2+2=4(健吾×時也)⑧
入試があり、合格発表。健吾も俺も合格だった。発表後は健吾とふたりで高校に書類を取りに行った。健吾の口から改めて「合格」と聞いたとき、思わず抱きついてしまった。
「ごめん……!」
慌てて離れようとすると、逆に抱きしめられて心臓が激しく暴れる。
「少しだけ」
すごくどきどきする。抱きしめられるのは初めてじゃないのに、すごく健吾を近く感じる。俺も健吾の背中にそっと腕を回した。
入学式の日、学校で真新しい制服を着た健吾と会い、あまりに格好よくてどきどきしてしまった。春休み中も会ったけれど、今日からは高校生として顔を合わせるようになる。
「違うクラスだね」
少し寂しい気持ちで言うと、健吾が頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「でも、隣のクラスだよ」
優しい笑顔に心がほぐれる。
結局、伊達と江藤とはあのままになってしまった。ため息は吐かないようにしないといけないと思いながらも少し俯いてしまうと、うしろから頭を小突かれて振り返る。
「なんで……」
伊達と江藤が、健吾と俺と同じ制服を着て立っている。
「偶然」
ふたりがそっぽを向いて声を重ねる。
「だから大丈夫だって言ったでしょ」
健吾が頭の小突かれた場所を撫でてくれて、信じられない気持ちで伊達と江藤をまじまじと見るけど本物だ。
「健吾は知ってたの?」
「知らなかったけど、大丈夫な気がした」
すごい……。
「そっか」
でも、そういうのもなんだかわかる気がする。伊達と江藤と話すのは久しぶりで、すごく嬉しくなってしまった。健吾がいて、伊達がいて江藤がいて……幸せだな、と思った。
江藤は俺と同じ二組で、健吾は一組、伊達は四組。クラス発表の貼り出しで同じクラスの江藤の名前には気づかなかった……俺って迂闊かも。
「一緒に帰ろうか」
健吾の言葉で四人で下校することにした。
帰り道、俺は自分から健吾の手を握った。健吾は微笑んでくれて、伊達と江藤はちらりとこちらを見ただけですぐ前を見た。
「健吾」
「なに?」
「好き」
大好き。
小さい声で伝えると、健吾がぎゅっと手を握り返してくれた。