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3 - distracted

また日付間違えました。ごめんなさい。

週末の倉木総合病院は、ごった返している、わけでもないが其処にしてはまあまあな数の人がいた。

診察を受けに来た者もいれば、入院している患者の見舞いに来ている者もいる。

倉木総合病院は日曜日を休日としており、前日の土曜日は開いてはいるが診療の受付時間が短い。

それでも夕方頃まではやっているから、昼時である今にこれほどの人数がいるのだが。

そんな中に、魁人たち4――もとい、5人は紛れていた。

「……ほんとに海ちゃんついてきちゃったな」

「ね」

わざと少しバラバラになりながら、病院内を行き交う人に紛れて受付をやり過ごす。

「これからだと思うとワクワクするね、お兄ちゃん!」

「あー、うん、そうだな」

海は魁人の横にべったりくっついている。

ある程度中まで進み込んだところで、魁人が振り返った。

「特に問題も無さそうだな。伝えた通りに行こう」

皆が頷く。

「じゃ、皆頑張って」

啓がいち早くその場を離れていった。

啓を除いた4人はそのまま歩き続け、エレベーターに乗り込んだ。


倉木総合病院は一般に開放している1階から3階と、開放されていない地下のスペースがある。

今回は地下に侵入することが目的だが、いきなり堂々と地下に行くのは流石に危険だ。

行こうと思えばエレベーターで向かうこともできるが、階段で行くこともできる。

そのため、まずはどちらのルートが、またどこから侵入するのが安全であるかを見極めることにしたのだ。

それをずっと5人一緒に動いてしまっては非効率的だから、階毎に担当を分け、一斉に調べていく。

調査時間を決めておき、それが終わったら一度集まって情報を共有。

その後、最も安全だと推測されるルートから地下へ侵入し、情報を手に入れる……という作戦だった。


4人だけを乗せたエレベーターが動き出す。

「……なあ魁人、本当に上手くいくのかこれ」

「知らねーよ。ダメなときはダメだろ」

「えぇ……お兄ちゃん、いつもそんなんでスパイやってたの……?」

「いつもって言われてもまだ3回目なんだけど」

「えっそうなの!?もう何十回も行ってるのかと思ってた」

そんな会話をしている間に、エレベーターは2階に着く。

「2階って俺らか。駿、行くぞ」

「……ああ」

「頑張れよー」

拓と駿がエレベーターを降りていき、静かに扉が閉まる。

エレベーターの中に魁人と海を残し、3階へ上がりだす。

「……なんか駿、今日元気無くない?なんかあったのかな」

「さあ……うちに来たときは別に普通だったけど」

「先に帰っててもらったりした方がいいのかな?」

「いや、そこまで具合悪かったら駿から言ってくるだろ。あいつ言わなきゃいけないことはちゃんと言うから」

「ふーん?」

「俺らは俺らで集中しよう、な」

ポンと海の頭に手を置く。

「う、うん」

海は頬を染めて俯く。

エレベーターが3階に着いた。


「……よし、行こう」

「うん」

2人が歩き出した。

2018/08/13(月) 19:00に投稿します。

日付間違えたので連日投稿です。

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