2 - reward
啓たちと別れ、USBメモリを預かって帰宅した。
静かに玄関の扉を開ける。
帰宅を迎える声はない。海は待ち疲れて寝てしまっているのだろうか。
玄関の鍵を閉め、靴を揃えて上がる。
リビングの扉を開ける。
ソファで寝息を立てている海の姿が見えた。
「……しょうがねえ奴だな」
今日はもう疲れてしまったし、海を2階に運ぶのは面倒だ。
ソファに掛けてある毛布を海にかけてやる。
(風呂に入る前にこれだけ保存しとくか……)
2階への階段を上がり、自室の扉を開ける。
パソコンの電源を入れ、USBを繋ぐ。
正常にデータは保存できたらしい。パソコンにデータを移す作業をさせておき、自分は風呂に向かった。
(……なんかの役に立てばいいんだけどな……)
今はとにかく早く風呂に入って寝たい。
結果を見るのは明日にしよう。
「あのーすいません、僕のUSB見た方いませんかー?」
「見てねえよ……そんぐらい、自分で、管理、しとけ……」
「……なんかすごい疲れてらっしゃいますね」
「うるせえな……残業、した上に、間に、合わなかったんだよ……」
「あー君君。昨日の業務の件だが」
「あっ!はいっ!本当に申し訳ないです!」
「あーいや。私も詳しくは知らないんだがな、内容に不備が見つかったとか何とかで、急遽取りやめになった」
「……は…………?」
「すまないね。残業代はちゃんと出しておくから、今日は程々にして休んでくれ」
「…………えぇ……」
「……なんか、本当お疲れ様です」
「災難だ……」
次回は2018/08/07(火) 19:00に投稿します。
3日後です。すいません。




