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古い古書にしか書き残されておらず、知る人だけが知っている。
今となっては伝説とも呼べる存在、『銀の一族』。
彼等は、白銀の髪を持ち、瞳の色は海を連想させる深いサファイア色で、その容貌は美しい女神のよう。
その神々しさを感じさせる容姿を持つ故に、迫害され、奴隷に貶められ、高値で売り買いされ人を人とも思わない扱いをされていたこともあると、そこには綴られていた。
そして、最後に一言記録されている言葉があった。
銀の一族は、ある年齢を迎えるまでは性別未分化であると―――。