6 獣人族とステータス
本日二話目です。
誤字修正しました。
「娘の恩人にいきなり、本当にすまなかった!」
ロリンが四人に囲まれてすぐ、父は復活していた。
そして復活した父を見つけたシャロが、事のあらましを説明したのだ。
今父は土下座をしている。
「うん、きにしてないよ」
「ほ、本当か!?」
スキンヘッド猫耳男の上目遣いは、今日一番のダメージをロリンに与えた。
「きにしてないから、立ってくださいお願いします」
言われて父は、少しの間ロリンを見つめてから
「本当にすまない」
と一言言って立ち上がった。
「俺の名前はユーム、娘が世話になった。シャロ!」
名前を告げユームは父と友達を遠めでおろおろとしながら見ていた娘を呼んだ。
シャロは少しためらった後、小走りでよってきて泣きそうな顔で言った。
「ごめんなさいお父さんが…ロリンお姉ちゃんやっぱりわたしのこと――」
「ありがとうシャロ!」
言い終わる前に、ロリンはシャロの手を両手で包んだ。
「え?」
驚き照れるシャロにまくし立てる。
「シャロが説明してくれたおかげでシャロのお父さんと仲直りできたよ、ありがとう大好き!」
「え、えへへ…」
シャロは褐色の肌を赤くして、照れたようにはにかんだ。
「うぇ…ふんっ!」
だらしなくゆがみそうになった顔を気合でいい笑顔に固定するロリン。
きゃっきゃと笑いあう少女二人に、ユームの咳払いが聞こえた。
「んっ…仲がいいところ悪いんだが、そろそろ暗くなりそうだ。急いで里に戻ろう。支度してくれ」
「あの、わたしも行っていいんですか?」
「もちろんだ。娘の命の恩人で、何より友達だ。われらの隠れ里に歓迎しよう」
ユームはそういうと男らしくにっこりと微笑んで、その他の六人を起こしに行った。
「ん?」
ロリンは胸に手を当てて首をかしげた。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ。籠は私が持つね」
ぴょんぴょんと枝から枝へと飛び移りながら、夕暮れの森をかなりの速さで進む一行。
シャロはユームにおんぶされている。
いまさらながらロリンは、自分の扱いにおかしさを覚えた。
先ほども
「では、行くぞ」
とだけ言われて当たり前のように枝をぴょんぴょんに参加させられたが、普通の子供は枝をぴょんぴょんできない。実際シャロはおぶられている。おねむだ。
そういえば少女相手なのに最初から殺意の波動がすごかったな、と本当にいまさらながらロリンは思った。
思い立ったらすぐ行動とばかりに、ロリンは暇だったのも手伝いユームに聞いてみることにした。
「そういえば、わたしこんな見た目なのに侮ったりしなかったんですか?」
聞かれたユームは一瞬ぽかんとしてから、すぐに納得したようになって答えた。
「そうだな、人間と違ってわれら獣人族は歩き始めるのと戦い始めるのは同時といわれるほど、本能的に戦いを求めている。故に子供でも一流の戦士はいるし、なによりその…娘が害されると思ってな。獣人族では人間は狡猾で残酷な生物だと教えられている。それもあって、ということだ」
「なるほど」
なるほどだった。
ロリンは獣人族は脳筋で人間嫌いだと記憶した。
なるほどしているロリンにユームは続ける。
「それにわれらが飛び降りたときの動き。あれを見て侮るようでは獣人族失格だ。いったいどれだけのすばやさがあればあんなに速く動けるんだ?」
「どれだけのすばやさ?」
なんだか言葉が微妙におかしくないかと思い首を傾げたロリンだったが、聞き返されたユームのほうもなぜ聞き返されたのかわからない様子だった。
「そうだ、ステータスのすばやさだ。言いたくないというならいいんだが――」
「ステータス!?」
食い気味で聞くロリン。
突然大声を上げられたじろぐユーム。おねむだったシャロも目をこしこしした。
「そうだ、ステータスだ。…まさかステータスを知らないのか?」
胡散げな目でロリンを見つめるユーム。
ロリンは素直にうなづいた。
「どんな田舎から来たんだ…。ステータスオープンと頭の中で唱えてみろ」
「ステータスオープン」
「頭の中でいいのに」
シャロが残念な子を見る目で見ていたことに、ロリンは気づく余裕がなかった。
ロリンの頭の中に文字情報が羅列する。
【名前】ロリン
【職業】%FLUE豆ロT
【称号】勇者
【LV】HA2形6コ
【体力】100
【魔力】100
【力】100
【防御力】10
【すばやさ】ナハKST@U%√AGIO手四67賀9EE[1豆ケ
【知力】10
【技能】UI耳SYHKF3貝7GUIIニハW7534HLH5F鮭*OI47OSGOメム9078UI&モT豆WO3675IUO4テFHI55OUYWP銅OIUあPFU?GIWPOIUFOJ%G145H西I肘5GIWP(0OュPUFH用円!I#UYGWOPぱ三YPRUIIOWORシP)Y)PYT課PWYYTR(&JHHGFSUYLUIWHF――
「おぇ…」
「ロリンお姉ちゃん!」
「ロリン!」
ロリンの意識は闇に落ちた。
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