2+2=4(健吾×時也)⑤
昼食後は軽いものから行こう、と立体迷路に。ふたり一組になることにして、日高と俺が先に行かされた。
「迷子になるといけないから」
日高が手を握ってくれて、どきどきがすごいことになる。迷路は思ったより簡単にクリアできたけれど、日高は握った手を離さない。後から出てきた伊達と江藤は、日高が握ったままの手を一瞬見てすぐに目を逸らし、なにも言わずに「次行こう」と歩き出した。ありがたいけれど、逆に恥ずかしいような……。
それからゴーカートに乗って、空中ブランコに乗った。乗り物から降りると日高は俺の手を握る。そのたびに俺はどうしていいかわからなくなる。
「メリーゴーランド行く?」
伊達が聞くので、他三人が揃って首を横に振る。恥ずかしくて乗れない、と口を揃えてしまった。
「そういうもん?」
「伊達は恥ずかしくないの?」
俺が聞くと、伊達は、別に、と答えるので少し感心してしまう。すると俺の手を握る日高の手に力がこもった。
「俺も恥ずかしくないよ。乗ろうか」
突然日高がそんなことを言い出す。さっきまで恥ずかしいと言っていたのに、どうしたんだろう。
「俺は恥ずかしい……」
想像しただけで頬が少し熱くなってしまうくらい。
「そっか」
日高はほっとしたような残念なような表情をする。その表情の意味がわからず、俺は不思議に思いながら聞けなかった。聞かれたくなさそうな顔をしているから。
メリーゴーランドはなしということになり、四人で移動。歩いているとちょうど噴水ショーが始まり立ち止まる。
「綺麗」
「うん。可愛い」
俺が言うと、隣の日高は謎な感想を返す。可愛いってなんだろう、と日高に視線を移すと、日高は俺を見ている。
「可愛い」
もう一度言われて頬が猛烈に熱くなる。握られた手にぎゅっと力がこもった気がした。