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いくつかの短い休憩を挟み、話し合いは九時間にもおよんだ。
「そうですか。仕方がありません。ここまで言ってもあなたの決意が揺るがないと言うのであれば、私たちはあなたの意志を尊重します」
二人はついに折れた。
ともに悲しそうな顔をしていた。
二人は、最後の最後まで私をこの先に行かせまいという想いに満ち溢れていた。
さすが最終防御壁と呼ばれるだけのことはある。
素晴らしい女性たちだ。
中年女性がテーブルの上にあるスイッチを押すと、先ほど私をこの部屋に案内した男が入ってきた。
「こちらです」
二人と違い、徹底した事務口調だった。
これはこれで、そういう人間を使っているのだろう。
廊下をしばらく歩いた先に、それはあった。
中には小さなテーブルと簡易ベッドだけ。
テーブルの上には水の入ったコップと、二錠の薬。




