 しかも戦える上に機動力もあり、なかなか強い。

 有能なやつだ。



 まぁ、というのは置いておいて、本題に入る。




 「コウヤはブラフだ。加えて中の状況を逐一伝えて貰う。必要なのは、俺たちが里にいないという事実」


 「!! そっか、敵にそう思い込ませたあとに、私たちはエルちゃん越しにコウヤくんの指示に従って近道を抜ける。それで衛兵達にもバレずに里に戻ってくるってわけですね」




 流石リンフィア。

 わかっている。


 敵は当然、一番に俺たちを警戒してくるだろう。

 ギルドはおそらく二の次だ。

 領主の息がかかっているかもしれないし、そもそも俺たちも当てにする気はない。



 だから、まずは敵を欺く。





 戦いから逃げたという事実を認識させるのだ。




 その後、ミッション前日に里へ戻り、敵を待つ。

 後はララーナの手引きで敵の目的地を探り、ゴーレム召喚前に敵の目的地を突き詰め、そこに突っ込むというわけだ。




 「でも、敵は顔を隠してるかも知れませんよ。それに、馬車なんかに乗られでもすれば…………」


 「安心しろ、ミレア。見張りってのは入り口の見張りじゃない。連中が乗ってきた馬車や徒歩なら徒歩の見張りだ。目的地まで見張り続けて貰う。エルは連絡役だから、見張りをさせられないからな。けど、一台で追い続けたら、多分バレる。だから人手がいるんだ」


 「! 入れ替わり立ち替わりに見張り続けるってことですか」




 その通り。

 なるべく自然に、おおよそいくであろう場所に置いている馬車と入れ替わり、追いかける。

 それを繰り返し、目的地を発見したら、後はそこに突っ込んで奇襲する。




 「ちなみに、入り口の見張りはお前だ、ミレア。お前の目と魔力探知能力なら、敵を見分けられるはず」


 「!!………………任せてください!」




 まとめると、入ってきた敵をミレアが発見し、鉱夫達と協力して追跡。

 目的地が判明した段階で一気に奇襲し、敵を殲滅する。


 これが、今回の作戦だ。














——————————————————————————————












 そして、今に至る。

 作戦は成功し、ガージュ達を追い詰めることが出来た。




 「無造作にやってきてくれて助かったぜ。ここまで予定通りとは思ってもなかったからな」


 「………………」




 意外と挑発………という程のものでもないが、噛み付いてこない。

 それどころか、ガージュはどこか嬉しそうな笑顔をしていた。


 やはり、直接俺を殺したかったのだろう。



 笑顔といえどそれは殺意によって歪みきちゃう悍ましいものであった。

 禍々しく、底の無い虚のように見える。


 こいつにはただひたすら殺意だけが残っていた。


 これを俺が作ったのであれば、今回の件………カーバンクル達が傷ついた原因は、コウヤというよりも寧ろ——————




 「………なんでだ? なんでお前は、そこまで執拗に俺を狙う?」


 「そうだな。ここで殺すなら、言っておいてもいいか………………お前ら、すぐにここから離れろ。予定変更だ。別の場所でそれを完成させてゴーレムを呼べ」





 ガージュは後ろの2人に指示をし、すぐにここから逃した。

 だが、問題ない。こんな時のために、エルと()()()がいる。


 だから、俺はガージュの話を聞くことにしよう。

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