プロローグ
初投稿です。
そこは、見たこともない森だった。
「で、何だここは?」
そう言って辺りを見渡している男は、さっきの出来事について考えをめぐらせていた。
先ほどまで男たち、この森にいる三人の男は日本の学校の放課後の彼ら以外誰もいない教室で駄弁っていた。
しかし突然足元に魔法陣としか形容の仕様の無い、幾何学模様と数式と謎の文字らしきものの集合体が現れ、光を放ち気づけばここにいた。
いくら目を凝らしてもこすってみても、そこはどう見ても先ほどまで今日風邪で休んでいない友達の話やその友達も含め四人でいつもやっているゲームの話をしていた教室ではなく、森である。
「やべぇ…」
最初に言葉を発した男、大星はそのやべぇはやばい、まじかよ、それなが口癖である貴が無意識に口から出た言葉だと思ったが、そうではなかった。
「な、なんなのこれぇ!」
悲鳴を上げながら震えているデブ、浩太が指差し貴が見ている先には、空間に亀裂が入ったとしか表現できないヒビが何も無い場所に広がっており、青い色のスパークを無作為に放出していた。
浩太は知らないが、実は大星と貴はこの光景を見たことがあった。
「これ、お前たちが出てくるときにも起こったんだよ」
そう、大星は二回、貴は一回見ていた。彼らは同時ではなく多少のタイムラグありでここに来たのだ。
「ってことは…ワンチャンあるな」
貴のワンチャンが意味することは、二人にも分かった。
教室に他には人がいなかったのに、もう一人誰かが現れるということは、否応無くもう一人の友人が出てくると予想させられた。
そしてそこから現れたのは―
「逆鱗出せオラァ!…あ?」
とても見覚えのある、いるわけの無い人であった。