優しい御主人様
にゃーん。
「君…は?」
「あ……あ……」
胸を隠しなんとか何かを言おうとするけど声はあんまり出てきませんでした。
「えっと……」
「…………」
しばらくの沈黙が続きます。
「み、耳?としっぽ?」
「あ……」
恥ずかしさで死にそうでした。
そんな時……ぽわんと煙が出ました。
「にゃっ!?」
元に戻れました。
「ミーコ……!?」
そばに駆け寄って私を持ち上げました。
「にゃーん。」
「仕事のしすぎか……?」
「にゃーん。」
私も…幻覚でしょうか?
そう思った時また、ぽわんと煙が出ました。
「きゃあ!?」
御主人様は私にびっくりしてしまったせいか、後ろに倒れ私は前に倒れました。
「ひゃっ……あ……」
「!?ミーコ!?」
焦ったような困った顔をする御主人様。
「わ、私………ミーコ……です。」
「ミーコ?」
「は……い。」
「この姿……は?」
「わかんない……です…。」
私はいそいそと御主人様の上から降りました。
御主人様ははあっと息をついた後Tシャツを持ってきました。
「とりあえず…これを着てくれないか?」
「は、はい。」
いつもの優しい…御主人様だ。
「言葉は……」
「その…話せます……。」
「いつも分かってたのか?」
「は、はい……だから…朝も…」
「そうか。」
「………」
沈黙が流れます。ノーブラですしすごく恥ずかしい。
「なぜ、人間になったんだ?」
「わ、私にもわからなくて…グス…」
涙が出てきてしまいました。
猫の時は出なかったのに…
「あ、わ、大丈夫か?」
「ふ……す……捨てないで…下さい…グス」
「捨てる?」
「私……私は……」
「ミーコなんだろう?」
「は、はい……」
「なら…家の子だ。」
笑って私にいてもいいと言ってくれました。
優しい御主人様の笑顔。また見れて嬉しかった。
御主人様はしばらくすると頭をなでてくれました。
「………ありがとうございます。」
「いつも通りだろう?」
少し…人間の顔で微笑むことができました。
「その、ミーコ?さっきみたいに戻れないのか?」
「その身体………」
「あ…えっと戻り方は……わからなくて…」
「そうか。えっと…いつも通りで行こう。」
「そうですね。」
御主人様は目をキョロキョロとさせ、少し、焦っているようだった。
ありがとうございました!