1話・人類が生まれる前の話
いままでバラバラに出していた作品を時系列ごとに並べてリミックスした完全版。通常版には足りない部分を補ったり、新規の作品を追加する予定。
いきなり一億年以上前から始まるが大丈夫か?
オルワード「話をしよう。あれは今から36億・・・。いや、1億4000万年前だったか。まぁいい。私にとってはとある銀河でのちっぽけな出来事に過ぎないが、君たちにとっては多分・・・地球の出来事だ。
彼には78通りの名前があるからなんて呼べばいいのか・・・。確か、最初にあったときの名前は・・・ティラン。そう、あいつは最初から言うことを聞かなかった。私の言う通りにしていればあんなことにはならなかったろうに。まぁ・・・いい奴だったよ」
それはジュラ紀から白亜紀に移り変わり、最も恐竜が繁栄していた時期であった。そして、その恐竜の繁栄を支えたのがティランという神であった。
彼は他の神達が宇宙の至るところで星を創っていることを知り、自分もそれにあやかって地球という星を創っては、様々な生物を生み出していた。そしていつしか自分達と同じ姿の生物を創り出して地球に住まわせたいと思うようになっていた。
ティラン「この星を宇宙一の星にしたい。それにはどうしたらよいか・・・」
すると、どこからともなくオルワードが現れた!
オルワード「やぁ、君がティランだね」
いきなりやってきたオルワードにティランは驚きを隠せなかった!
ティラン「お前は・・・何者だ?」
オルワード「私はオルワード。とある世界から来た神・・・とでも言っておこう」
いきなりやって来た謎の神に、ティランは疑念を抱いた。つかみどころのない、不気味な神だ・・・と。
ティラン「ここへ何しに来た?」
オルワード「君の星を見に来たのさ。・・・なるほど、今まで見てきた星の中で1番美しい星だ」
ティラン「なんせ、ここまで築き上げるのにかなりの時間がかかったからな。水という液体や、それを暖める火、空気や栄養という生物が生きていく上で重要な物質などを編み出して、ようやく作り出した小さな小さな生命からな・・・」
オルワード「その小さな生命からこの恐竜という大きな生命にまで発展させたのだろ。その話はとっくに聞いたよ」
それを聞いたティランは驚愕した。今まで一度も会ったことのない神が、地球の全てを知っていたからだ!
ティラン「聞いただと?一体誰から!?お前、この星を見たのは始めてのはずだが・・・」
オルワード「私にはわかるのさ、この星がいつ出来たのか、いつ生命が発生したのか・・・。君にとっては長い年月に思えるだろうが私にとってはつい昨日の出来事でね」
オルワードの不可解な言葉にティランは首を傾げた。しかし、そんなことはすぐに忘れて本題に踏み出した。
ティラン「この星にいつか我らと同じ姿をした生物を創り出したいんだ」
オルワード「ほぉ、我らと同じ姿の生命体か・・・。そんなもの、簡単に創れる」
ティラン「どうしたらいいんだ!?」
ティランは見ず知らずだったはずのオルワードに解決策を聞いた!
オルワード「今ここにいる恐竜とやらが滅べば・・・事は全てうまくいくはずだ」
それを聞いたティランは顔が青ざめた。恐竜は自分にとって1番親しかった生き物だったからである。
ティラン「そ・・・それは嫌だ。俺にとって恐竜は大切な生物・・・いや、仲間なんだ!」
オルワード「ははは・・・。さっきのは冗談だ。許してくれ」
ティラン「なんだ、冗談かよ・・・。おどかしやがって」
オルワード「冗談・・・というのは、君が理想を棄てたらの場合だがね」
それを聞いたティランは安堵の表情から再び不安げな表情に変わってしまった・・・。
ティラン「それは、あれか・・・。俺の今までの夢を諦めろということか?」
オルワード「このまま恐竜が居続ければ・・・新たな存在である人類が繁栄できないからな」
ティラン「人類・・・?まさか、それは俺の理想でもあり夢でもあった自分達と同じ姿をした生物のことを言っているのか!?」
オルワード「そう、人類だ。やわらかく言えば人間・・・かな。いいネーミングだろ?」
ティラン「人類・・・人間・・・」
ティランは今まで考えてきた「自分達と同じ姿をした生物」の名称を決めていなかった。
ところが、それをいきなり現れたオルワードが勝手に決めてしまった。ティランは複雑な心境になったが、その名称を密かに胸の内にしまった。
ティラン「恐竜に成り代わって人類がこの星を・・・。にわかには信じたくないな」
オルワード「信じれば君の夢は実現するが恐竜は滅ぶ。信じなければ恐竜は滅ばないが君の夢は実現しない。どちらがいいかは君の選択肢次第だ。地球にとっていい選択をするのも悪い選択をするのもね」
オルワードはそういうと、どこかへ行ってしまった・・・。
ティラン「一体・・・奴は何者だったんだ?地球にとっての選択肢・・・だと?」
ティランがそういっていると、後ろから小さな子供がやって来た。
アース「お父さん、どうしたの?」
ティラン「なんだアースか。さっき知らない人と喋ってたんだよ」
アース「え?お父さん、ずっと立ってただけじゃん」
ティラン「なに?」
ティランは再び首を傾げた。今まで喋っていたのはただの夢か幻だったのかと・・・。
アース「お父さん、どこか行こうよーーー」
ティラン「そうだな、地球を散歩するか・・・」
ティランはそういうと、娘のアースを連れて地球のいろんな場所を歩き回った。
ティランには娘のアースがいた。生まれてから1000万歳くらいだったが見た目はかなり幼かった。母親は既に亡くなっており、家族は父親であるティランしかいなかった。
ティラン「お前が結婚するまでにこの星を豊かにしないとな!」
アース「あたし、いつかあの星の神様と結婚する!」
ティラン「あの星って、どこの星だ?」
アース「あの星って・・・。あそこの星だよ」
アースはそういうと、太陽に向かって指差した!
アース「この星を照らす優しい星の、優しい神と結婚したいの!」
ティラン「あの星が優しいからって、神まで優しいとは限らんぞ?」
アース「絶対に・・・絶対に優しいもん!あたしは何も間違ってないもん!!」
ティラン「ははは、相変わらず言うことだけはお母さんに似ているな。お母さんも『命が芽生える星を創れる神は心が満たされている』って言っていたな」
アース「お母さん・・・。うっうっ・・・(泣」
アースは死んだ母親を思い出して泣き出してしまった。
アース「ねぇ、パパはずっといてくれるよね?あたしを一人置いていかないよね?」
ティラン「大丈夫だ。俺は死ぬわけにはいかん。愛する恐竜のためにも生きていかないとな」
ティランは自分の理想を棄て、恐竜と共に生きることを決意した。そして月日は流れ、5000万年が経過した。アースも一人前の大人になり、地球の管理をするまでになっていた。
アース「父さん、この星はいつも平穏だわ。でも、恐竜以外の生物がほとんど進化してないわ。ずっと恐竜がいては新たなステップへと踏み出せないんじゃないの?」
ティラン「別にいいんだ、俺は恐竜が好きだからな。生物の進化退化なぞ、その星を統治する神の考え方次第だろ」
アース「でも・・・この星にも知的生物がいないとこれから先が心配よ」
ティラン「何が心配なんだ?」
アース「この星以外の生命体である宇宙人とか言う化け物がいつかこの星に襲来してくるんじゃないのかと・・・」
ティラン「宇宙人・・・?そんな生命体のどこが怖いんだ?」
アース「噂によると最近、月や火星がその宇宙人とやらに征服されたらしいわ・・・」
ティラン「なに・・・?月や火星といったら、この地球のすぐ近くではないか!だが、あの星には大した生物はいなかったのが敗因だろう。地球には恐竜という強い生物がいる。簡単には征服されないさ」
アース「でもそいつら神より劣るとはいえ、かなりの知能を持っていて銃や爆弾とか言う生半可な生物では太刀打ちできないような兵器を使うらしいわ」
ティラン「なーに、恐竜がそう簡単に負けるはずがあるまい」
ゴマーフ「いえ、負けます」
ティランが豪語している最中に、知らない神が割り込んできた!
ティラン「誰だ、お前は!?」
ゴマーフ「僕の名はゴマーフ。つい最近、太陽神になったばかりなのでこの星に挨拶をしに来たんです」
太陽神ゴマーフはのちに人類を護るために活躍する男である。アースよりも3000万歳若く、この時の年齢は3000万歳。アースの年齢は6000万歳だった。
ティラン「で、太陽神のお前がなんで恐竜が宇宙人より弱いと言う?」
ゴマーフ「ティランさん、他の神はあなたよりも早い段階で知的生物を生み出していたんです。あなたの考え方ではいつかこの星は乗っ取られます」
ティラン「知的生物・・・。俺がかつて考えていた神に似た生物・・・人類。だが、それを発生させるには恐竜を滅ぼさねばならん。俺にはそんなことできん。たとえ古いと言われても構わん。恐竜が滅ぶ時は俺も共に滅ぶ」
アース「そ、そんな・・・。父さん、そんな考えはよして・・・!」
ティラン「親の言うことが聞けぬのか!?」
ティランはそう叫ぶと、アースをひっぱたいた!
アース「うっ・・・」
ゴマーフ「ああ、なんてひどいことを!」
ティラン「この星を創ったのは俺だ。この星の運命がどうこうは俺次第だ」
ゴマーフ「だからって、自分の娘を平気で殴れるかよ!」
ゴマーフは怒りに身を任せて殴り掛かった!すると、アースが止めに入った!
アース「やめて!二人とも!!」
ゴマーフ「君は悔しくないのか!?自分の考えを完全否定されたのが!」
アース「悔しいよ、とっても・・・。でも、父さんの言う通りかもしれないの。地球の生物が進化するのも、宇宙人に攻められて滅ぶのも自分の選択肢次第だって・・・。だから、今はそっとしておきたいの」
ティラン「ああ、今は俺一人でいたい。・・・そうだアース、せっかく来てくれたゴマーフとかいう男に地球を見学させてやれ」
アース「わかったわ・・・」
アースはそういうと、ゴマーフの手を取って地球のいろんな場所へ連れていった!広大な海、生い茂る森林、大迫力の恐竜の群れ・・・。ゴマーフには全てが新鮮だった。
ゴマーフ「いつも太陽のほうからこの美しい星を眺めていたが、ここまで美しいとは思わなかったな・・・」
ゴマーフが地球の美しさに感動していると、アースがゴマーフに質問をしてきた!
アース「あなた、太陽神なんでしょ?」
ゴマーフ「ええ、そうですが・・・」
アース「やっぱり!あなたは私が夢に見ていた運命の神!私が結婚したいと思っていた神!!」
ゴマーフ「け・・・結婚!?僕にはまだ速いですよ!」
アース「愛があれば年齢なんか関係ないわ!」
アースはそういうと、ゴマーフに抱き着いた!
ゴマーフ「・・・暖かい。太陽とは違う、別の温もり・・・」
アース「この星の、地球の温もりよ。この星の生き物は太陽と地球の温もりがあって始めて成り立つ命なのよ」
ゴマーフ「太陽と地球の・・・温もり・・・」
ゴマーフは何を悟ったのか、アースに恋心を抱いてしまった。最初は年に数回だけ出会う程度だったが、出会いを重ねるごとにいつしか二人の想いは一つになり、アースはティランに隠れて密かにゴマーフと結婚した。
結婚してからはゴマーフも太陽の管理から抜け出すことが多くなり、アースと一緒にいることが多くなった。すると太陽の回転が鈍るようになり、その結果地球が寒くなり始めてしまった・・・。
ティラン「ここんところ天気が不安定で気温が低い・・・。恐竜達は一体どうなってしまうんだ」
アース「地球の環境はよく変動するから、時間が経てばすぐよくなるわ・・・」
ティランの質問にアースは何気ない態度で対応した。なぜなら余計なことを言って父に怪しまれたくなかったからである。
それと同時にゴマーフが仕事を怠っているせいで地球環境が変わってしまったことを信じたくなかったからである。
ティラン「アースよ、まだゴマーフと付き合ってるのか?」
アース「つ、付き合ってなんかいないよ」
ティラン「あいつを困らせたりとかしてないだろうな?」
アース「してないよ!」
するとティランはアースいきなりビンタした!
アース「痛っ!」
ティラン「嘘をつくな!!お前は俺に隠れて結婚したんだろう。それでゴマーフはお前に寂しい思いをさせないために、太陽の管理する仕事から抜け出してはお前に会っているのだろう!」
アース「そんな・・・。ゴマーフとは父さんに気づかれない場所で会っているはずなのに・・・」
ティラン「お前は気づいていないみたいだが・・・。俺は恐竜と会話ができる。お前がどこで何をしているのかをプテラノドンに探らせたり、各地の恐竜の会話を聞いてお前がゴマーフと結婚していたことを知ったのだ」
なんとティランはアースの行動を恐竜達に探らせていたのだ!それを知ったアースは逆ギレした!
アース「なによ!
私が誰と結婚しようがいいじゃない!!
ゴマーフは私にとって大切な人なの!!!
私はこの星から出てってゴマーフと一緒に暮らすわ!!!!
そうすれば地球環境も元に戻るでしょうよ!!!!!
私より恐竜のほうが大事なんだから悲しくもなんともないんでしょ!!!???
それじゃ、さよなら!!!!!!!」
アースはそう怒鳴り散らすと、地球から出て行ってしまった!しかし、その目には涙が光っていた・・・。
ティラン「違うんだアース・・・。俺が怒ったのは勝手に結婚したからではない。
・・・隠し通すことなく・・・正直に全てを・・・話してほしかっただけなんだ・・・」
ティランはそうつぶやくと、三日三晩泣きじゃくった。恐竜達がつきっきりで慰めたが、ティランの悲しみは癒えなかった・・・。
オルワード「まぁ、恐竜に対する愛情が強すぎて人類を生み出すことをためらった結果かな。でも、いいんじゃないかな?彼は恐竜に随分と慕われているみたいだしね。このままいけば地球は恐竜の惑星に・・・。
おっと、たしか君達のいる時代には恐竜はいなかったね。そうなるには地球が恐竜の惑星じゃなくなる日が来なければならない。つまり、恐竜が絶滅しなければいけないというわけだ。
君達にとってはわかりきった過去だが、ティランや恐竜達にとっては多分・・・はるか未来の出来事だ」
その頃、アースはゴマーフと太陽の近くの星で話し合っていた。
アース「・・・と、言うわけで父さんとケンカしちゃって地球から家出したの・・・」
ゴマーフ「それは僕にも非があるよ。お義父さんに黙って結婚の契りを交わしてしまったんだから。なんなら一緒に謝りにいこうか?」
アース「じょ、冗談じゃない!私はあなたが仕事をほっぽりださないようにするために来たのよ!」
ゴマーフ「ああ、君に会うために太陽の管理をほったらかしにしてるからね」
アース「はるばる太陽から地球へ来るのに大変でしょ?」
ゴマーフ「いや・・・。光の速さで移動すればあっという間に地球に着くけど・・・。太陽の管理が滞る1番の原因は君が帰してくれないからなんだけどね・・・」
アース「だったら、あなたの住む星で暮らすわ!それならいいでしょ?」
ゴマーフ「ええっ!?僕の住む星は気持ち悪い生き物がいっぱいいるよ!妖精っていう不気味な生き物が!!」
アース「別にいいでしょ?地球だと父さんや恐竜がいて落ち着かないし」
ゴマーフ「妖精ってのはな、しゃべるんだぞ?いちいちうるさい生き物なんだぞ!?」
アース「そっちのほうがいいわ!あなたが仕事から帰ってくるまで、おしゃべりの相手してくれる生き物がいるんだったら」
いろいろ話し合った結果、結局アースがゴマーフの住む星で暮らすことになった!
ゴマーフ「はぁ・・・。君にはいつも頭が上がらないよ・・・」
アース「やっとあなたとの生活が実現するのね!」
さっそくアースはゴマーフの住む星へと向かった。その星は地球から見えない、太陽の向こう側に位置する星だった。
ゴマーフ「ほら、着いたよ!」
アース「ここが・・・ゴマーフの住む星・・・」
アースは言葉を失った!なぜならゴマーフの住む星はかつて自分が生まれ育った地球とうりふたつの星だったからである!
ゴマーフ「僕が太陽神になった記念に兄や姉が創ってくれた星なんだ。僕みたいな末弟のためにここまでしてくれるとは思わなかった」
ゴマーフは兄弟姉妹の中では末弟にあたる存在であった。唯一の妹も双子の妹だったので実質的に1番年下といっても過言ではなかった。
アース「いいよね、あなたには頼もしい親兄弟がいて・・・。私には頭の硬い父親しかいない」
ゴマーフ「ねぇ、やっぱり正直に謝れば?そうすれば憂いなくこの星に住めると思うんだけど・・・」
アース「やだ!父さんが自分の考え方を根本的に変えない限り無理!!」
アースはそういうと、ゴマーフの星へ入った!星へ降り立ったアースは素晴らしい光景を目の当たりにした!
アース「すごい・・・!」
その星にはエルフ、ドワーフ、ホビット、フェアリー、バンパイアなど、アースにとっては斬新な生き物がたくさんいた!
ゴマーフ「あんな生物を見て怖がらないなんて、君は物好きかい?」
アース「物好きなんかじゃないわ・・・。私の住んでいた地球では主に恐竜しかいなかった。でも、この星には私たちみたいな姿をした生き物がいっぱいいる・・・。私にはそれが新鮮で新鮮で」
ゴマーフ「この星を気に入ってもらえてうれしいよ。
・・・でも、本当に父親と和解せずにここで暮らすんだね?それで・・・いいんだね?」
アース「いいの・・・。あなたとずっと暮らせれば!」
アースはそういい、ゴマーフと口づけをした。
ゴマーフ「・・・後悔しても知らないよ?」
アース「大丈夫だって!んもう、ゴマーフったらしつこいんだから!」
ゴマーフ「あ・・・ああ」
ゴマーフは薄々感づいていた。地球に何か不吉なことが起こる予感が・・・。
しかし、それをアースに告白できずにいた。彼女の穏やかそうな笑顔を見るたびに言う気が失せてしまうからであった。
ゴマーフ「ね、ねえ・・・。ちょっと話が・・・」
アース「そうそう!私もゴマーフに話があるの!実は・・・ついに妊娠したの!!」
ゴマーフ「え・・・?ああ、それはよかったね!」
ゴマーフは思いきって言いたいことを言おうとしたが、先にアースが妊娠したことを言ってきたので、自分の言いたかったことがさらに言いづらくなってしまった・・・。
ゴマーフ「今度こそアースに言ってやらないと・・・。僕が感じた不吉な予感を・・・」
しばらくして、ゴマーフは今度こそアースに伝えたいことを伝えようと覚悟したのだが・・・。
ゴマーフ「アースよ、君にはどうしても言いたいことが・・・」
アース「ああ、私も言いたいことがあるの。ついさっき、双子の女の子を産んだわ!」
ゴマーフ「え・・・」
アースは笑みを浮かべながら、かわいらしい双子の姉妹を抱き抱えていた。それを見たゴマーフはますます伝えたいこと伝えづらくなった。
アース「ところで、あなたの話したいことって何よ?」
ゴマーフ「あ・・・いや、生まれた子供になんて名前をつけようかなって・・・思って・・・」
アース「ああ、もうとっくに決まってるわ。青い産毛の姉のほうがセイカ、黒い産毛の妹のほうがマヤミって名前よ」
ゴマーフ「なんだ、もう決めていたのか。双子の姉妹で、姉がセイカで妹がマヤミだね!いやぁ、よかったよかった。めでたいなったらめでたいな」
ゴマーフは嬉しそうに生まれたばかりの娘を抱っこしたりした。しかし、本心から喜べなかった。
ゴマーフ「〔心の声:やっぱり、アースとお義父さんが和解して初めて喜べることだよな・・・〕」
アース「ねえ、深刻な顔してどうしたの?それとも何か悩み事でもあるの?」
ゴマーフ「もう僕らが出会って1500万年経つんだよ。そして君が地球から家出して500万年くらい経ったんだ。時の流れって長いようで短いなぁと思って・・・」
アース「そうね、今のあなたが4500万歳で、私が7500万歳で・・・。それがどうしたの?」
ゴマーフ「・・・故郷や親が恋しいとは思わないの?」
アース「ううん、全く思わない。今の生活のほうがずっと幸せだから」
アースの冷淡な物言いに堪えきれなくなったゴマーフはついに今まで言えなかったことを打ち明けた!
ゴマーフ「・・・たとえ、地球もろとも父親が死んでもか?」
アース「え・・・?」
自分の故郷と実父がなくなると聞いたアースは動揺したのか、少し不安げな顔になった!が、すぐにいつもの表情に戻った。
ゴマーフ「今まで嫌な予感がしていたんだ。地球になにか恐ろしいことが起きる気がしてならなかった。今まで言おうかどうか悩んでいたけど、君の幸せそうな顔を見ているとつい言い出せずにいて・・・」
アース「なによそれ・・・」
アースは冷たい表情でゴマーフを睨みつけた。
アース「あんたさ、そんな戯言で私の不安を煽ってまで父さんと私を和解させたいわけ?別にそんなことしなくていいよ。父さんの心配なんかいいから、私や子供達の心配をして、ね?」
ゴマーフ「・・・」
ゴマーフは決してティランとアースの父娘関係を改善したかったわけではなかった。ただ、地球に恐ろしい事が起きるということを伝えたかっただけだった。たった、それだけだったのだ・・・。
ゴマーフ「ごめん、変なことを言ってしまって・・・。ただ胸のうちを打ち明けたかっただけだったんだ」
アース「あなた、仕事のし過ぎで疲れてるのよ。たまには休んでくださいな」
ゴマーフ「あ、ああ・・・」
こうしてゴマーフは休暇をとるようになった。ところが、それでも太陽が心配だったゴマーフは密かに太陽を遠隔操作できる技術を手に入れた。
ゴマーフ「最初からできるようにしとけばよかった・・・」
そしてゴマーフは太陽を管理する仕事に行くフリをして、地球と自分の惑星に繋がるワープゾーンを造るようになった。
ゴマーフ「アースに悟られるとやっかいだからなぁ・・・。にしても、このワープゾーンはいつ完成するだろうか・・・?」
ゴマーフはそうつぶやきながら、黙々と作業を続けた。
一方、地球にいたティランはというと・・・。
ティラン「・・・今頃、アースはゴマーフとの間に子をもうけ、幸せに暮らしているのだろうな・・・。俺のことをきれいさっぱり忘れて・・・」
ティランが嘆いていると、はるか昔に出会ったオルワードがやってきた!
オルワード「どうやら、まだまだ人類は生まれていないみたいだな」
ティラン「ああ?人類の創造なんてとっくに辞めたんだよ。それに、人類なんてどっかの星にいくらでもいるだろ?」
オルワード「それが・・・いないんだな」
それを聞いたティランは眼を丸くした!
ティラン「なに・・・いない?」
オルワード「私が地球に出会ったあの日から他の星にいる生物を見てきたが・・・我らと同じ姿をした生物はいなかったよ。つまり、私が気に入ったこの星・・・地球でないと人類は創造できない」
ティラン「そ・・・そんな・・・。なんとかならんのか!?」
オルワード「なぁに大丈夫。君が過去を捨てる覚悟があれば、なんとかなるだろう」
ティラン「過去を捨てる覚悟・・・だと?」
オルワード「過去を捨てて自分が手に入れたい世界を創る力を手に入れる・・・。それくらいの覚悟がなければ、君の未来も恐竜達の明日も・・・虚無となる」
ティラン「過去を捨てる・・・か。・・・そうだな、もう俺の娘は帰ってこないだろうし、愛する恐竜達を護るためなら・・・!」
ティランは過去を捨て、自分の望む世を創る力を手に入れる覚悟をした!
オルワード「では、いこう。自分の望む世を手に入れるために」
ティランはオルワードに導かれ、新しい力を手に入れた!そして過去の記憶・魂・心を捨て、新たな存在となった。
第1天魔王・ダイノの誕生である・・・。
完全版を出すにあたって、過去に出した作品によっては、ひどいパクリ・版権に関わるシーンやきわどい表現があるかもしれないのでリメイクして改善する予定です。え?もうそれらしき箇所が出てるって?