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急に頭の中で浮かんできたアイデアで書いた作品です。とっさに書き始めたのでどのような展開になるかはまだ分かりません。
「暑い……暑すぎる………これだから日本の夏は嫌なんだよなぁ……」
季節は夏、おそらく学生は皆、夏休みという長期休暇に喜び、友達と遊んだり、旅行をしたりしているのだろう。だが、そんな夏も若林颯汰にとっては苦痛でしか無かった。狭い部屋にこもりっきりで、30度をゆうに超えている真昼だというのに窓も開けず、更にエアコンが壊れているため灼熱と化した小部屋で1人、悪戦苦闘しているのだった。インターネットショップ「Amizon」で購入し、家に届いたばかりのゲームソフト「ホラゴンクエスト」をたった今始めたばかりだった。
外が段々暗くなり日が暮れてきたようだ、颯汰はプレイしているゲームに1人、ブツブツ文句を言っていた。
「なんだこれ、つまらなすぎるよ!今までで一番駄作じゃないか!あーあ、こんなの買わなきゃ良かったなぁ」
ついに長時間握っていたコントローラを手放し、颯汰は床へ寝っ転がった。
(こんな生活いつまで続くんだろう………毎日がつまんなすぎるよ………でも、外に出るのも怖いし………)
はぁ〜と大きな溜息、起きたら夜までゲーム、起きたら夜までゲームと、こんな生活を毎日していたのだ。
颯汰は所謂引きこもり、通称ニートである。醜い容姿、そして幼い頃から肥満体型だった彼は小、中、高と長年に渡り苛められ、友達と呼べる人が1人もいなかったのだ。それにより、自分の容姿にかなりのコンプレックスを持ち、高校を中退し、こうして人目を避け、ずっと部屋に引きこもっているのだ。働こうとも思ったが、仕事をする以上、自分の容姿を他人に見られる事になる。それが颯汰にとってなにより嫌なのだ。親には申し訳ないと思っているが、こんな自分を変える気はなかなか起きないのである。
(でもなぁ…………このままおじいちゃんになるのも嫌だしなぁ………明日から頑張って散歩でも始めようかな………ん〜でもこんな僕を見てみんな絶対軽蔑するだろうし………どうしよう………とりあえずちょっと外に出て見よう……)
散歩をしようと決心をするだけでもかなり時間が掛かった。そのまま重い足取りで颯汰はベットへと向かったのだった。
翌日、颯汰は決心したとおり朝早く起き、散歩をする準備をしていた。
(よし……大丈夫だ……外は怖くない……怖くない………堂々としていれば良いんだ……)
「よし!お母さん!今から散歩へ行ってくるね!!」
「ええええええっ!!!外へ出るのをなにより嫌ってた颯ちゃんが散歩にですって!!どういう風の吹き回しなの!?」
慌てて玄関まで駆け寄ってきた母を背中に、僕は家のドアを開けたのだった。
(うううううっ………人が沢山いるよぅ………怖いよぅ……)
若林家の自宅はそれなりに賑わってる繁華街の近くにあった。なので夏休みとなると大勢の人によってそれはとても賑わっているが、颯汰にとっては地獄でしか無かった。
(やっぱり外に出なきゃ良かったなぁ………しかもかなり暑いし……でもお腹も空いたからそこの商店街に寄ったらすぐ帰ろうっと)
かなり大きい商店街を訪れた颯汰だったが、何かカランカランと、ハンドベルを鳴らしてる音が聞こえてきた。福引だ。何かのイベントで商店街で福引が行われていた。5等はティッシュ、4等は洗剤……と、福引では割とベタな商品になっているが1等は何と、一昨日発売されたばかりの新作ゲーム機、GS4(ゲームステーション4)が商品だった。1日のほとんどをゲームに費やしている颯汰にとって、喉から手が出るほど欲しい商品であった。しかし、颯汰は毎日家に引きこもり、つまり、所持金がほとんど無いので、GS4を手に入れる事は夢のまた夢であった。それより更に上の特賞もあるらしいが颯汰は眼中にも無かった。なんとしてでもGS4が欲しい、そう思った颯汰は福引に挑戦するのだった。
(さぁ!!来い!!1等!!!)
力強くガラガラ回していたらついにボールが出てきた。色は金だった。それを見たギャラリーは異様なまでに盛り上がっていたが、颯汰は何が何だか分かっていなかった。
「おめでとうございます!!!特賞の世界一周クルーズ旅行が当たりましたよ!!!!」
やや興奮気味なスタッフにそう言われたが颯汰はまだ分かっていないようだ。
(えっ……?クルーズ?何それ……ト〇・クルーズの事?)
そんなつまらない事を考えていた有様だ。
商品一覧が載ってあるポスターを見たら特賞には、世界一周クルーズ旅行と書いてあった。それで書いてある言葉の意味が段々分かってきた颯汰は思いっきり、
「ええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」
と、目玉が飛び出るぐらい絶叫したのだった。
来週以降は投稿ペース上げます。