随筆/もう一度妻をおとすレシピ 『キャベツと鰹節のソテー』 ノート20170920
キャベツと鰹節のソテー
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職場に近いところにあるファミレスで昼食をとった貴男。ランチメニューではものたりなくて、プラスワン。野菜不足を気にして頼んだのが、キャベツとアンチョビーのソテーでありました。キャベツは沢庵サイズ、人参の細切れに、ほんのちょっとアンチョビー(鰯)の干物を削ったものを添えた調味料を素材に、塩で味付けしたというシンプルなものです。
翌日早朝、貴男は起きだして、がさごそ、キッチンでやり始めます。
冷蔵庫にはキャベツと人参がありました。しかし、アンチョビーがないではありませんか。ならば、ツナではどうかと缶詰を探してみたのですが、フルーツばかり……。
そこで貴男は閃きます。
そうだ、冷蔵庫に鰹節パックがあったではないか。
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では調理。
コンロに平たいフライパンを置き、オリーブオイルを敷き、沢庵サイズに刻んだキャベツと人参の微塵切りを入れて蓋をし、十五分ほど弱火にかけます。それから火を止め五分ほど蒸らし、以降は三回ほど十分弱火、止めて五分を繰り返します。
二回目で鰹節を加え、三回目の火を止める前に、ポン酢で味付けして蒸らします。それだけ。
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パジャマ姿の奥方が、寝ぼけ眼で起き上がってきました。
しかし、アンチョビーを鰹節に、岩塩をポン酢に替えた、貴男の企みはものの見事に成功したのでありました。奥方は尊敬の眼差しです。
「えっ、貴男って和食もつくれたのね」
「鷹の爪」
「それをいうなら、『能ある鷹は爪を隠す』では?」
そういうわけで、本日も、貴男の奥方は、イ・チ・コ・ロ♡
ノート20170920