遭遇
【2020年 6月12日 13:00】
合衆国大統領のブルーム・レオナルドと大統領補佐官のロナルド・バーンズは、アレンシア帝国の皇帝であるドラシエル・エルバート・ハイマンのメッセージを受け、神聖アレンシア帝国へと飛び立った。
「大統領。あと1時間で神聖アレンシア帝国です。」
バーンズが大統領に話しかける。
「もうじきだな。このまま、なんの問題も起きずに着くことが出来ればよいが……護衛の戦闘機は?」
「異常はなく、全機健在です。」
レオナルドとバーンズの2人が会話をしている内に、辺りが深いモヤに包まれてきた。
「ん?雲の中にでも入ったのかね?」
「いえ、先程まで雲の遥か上を飛んでいたはずです……パイロットに確認してきましょう。」
バーンズがパイロットに確認しようと席を立とうとすると、機体が何かに殴られたような強い衝撃に見舞われた。
「うおっ!なんだ!」
バーンズは転倒し、レオナルドも窓の枠に頭をぶつけた。
「何事だ!」
バーンズがそう叫んだ時、パイロットから機内電話がかかった。
「機長か。何かあったのかね?」
「それが……護衛の戦闘機全てからの通信が拒絶。いくら呼びかけても応答がありません……また、視界不良の為高度12000mまで上昇しましたが、依然視界が霧のようなものに覆われています……ん?あれはなんだ?」
報告をしていた機長の目の前を、大きな黒いものが横切った。
「どうした?なにかあったのか?」
「なにか大きなものが目の前を……ん?あれは……鳥?」
機長の目の前、つまり進行方向に強大な鳥のようなシルエットが浮かぶ。
近づくにつれて、その異形がはっきりと見えた。
「鳥だと?高度12000mだぞ。いるわけがない。」
レオナルドは何を馬鹿なことをと嘲笑った。
「いえ、確かに鳥です!50mはあるぞ……うわっ!こっちにくる!回避!回避!」
怪鳥は向きを変え、大統領専用機に向かって一直線に飛んできた。
「ダメだ速すぎる!避けきれない!主翼にあたるぞっ!」
今にも衝突するとなったその時。
怪鳥が閃光に包まれた。
激しい閃光に包まれた怪鳥は燃え上がり、雲の海へと堕ちていった。
「一体何が起きた?機長、無事か!?」
バーンズが機長に確認する。
「まだ少し頭がクラクラしますがなんとか。奴は、バケモノはどうなったのですか?」
「燃えたようだか死んではいないだろう。一体何が起きたんだ?」
乗員全員が混乱を隠せず、不安や疑問を口にしていたその時、無線が入った。
「私は神聖アレンシア帝国空軍 第201航空団 第3護衛機中隊 隊長のレオハルト・クロイツ少佐であります。ブルーム・レオナルド大統領閣下御一行をお迎えに参上しました。
帝国本土まで、我が隊が護衛しますので、先頭を飛ぶ機体に続いて下さい。」
無線の声と同時に、黒と白で塗装された戦闘機が複数現れた。
「出迎え感謝する。ところで、我が国の護衛機は?さっきのバケモノはなんだね?」
レオナルドはクロイツ少佐に問いかける。
「あなた方を護衛してきた戦闘機は全て撃墜されたと思って間違いないでしょう。先程の怪鳥に食われたかと思われます。
先程の怪物は『ヘルセイレーン』と呼ばれる怪鳥です。電波を遮断する霧を発生させ、落雷のような電撃で攻撃してきます。
また、非常に獰猛で、戦闘機程度であれば食いついてきます。
一応、焼夷弾を使用して撃退には成功しましたが、また何時襲ってくるか分かりません。最高速度で、当空域を離脱して下さい。」
クロイツ少佐が説明する。
「そうか……やられてしまったか……直ちに現空域を離脱!アレンシア帝国の機体に続き、最高速度でアレンシア帝国へ向かえ!」
レオナルドは気持ちを切り替え、機長に命令を下す。
「了解。直ちに空域を離脱語、帝国空軍機に続きます。」
機長は命令を復唱し、指示に従った。
その後は何事もなく安全にアレンシア帝国上空へ辿り着いた。
「おぉぉ……これは……」
レオナルドは域を飲んだ。
広大な島の中央には、西洋風の大きな城が鎮座し、その周囲には50mはあろうかという高さの壁に囲まれた城下町のようなものが広がっていた。
また、城を中心に数十kmの間隔で30m程の壁が存在し、各所に要塞のようなものに多数の対空火器や砲台、トーチカが確認できた他、農場や田畑、工場など、ありとあらゆる建造物も存在した。
「衛星写真で見た時は分からなかったがこれ程とは……驚いたな。」
レオナルドは感嘆を隠せなかった。
「まもなく空港が見えます。着陸体制に入って下さい。」
クロイツ少佐からの無線が入る。
機体は着陸体制に入り、飛行場に着陸した。
3話になります。
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