彼女の世界
初投稿者なのですが、この枠ってどうしたら……?
過去の人は何を想って今を創ったのか。
私たちはこれからの未来をどう作っていくのか。
綿々と続く系譜の二次元創作物には空を飛ぶクルマや、何処へでも一瞬で行ける扉があったりするけれど、過去から見てとても発展したであろう未来の今を生きるものとして、それらはとても稚拙な想像だと言える。
けれど、そんな自由な発想が私は羨ましい。
その内私が生きていたことも忘れられる頃には、この時代の選択きっと馬鹿にされる事になるのだろう。
これは今に呪われた私の物語。
銀河系にある太陽の第三惑星である地球に住む人々は、数千年前には温暖化と資源の枯渇に悩まされていた。
その当時の人間はその外にある宇宙の資源に目を向けたが、今現在私たちは宇宙へと進出していない。
外の様子を調べるべく宇宙に基地はあるが、あくまでも研究目的で数百人規模程度の大きさしかない。
現在伝わる過去の結果として、その当時の科学力では宇宙空間に適応する事が出来なかったとの事だ。そしてその結果、如何にしてエネルギー効率を上げるかに全ての技術を注ぎ込んだ。
その結果奇しくも人は光明を見つける事が出来たと言う。
文明レベルが上がっても人間の存在意義や性根はそう簡単に変わるものではなく、文献を見る限りだと地球に少しだけ優しい存在になったと言う事以外変わらないように思える。
齢15、6歳の少女が悩む事もきっと昔から変わっていないのだろう。
「今日も寝癖が直んなくてマジ最悪なんですけど〜」
「その髪マジヤバい!ウケる〜」
外から聴こえて来る大きな声にうんざりしながらカーテンを開くと、早朝から煌々と存在を主張する太陽が部屋に射し込む。
窓を開けると春の陽気さもいつの間にか消え去り、初夏の気配を漂わせていた。そんな太陽は、今日も元気に空へ昇っていく。
「太陽堕ちないかな……」
ここ最近のマイブームは、いつか来る未来の太陽消滅を如何に早めるかを考える事だったりする。
きっとこれも15歳の少女の有り触れた願いだろう。
そんな事を考えていると、部屋の扉をコンコンコンとノックする音とその後に落ち着いた女性の声が届いた。
「お嬢様、朝食の御用意が出来ました」
「ありがとう。すぐに向います」
その声に簡潔な返事を返すと、お待ちしております。と言う声と、遠ざかって行く足音。
それを確認すると、今日一日の過ごす戦闘服へと袖を通して気合を入れる。
「よし!」
自分の脱いだ服を畳み、部屋を後にした。
「お嬢様。そろそろ……」
朝食後、紅茶を飲みながら新聞に目を通していると、数人いるメイドの中で一人だけフリルの付いたエプロンを着用しているメイド長が時間を知らせてくれる。
「そうですね……」
チラッと時計を見て、まだ目を通していない新聞を軽く流し見るとまとめてつくえの上に置く。そしてそのまま鞄を手に取り立ち上がる。
「お嬢様。本日は?」
暗に何で行くのかと聞いてくる。一応だけど、この家には大概のものが揃っているので。車、ヘリ、ジェットetc……その中で一番安価なものを選ぶ。
「車でお願い」
「かしこまりました」
私の返答を聞いて、メイド長は急ぎ支度を始めた。
しかし、便宜上とは言え毎度聞いてくるのも面倒だと思い始めた今日この頃。毎度の送迎もどうかとは思うけど、世の中には体裁と立場があるのでワガママはあまり言えない。
「私はお嬢様に付き添うので、皆さんはいつもと同じ様に仕事を始めていて下さい」
メイド長が部下達に指示を出している間暇なので、先に玄関先へと出ると、車を表に回して待っている好々爺と呼ぶのが正しいであろう執事が居た。立派にたくわえた髭を触りながら笑顔で経っている。
「おじいちゃん!何時戻ってきたの!」
感極まって……とは違うけど、暫く見掛けなかった人が待っていたので駆け寄って抱きつくと、優しく頭を撫でてくれる。
「ほっほっ……何時も大事にしてる建前はどうしたんじゃ」
私の行動に諌めるような言葉を使うが、その言葉とは裏腹に声音はとても優しいものだった。その声にさらに強く抱きつくと、背後から声が聞こえてきた。
「お嬢様?」
その声は先程からよく聞いていたメイド長のものだったが、先程より少々声音が低い。チラッと盗み見ると、腰ぐらいまである長い髪を一つに纏めてたメイド長がメイド服ではなく男装の麗人とでも言えるスーツで出て来ていた。
「はぁ……少々取り乱してしまったようです。あまり時間も無いでしょうし行きましょう」
久し振りに年季の入った手で触ってもらえたので離れるのが惜しかったが、メイド長の手前諦め離れる。
「ではお二人様……」
そのやり取りに笑顔を絶やさず見ていた執事が車の後部ドアを開けて入る様促すので、それに従い中へと入る。メイド長もそれに続き入ると、ドアを閉めて運転席に乗り込む執事。
「では、出発しますぞ」
後部座席に座った私たちにそう言うと、ボタンを押す。すると車は音も無く浮上し、進み出す。そしてそれを確認してからメイド長は口を開いた。
「結叶はもう少し気を付けなさい。あなたの奔放な性格は他の皆も薄々気付き始めていますよ?」
「ハイハイ……別に気付かれても私は困んないけどね」
この様なお小言は日常茶飯事なので、慣れたものだ。慣れるのもどうかとは思うけど。
「あなたが困らなくても御家が困ると言ってるんです……。昔はあんなに可愛かったのに……はぁ……」
私が適当に流すと、大体いつもの終着点へと行き着く。
「今も可愛いでしょ?性格曲がったけど」
「自覚あるなら直しなさいよ……」
「そこはご愛嬌って事で」
ニコッと笑顔を向けるとメイド長は座ったまま蹲る様な体勢をとる。
「将来悪女にならないでね……?」
はてさて、彼女は何を言ってるのやら。
「結叶がどんな娘になってもワシは応援するぞい」
ミラー越しに笑顔なおじいちゃんが応援の表明をする。その声を聞いて思い出したかの様にメイド長は運転席を見据える。
「源さん、あまり公の場となりうる所で結花を甘やかさないでくださいね?私が誤魔化すのも限界があります」
「分かっておる。さっきは友花殿以外いないと判断したから許したのじゃ」
「ならいいですけど……私だけ我慢するのも辛いんですからね?」
当の本人を差し置いて、楽しそうに執事のおじいちゃんとメイド長の友花姉さんが楽しく談笑を続けている。
ちょっと寂しいので、話題を変えるべくおじいちゃんに話を振る。
「そう言えば今回あっち行った理由は?」
実は私が高校入学するとほぼ同時で本家、当主の居る方へと呼ばれていたのだ。なので、会うのは本当に久し振りだったりする。
「大した事じゃないんじゃがな……まあ簡単に言ってしまうと、結叶おてんばきーつけろ。って感じじゃなぁ……」
「何それ!?……って、心当たりあるから何も言えないね」
本気でどうでもいいことで2ヶ月位呼び出してた本家の無能さに驚いて、その内容について多少考えてしまう。
「あぁ……結叶盛大にやらかしましたからね」
その時のことを思い出してるのか、友花姉さんが苦笑いしている。
「ワシ詳細までは聞いてないんじゃよ。何やったんじゃ?アイツら本気で警戒しとったぞ」
「15歳の成人の儀で結叶が……なんて言ったらいいんでしょうね。当主の周りに護衛居ますよね?アレぶちのめして当主脅したんですよ。さっさと家督譲るか3年間自由を寄越せって」
おじいちゃんが何が起こったのか想像も出来ないと言う風に言うと、友花姉さんが軽く説明する。
って、ちょっと誇張してない?実際はもうちょっと優しいやり方したと思うんだけど。
「ほほっ。流石結叶じゃのう……友花殿が鍛え上げただけある」
「私はもうちょっと正攻法でやった方がいいとアドバイスしたんですけどね」
しれっと友花姉さんが正攻法と言ったけれど、飲み物に睡眠薬入れる事は正攻法何でしょうかね?一々反論してもキリが無いのでしないけれど
居心地の悪さから外を見ると、目視できる距離に学園の校舎が見えた。
「あ、おじいちゃん。ここでいいよ。」
停めてもらうと、スイッチを入れる。するとおじいちゃんが扉を開けてくれるので降りるとお礼を言う。
「友花さんゲンさん、ありがとう」
「お嬢様、お気を付けて」
友花姉さんとおじいちゃんは声を揃えて外行きの応答を返す。
それを確認して、目的地に向かって歩を進めたのだった。