表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/51

勇者 2

今日はもう一話投稿する、予定です。

三つの牙の名前が入っていなかったのを修正しました。

誤字脱字を修正しました。

本当に申し訳ございませんでした。

 大星、貴、浩太の三人と一番隊の一〇人は、二日ほどで森を抜け、馬車に乗って王都へと進んだ。

 大星が聞いたところ国の名前などはないらしく、ただ人族の国と呼ばれているらしかった。そのことから分かるとおり、いわゆる人間の国はひとつしかなかった。

 王と貴族が治める国、と聞いて大星たちは小説などで描かれるようなどろどろとした権力争いに怯えたが、意外にそのようなものはないらしかった。

「平時はそういうものもあるのですが、現在は魔族の国と戦争中ですから、流石にそんなときに争うほどのまぬけはいなかったようで、何よりでした」

 とは苦笑いを浮かべたルークの台詞であった。

 馬車で進む道中、三人は勇者の特異性を知った。

 普通の人間及びその他の知的生物は、成人と同時に職業が決まり、条件を満たすことにより高位の職業に昇格(クラスアップ)することはあってもその大本、いわゆる系統が変わることはない。戦士が騎士になることはあっても魔法使いになることはないということだ。

 系統は大まかに四種類存在し、そのわけ方は戦士、魔法使い、治癒、生産である。

 だが勇者は条件を満たすことにより自由に職業を変えられ、覚えた技能もそのままどの職業でも使えるという。つまり魔法を放てる戦士となることも可能というわけだ。

 そのことからか、勇者専用の職業も存在している。過去の勇者が戦士と治癒の二つの系統を極めた時なれたという聖騎士という職業が有名だ。

 但し、戦士系統で九〇レベルになってもまったく育てていない魔法使い系統の職業に変えれば一レベルから始まる。元の戦士系統に戻れば九〇レベルになるが。聖騎士などの勇者専用の複合職とも言うべきものに関しては一つ一つ独立したレベルがあるらしい。

 そんな話を聞きながら、いくつもの村や町を通り過ぎ、十数日の時間をかけて彼らは王都にたどり着いた。

 村や町の様子から文明は中世レベル、と大星たちは判断していたが、公衆衛生は魔法というものが存在する影響もあってか道にぶちまけるなどというひどい状態ではなかった。

 王都の外壁を越えてから、勇者を一目見ようと集まる国民たちになんともいえない恥ずかしさを覚えながら、大星たちは石畳で舗装された道を進み、王城に着いた。

 王に謁見を、と最初に言われたときは礼儀も何も分からない大星たちはあわてて断ったが、勇者たちが礼儀を知らぬことを王は当然知っているから暴言でもはかない限りは大丈夫だといわれ、しぶしぶ納得した。

 三人が人生ではじめてみるような豪華な謁見の間に、佇む王はまさに絵にかいた王というような人であった。

 白いひげを生やし王冠をかぶり少し太っている。後で大星が聞いたところによるとまだ三〇歳らしい。浩太はそのおなかに少し親近感を覚えた。

 王との謁見は想像以上に簡単に終わった。

 まず王と妃、いまだ小さな皇太子と姫に大星たちの紹介がされ、次にその逆をした。その後、王に言われたことは勇者は国民の希望とも言える存在であるから立派な行動を心がけるように、と国は協力を惜しまないから周囲の魔獣を倒すなどして国民の不安を取り除いてほしい、の二つくらいであった。

 それに適当にうなずいたら終わった。

 やけにあっけなく終わった謁見に、大星がルークに疑問を呈すると

「昔の勇者がその…」

 といわれたのでそれ以上は聞かなかった。

 獣人族の件からも考えて、どうやら相当アレな勇者がいたようだ、と大星たちはあきれた。

 その後、大星たち三人は一人一室スイートルームのような豪華な部屋を与えられて寝た。馬車は悠々とした広さがあり、魔法的な技術でも使われているのか話に聞くような尻が痛くなる振動にも出会わなかったがそれはそれ。寝る場所としては現代人からすれば問題であった。久しぶりのベッドに三人はぐっすりと眠った。

 そして、その日から三ヶ月。

 常識や一般教養の勉強、訓練、比較的安全なところから徐々に危険なところへ場所を移しての魔獣狩りなどを行った三人は、そろそろ獣人族の国へ麟太を迎えに行くことにした。

 ルークたちは止めたが、実際大星たちは普通の獣人族相手ならばまず負けることはないので、忠告を与えるにとどめた。

「王城に勤める、高名な占い師からの情報があるので、それだけは聞いておいてほしい」

 大星たちにそれを断る理由などまったくないので素直に聞いた。

 この世界での占い師は本当に真実を当てられるので、聞いて損はないと別の一件から知っていたということもあった。

「勇者殿たちが出会っても、勝てないであろう獣人族の猛者たちの情報を伝えます」

 三人は別に自分たちが最強であると思い上がっているわけではないので、静かに続きを待った。

「一人目は、獣人族の王。これはまあ、出会わないと思いますが」

 三人は出会わないだろうな、と思いつつも、麟太がなにかやらかしていた場合は定かではないな、とも思った。

「そして、獣人族で十傑と呼ばれる強者たち。王と違い普段は自由に過ごしているらしいですので、彼らには出会うかもしれません」

 大星たちは少し真剣になった。

「その中でも占い師が勇者殿たちでは勝てないと占ったものは五人です。一人目は、十傑一つの牙、黒山猫族のクーガ。彼は黒い猫が二本の足で歩いている、といった風ですので、見かければ分かるかと。奇妙な術を使う、という話ですが、詳しいことは分からなかったそうです」

 三人はワーキャットを思い浮かべた。それと一つの牙とは何だ、と思ったが、称号か何かなのだろうと結論付けた。

「二人目は、二つの牙、白狼族のアークトス。こちらも、狼が二本の足で、といった風です。ただしクーガは引き締まった体格をしていますが、アークトスは筋肉の塊のようであるとか。勇者殿たちでは一撃と耐えられない剛力無双であるとか。十分気をつけてください」

 三人はムキムキのワーウルフを思い浮かべた。

「三人目、三つの牙、ホォク。鷹族の弓術使いで、なんでも自由に空を飛びながら一キロ先の的に命中させられるとか。翼を持った獣人は珍しいらしいので、翼をみたら逃げるでよろしいかと。もちろん、逃げるときは背後にお気をつけください。一キロ以上離れなければ狙われますから」

 三人は、よくわからないものを思い浮かべた。それに近いものを見たことがないためだった。

「四人目、四つの牙、フォウ。狐族の女です。なんでも、彼女だけは占いに対して何らかの対策をとっていたようで、それしか分からなかったそうです。申し訳ありません」

 大星と浩太は二本足でたつ狐をとりあえず思い浮かべた。貴は九本のしっぽと狐の耳を持つ妖艶なお姉さんを思い浮かべた。

「五人目、五つの牙、ユーム。彼に外見的に際立った特徴はないとのことです」

「じゃあ、どうやって見分けるんだ?」

「まず獣人族と戦わないのが一番ですが、戦いになってしまった場合は名乗れば名乗り返してくれます。彼らは誇り高き一族ですので」

 大星は名乗ってから逃げるのかよ、と思わないでもなかったが、負けて死んでしまえばそれまでなので黙ってうなずいた。

 ルークから強者たちの情報を聞いた大星たちは、今一度教えられたことを反芻した。

 そんな三人に、ルークは最後に、といって付け足した。

「獣人族は子供だからといって侮ってはなりませんよ、みな戦士です」

「でも、子供は技能が使えないんじゃ?」

 浩太は職業と技能の関係から、そのことに思い至り聞いた。

「技能やレベル、能力値に頼らない強さというものはあります。ご存知でしょう?」

 ルークは鋭い黄色い目を更に細めて凶悪に笑って返した。

 実際、何も技能を使わないルークに、大星たちは訓練で一度も勝てたことはなかった。

 三人は神妙にうなずいた。

 ルークからの忠告を聞き終え、いつの間に仲良くなっていたのか泣きながら浩太に抱きつく姫をあやした三人は、王都を発ち、森へと向かった。

 胸の中に、友への心配をやどして。

 但しその心配は麟太に対する心配ではなく、麟太が何かやらかしていないかに対する心配であった。


【名前】タイセイ

【職業】重戦士

【称号】勇者

【LV】39

【体力】64

【魔力】22

【力】51

【防御力】58

【すばやさ】19

【知力】20

【技能】スラッシュ、パリィ、ディフェンス、へヴィースラッシュ、雄たけび、挑発、フォートレス、炎魔法1


【名前】タカシ

【職業】魔術師

【称号】勇者

【LV】38

【体力】41

【魔力】67

【力】12

【防御力】23

【すばやさ】14

【知力】52

【技能】炎魔法3、水魔法3、風魔法3、土魔法2、治癒魔法1


【名前】コウタ

【職業】クレリック

【称号】勇者

【LV】41

【体力】70

【魔力】61

【力】34

【防御力】55

【すばやさ】8

【知力】49

【技能】治癒魔法3、神聖魔法2、スマッシュ、光魔法1

誤字、言葉の誤用の指摘、感想、評価をいただけると励みになります。

ブックマークをしてくださった方、ありがとうございます。すごく喜んでいます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ