2+2=4(伊達×江藤)②
日高ばかり見ている根岸と、根岸ばかり見ている日高。よくわからない伊達と、伊達はないわ、な俺。そんな関係が続いて中三に上がった。関係はそのまま、クラスもそのまま持ち上がりだから顔ぶれは変わらない。日高と根岸はくっつきそうでくっつかなくて、なんだかじれったくなってくる。
「日高が好きなの?」
ある日、じれにじれて根岸に聞くと、根岸は真っ赤になった。その反応に、素直で可愛いな、と思った。たぶん日高も根岸のこういうところが好きなのかなと、なんとなくわかった。
「別に好きとかそういうんじゃなくて……!」
根岸は否定したと思ったら他人事のように、好きなんだ、なんて呟いた。
「でも、日高には俺なんかだめだよね。だって日高は格好いいし、頼りになるし、人気者だし」
それからうじうじ言い始めて、これは長くなりそうだと俺は小さくため息。
「根岸、うるせえ」
突然根岸の言葉を遮る声に顔を向けると伊達がいる。
「しょうがねえな」
そう言って伊達は、うん、とひとつ頷く。いつの間に、と思いながら伊達を見ると、伊達が俺を見て目が合う。
「日高には言わないで!」
根岸がなにか言っているけど、俺は伊達から目が離せない。伊達も少し口角を上げて、そのまま俺を見ている。
「お願い、伊達! 江藤も、日高には絶対言わないでよ!」
「どうすっかなー」
なんで俺を見ているんだ、と思いながら、俺も伊達を見る。伊達は俺の髪をくしゃくしゃと撫でた。
「なにすんだ」
「ちょうどいい位置にあるんだよな、江藤の頭」
なんだそれ、と思いながら、なぜかそれが嫌じゃない。髪を直しながら伊達を見ると、また手が伸びてきたので慌ててよけると笑われた。
それから日高と根岸をふたりきりにするために伊達とふたりで行動するようになった。
「伊達って意外とお節介なんだな」
こういうことは面倒くさがりそうだと思ったけれど、違ったようだ。
「気まぐれ」
伊達はそう答えるけれど、絶対気まぐれなんかじゃない。こいつ、いい奴だな、と今更思う。……でも伊達はないわ。
日高と根岸はいつまで経ってももだもだしている。さっさとくっついてしまえばいいのに、と見ているほうがもやもやしてしまう。
「いつになったらくっつくんだか……伊達?」
「江藤、行くぞ」
「え……」
二の腕を掴まれて引かれるままに伊達について行く。またお節介が出てきたかな、と伊達を見ると、たぶん俺の予想は外れていないだろうという顔をしている。日高と根岸が話しているところまで近寄り、伊達が根岸の頭を小突く。
「じれったい」
伊達と俺で根岸を囲んでいると、日高が根岸を自分のほうへ引き寄せる。じゃあさっさとくっつけよ、と思いながら伊達と顔を見合わせる。
「四人で遊園地行くか」
伊達の提案に根岸は驚いているけれど、俺が乗ると日高もすぐに乗ってくる。伊達、日高、俺で話を進め、根岸はそのスピードについていけない、という顔をしている。
「次の日曜日でどう?」
伊達の言葉に、日高が根岸に確認をとって、全員大丈夫ということで日曜日に決まり。目的は日高と根岸をくっつけることではあるけれど、遊園地はそれなりに楽しみかもしれない。