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2 - factory

投稿日時を完全に間違えてました。ごめんなさい。

中に入り込んでも工場らしい機械音は聞こえない。

だが明かりがついている。

先程の事務所の様子から考えれば数人作業員がいてもおかしくないのだが、その雰囲気すら感じ取れない。

慎重に歩みを進めていく。

屋上に進むための階段を下りていく。

数メートル先に階段の踊り場が見える。建物の角に当たる部分だ。

あそこを曲がれば、もうすぐ近くに人がいてもおかしくはない。

細心の注意を払いつつ、一歩一歩と前に進んでいく。

自らの心臓の鼓動が聞こえる。しっかり地に立てているのか曖昧になる。

他の皆もそう感じているだろうか。

それを聞く意味はない。

ただ前に進む。

踊り場に差し掛かる。

ここを曲がってからが勝負だ。

「……待ってろ」

3人に小さい声で伝え、壁に手をつきながらゆっくりと覗き込んだ。


「……え?」


魁人が拍子抜けした声を出す。

「ど、どうしたの?」

啓もすぐに覗き込む。


「……誰も……いない…………」

作業員の人影は見当たらない。

だが。

「だけど……あの機械は、動いてる……」

魁人たちがいる階より下に、大きな機械がいくつも並んでいた。

その全てが、稼働している。

ほぼ無音だが、確かに動いている。

そして監視員などはいない。

完全に機械だけで製造が進んでいる。

「えっ、えっ、何も音してねえじゃんか、ほんとに動いてんのか?」

「あれ見て動いてないって言えるわけないじゃん……!」

「だから誰もここの工場がまともに動いてるって知らなかったのか……」

まだしっかり中身を見たわけではないが、この製造ラインに人間の手は必要ないのだろう。

だから人間が出入りするのは、素材の供給と製品の運搬のみ。

それも工場外に近い場所で行っていたのだろうか、とにかく工場の中に頻繁に出入りするということはなかった、ということだろう。

それならばこの周辺で恐らくここで働いている人間を見ても、その作業風景を見ることはほとんどない。

近くが住宅街でないこともあり常に見られているわけでもないから、余計に見つからないのだろう。

――それが分かったところで、何にもならないのだが。

「……とにかく、下に降りよう」

下りれる場所を探し、4人はまた歩き始めた。


梯子と階段を見つけ、1階に下り立った。

移動する間も『工場見学』を続けたが、やはり人影は見当たらず、機械も全て稼働していた。

近づいてみても、やはりまともに動いている。製品が作られ続けている。

一つ作るのに少々時間がかかるようだが、作られた製品は一見するとダストシュートのような穴に落とされていく。その向こうで山になっているのだろう。

説明会で紹介されていた製品に見えるものもある。特に嘘を吐いていたわけでもないのだろう。

「……うーん、でもこれだけじゃなあ」

「何か隠してるとも言いづらいよね……ただ気づかなかっただけっていうか」

魁人たちは『何か隠しているもの』を探しに来ている。

この程度では満足できなかったのだ。

「……やっぱり、事務所か」

「だよなぁ、でも人いたんだろ?」

「ああ……でもこのまま帰りたくないよな」

周りを見渡す。

機械の間ならいくらでも身は隠せる。

ふと、遠くにファイルのようなものが見えた。

「……?」

「どうしたの魁人、なんかあった?」

近づき、手に取る。

『緊急時対応マニュアル』と書かれている。古いものなのか、しわが大量についている。

パラパラとめくってみる。災害時、停電時、その他緊急事態への対処方法が記されていた。

その中に、ある文面を見つける。

魁人の口元が緩む。3人の方を向き、口を開いた。


「……事務所、入ってみるか。試す価値はあるかもしれないな」

次回は2018/07/29(日) 19:00に投稿します。

しばらく多忙なのでまた期間を延ばすかもしれません。

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