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第100話


 「急ぐぞ、メイ。今回の件と例の事件に関連性は今の所ないが、命令を出しているのがそいつらである可能性がある以上放っとけねー」


 俺はメイを抱えた。


 「わっ………と」


 「多分今回ここにいる目的は、魔石の回収だろう。さっきの魔族もリトルドラゴンの魔石を持って帰ろうとしてたっぽいからほぼ間違いない。多分ヨルデも連中に洗脳を使われている可能性が高い」



 「………ケンくん、我慢するので出来るだけ早くしてください。早急にマスターに報告しておきたいです」


 「おう」


 俺は【クインテットブースト】を使った。


 「………!」


 「少しマジで走るからな。舌噛むな………よッ!」


 地面を蹴った。




 


 この状態で走ったら、その速度は音速を超えたスピードになる。

 この世界で最速のやつより多分俺の方が早い。


 「メイ」


 メイはこちらを見た。


 「その連中のやり方は俺も気に食わねー。お前ら姉妹やリフィ、その他にもいろんな奴らが連中の手で不用意に日常を奪われた」


 「………」


 「俺はそういう理不尽が死ぬほど嫌いだ。憎んでると言っていい。だから俺は、今回手を出してきた事を後悔させてやりたい。連中じゃなかったとしても、あんなガキどもを使って魔石を集めて騙そうって腹づもりが気に食わねー。どの道首謀者は見つけ次第潰す」


 「………」


 メイはじっとこちらを見ている。

 向こうもその気らしい。


 「はっ、そんじゃとばすぜ!」



 俺たちはリトルバブルと侵入者の排除を急いだ。










———————————————————————————











 「では、リンフィア様。今日の訓練はこれくらいにしておきましょう」


 街のはずれでリンフィア達が訓練していた。

 防具をつけたニール相手に、銃を当てる訓練だ。


 しかし、ニールとは言え万が一もあり得る。

 なので、スピードは弱まるが、どうにか防具で受けきれるようにする方法を教えておいた。

 簡単な話、魔力を弱めるだけだ。

 だが、基本的に使用魔力を抑えるようにしてあるので、少し苦労はするが、リンフィアなら問題ないだろう。


 今の様子から見ると。実際に出来ていたようだ。


 「ふぅ………そうですね。そろそろいいと思います。帰ろ、ラビちゃん」


 「おわりか? あー、おなかすいたー」


 ラビも疲れ果てていた。


 「ししょう、いつかえってくるんだ?」


 「さぁ、どうなんだろう? ニールは何か聞いてますか?」


 「いえ、何も。祭りの当日までには帰ってくると思いますが」


 ケンは出て行くときにそれを言い忘れていた。

 リンフィア達は、どれくらいで帰ってくるのか知らないのだ。


 「まぁ、彼奴なら大丈夫でしょう。そう簡単にやられるとは思いません」


 「そうですね。じゃあ、早く帰って夕飯を食べましょう。明日も訓練しますからね」


 リンフィアは張り切っているようだ。

 人生初の祭りだからだろう。


 「はい」


 そうやってリンフィア達は帰路に着いた。









———————————————————————————









 「やっと着きました〜」


 「うー、なんかながくかんじたぞ」


 2人とも疲れているのだ。

 ニールはピンピンしているが。


 「ふふ、疲れているでしょう。早く部屋に——————」


 そこで、ニールの言葉が不自然に途切れた。


 「どうしたんですか」


 「忘れ物を思い出しました。リンフィア達は戻られてください。すぐ帰るので」


 リンフィアは勘がいい。

 なので何となく気になって尋ねた。


 「忘れ物?」


 「ケンに借りていた手拭いです」


 ニールはポケットを裏返してないという事を伝えた。


 「そうなんですか。だったら急がないとですね。いってらっしゃい」


 「行って参ります」


 ニールは外へ出て行った。










 「あの気配、まさか………」


 手拭いの話、あれは嘘だ。

 ケンはそんなものを貸していない。

 だが、ポケットをひっくり返すという仕草で、あたかも最初はあったと言う印象を相手に与えることが出来る。


 ニールは民家の屋根に登った。

 それに気がついたのは、南地区の門に近い場所だ。


 「でも何で………」


 それは、ニールの知り合いだ。

 魔王の兵の1人で、ニールがまだ軍にいた頃に知り合った。


 だが、理由がわからなかった。

 なぜこんなところにいるのだろうか。

 別に不自然ではない。

 ここはこの国で王都に次いで大規模な街。

 誰が来ようと不自然じゃない。

 人間だったら。


 「………!」


 そしてニールは見つけた。


 「おい!」


 「!」


 そいつは呼びかけられ、警戒心をあらわにしながら振り返った。

 しかし、ニールの顔を見るや否や警戒をすぐに解いた。


 「きッ、貴様!?」


 「久しぶりだな、リューラ」


 彼の名はリューラ。

 魔族の国、エヴィリアル帝国の将軍の1人。


 「叛逆者と会話する気はない! ここで叩っ斬ってやる………」


 「叛逆者? はっ! 汚い手を使って彼の方を貶めたクズ共にそんな事を言われとうないわ!」


 ニールはかつての後輩に怒り散らした。

 それに気圧されたリューラは一瞬たじろいだ。


 「ぐぬ………彼の方ァ? まさか、あの裏切り者、まだおめおめと生きているのかッッ!」


 ブチッという音が聞こえた気がした。


 「もういい………何のつもりで貴様がここにいるかしらんが、リンフィア様を侮辱した事は、高くつくぞ」


 魔力を強めていくニール。

 すると、


 「! マズイ………」


 リューラはそのまま何処かへと去って行った。









———————————————————————————









 「こッ、こちらリューラ・ソトブ。一つ報告しなければならないことが!」


 リューラは通信魔法具で通信をしていた。


 「フェルナンキアにて行方不明だった龍騎・ニールを発見しました!」



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