2+2=4(伊達×江藤)④
日高と根岸のところに戻り、昼食を食べに行く。昼食後は立体迷路に入り、ゴーカート、空中ブランコに乗った。メリーゴーランドに乗るような流れになりそうだったけれど、中三男子四人できらきらメリーゴーランドはないだろう、と俺は心の中で却下したし、口にも出した。その甲斐あってか、メリーゴーランドはなしになり、移動途中で噴水ショーが始まった。今日の目的のふたりの様子を見ると、根岸が噴水を見ているのに隣の日高は根岸を見ている。
「わかりやすいな」
俺の隣の伊達が言うので頷く。俺も伊達を見てみるけど、やっぱり……。
「……伊達はないわ」
噴水に視線を戻してひとつ息を吐く。伊達はない……そう思っていないと心の中でなにかが膨らみそうで怖かった。
夕方になり、日高が、最後はやっぱり観覧車かな、と言うので四人で観覧車へ。
「いってらっしゃい」
伊達が日高と根岸をふたりで乗せる。本当に面倒見いいな、とその様子を見る。
「俺らも乗るか」
ふたりを待っているものだと思ったら、俺も伊達と乗ることになってしまった。
「これでくっつかなかったら、もう知らね」
斜め上を見て息を吐く伊達に、つい笑ってしまう。
「そんなこと言ったって、知らないふりなんてできないんだろ」
思ったままを言うと伊達が少し驚いたような表情をして、俺の隣に移動してくる。
「な、なに?」
「観覧車の頂上でキスすると志望校に受かるらしいな」
すぐに嘘だとわかることを言って俺の頬をつつくので、その手を払う。
「違うだろ」
「じゃあなにか知ってる?」
顔を覗き込まれてどきりとしてしまい、知らない、と答えるけれど声が少し上ずっていたと思う。
「なあ、頂上でキスしたカップルは絶対に別れないっていうの、試してみない?」
「は?」
「キスしたいんだけど」
真顔でふざけたことを言う伊達に、顔を背けて逃げようとするけれど腕を掴まれて捕まってしまう。
「そもそも俺たちはカップルじゃないだろ」
「じゃあカップルになってくれる?」
焦りながら言った俺の言葉に、伊達がわけのわからないことを返してくる。その意味がまったくわからず伊達を見ると、その顔がぱっと至近距離に近づいて、唇に柔らかいものが触れた。ちょうど頂上。
「……」
頬がじわじわ熱くなって、眼前の男は俺から顔を背ける。
「……江藤、その反応はねえだろ」
「……」
「か……いじゃねえか……」
なにか呟いた。可愛い、と聞こえた気がするけれど、はっきりしない。今されたことが衝撃的すぎて固まったままの俺の頬に触れた伊達は、ぺしぺしと軽く叩く。
「解凍しろ」
「……っ!」
はっとして、伊達の足を思いきり踏みつける。
ゴンドラが地上に戻った。