2+2=4(健吾×時也)⑦
夏になる前、日高――健吾と同じ高校に行けるといいなと思っていたけれど、伊達と江藤も同じだといいなと思った。それとなく伊達と江藤に第一志望校を聞くけど、教えてくれない。もう決まってるはずなのに。
「なんで教えてくれないの?」
同じところじゃなくても変わらず仲良くしたい。だって、健吾はもちろん好きだけど、伊達も江藤も好きだから。
伊達がため息を吐く。
「そんなにいつまでも四人一緒にいられねえよ」
伊達の言葉が心を抉った。それはそのとおりかもしれないけど、でもこれからも仲良くしたいと思ってくれないのかな、と考えてしまう俺は幼いのかもしれない。落ち込む俺を健吾が慰めてくれて、伊達と江藤はどこかに行ってしまう。健吾だけがそばにいればいいと思えない俺は欲張りだ、と苦しくて胸が引き攣る。
なんとなく伊達と江藤と気まずくなってしまい、俺は健吾とふたりで行動することが増えた。
「大丈夫だよ、時也」
健吾はそう言ってくれて俺は頷くけれど、やっぱり寂しい。健吾の部屋で勉強をしながら、考えるのはどうしても伊達と江藤のこと。
「伊達と江藤と仲直りしたほうがいいよね」
健吾に言うと苦笑された。その表情の理由がわからなくて首を傾げる。
「伊達と江藤に嫉妬しそう」
その言葉の意味を理解して頬が熱くなってしまった。少し俯くと、健吾が俺の手を握る。
「勉強しないと……」
「五分だけ」
健吾が俺の肩に頭をのせる。甘えられているようで嬉しくて、柔らかい髪を撫でる。
「欲張ったらいけないよね」
俺の言葉に、健吾はなにも答えない。