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ミアの長い1日

毎日投稿エグすぎません?

これやってる皆様マジ尊敬なんですけどおお


馬車が緩やかに減速し、やがて完全に停止した。どうやら学園の通学専用ロータリーに到着したようだ。


扉が開かれ、アルものように手を差し伸べる。


「降りて、ミア」


アルの手を取り、足を踏み出そうとしたその瞬間——。


(……あっ)


ちらりと視線を後方に向けると、そこにはゴーデルス様の姿があった。



途端に胸の奥がざわめき、思わず意識がそちらへ向かってしまった


**ズルッ**


足元の感覚が抜け、体がふわりと宙に浮く感覚がした。


「っ、ミア!」


しかし、落ちる前にアルの腕がしっかりと私の腰を支えてくれていた。驚いた拍子にギュッとアルの制服を掴んでしまう。


「……大丈夫?」


アルが心配そうに覗き込んでくる。


「うん……。ちょっと、びっくりしただけ」


「本当に?」


「うん、さっきまで話していたゴーデルス様を見かけて、少し動揺しちゃったみたい。でも、もう大丈夫!」


アルはまだ納得してないような顔で「分かった」とだけ言って、私の手をギュッと握る


そのまま私はアルに手を引かれ、校門へと向かっていった


---




教室に入り、席に着くと、すぐにホームルームが始まった


「来月、学園に隣の大陸イグナテラ大陸から、短期留学生が来ることになりました。その時歓迎会をするのですが、何かいい案がある人がいれば提案してください。」


その言葉に、クラスメイトたちはざわつき始めた。


「イグナテラ大陸からの留学生? どこの国から来るんだろう?」

「語学の授業増えたりするのかしら?」


皆が期待と興奮を滲ませる中、私はただ窓の外をぼんやりと眺めていた。


「私から提案がありますわ!我が大陸はウィンディア!水と風の精霊が生まれた地、そして、イグナテラ大陸では火と土の精霊が生まれた地、それならとっても有名な神話があるでしょう?水と火の精霊の恋物語!これを提案させていただくわ!」


「まあ、なんて素敵なアイディアなのでしょう!流石ゴーデルス様ですわ!」

クラスメイトの称賛を得て、これに決まったとばかりに次の提案を出していくゴーデルス公爵令嬢なのだった



ホームルーム終了の鐘が鳴る



「ミア、大丈夫?」


アルが小さな声で囁いた。

その一言で霞かかっていた思考が、一気に戻る



「えっ?」


「……ずっと上の空だったよ」


「そ、そんなことないよ」


慌てて否定するが、アルの目は呆れた様子で、誤魔化しは通じなかった。


「じゃあ、ミア劇で何やるか覚えてる?」

「え、、げき?劇ってなに?」


「ホームルームで先生が来月留学生が来るから、その歓迎会に劇をやることが決まったんだよ」


「そ、そうだったの!?」

うう、なんで何も覚えてないの、、

「それで、水と火の精霊の恋物語をすることになったんだよ」

「へえ!?あのお話、切ないけど、とても美しくて素敵だよね」

でも、アルは浮かない顔をしている。


どうしたんだろ。昔、お母様にこの物語を読んでもらった時ふたりで感動して泣いていたの、、私、おぼえてる


「そうなんだけど、実は僕、水の精霊をすることになったんだ、ゴーデルス様からの推薦だったから断れなくて」


あ、そういうことか、、、


「...じゃあ、もしかして火の精霊はゴーデルス様?」

「そういうことになるかな」

「そ、そっかあ.......」


確かにゴーデルス様と会う時二人きりでいないようにしようって馬車で話してたのに、でもこれはしかたないよね


「あのさ、私素敵な劇になるよう応援する。手伝えることがあったら何でも手伝うね」

「ありがとう!でもミアも大役任されてるんだよ?」

「え、私が?ど、どうしよう、セリフとか覚えれるかな

私の反応を見て面白がるように笑うアル


「ふふっ、大丈夫、役では出ないよ」

「そうなの!?なんだ、よかった!」

教科書のように暗記すればいけるかもだけど、心が動かされるものほど私、忘れっぽくなりやすいんだよね、本当に不便すぎるよこの体!


「ミアには投影魔法で劇の世界観を再現してほしいんだ。劇の間ずっと魔法を行使できるのはミアしかいないって皆言ってて、大丈夫?」

「そ、それはすっっごく大変なのでは?」


魔力は大丈夫だと思うけど、セリフに合わせてシーンを変えたり絶対細やかな魔力操作とか必要なやつ!そういう繊細な作業苦手なのにぃぃ


「うん、だから僕もミアが心配無くなるまで魔法の練習に付き合うよ」


いやいや、それはなんでもアルに負担がかかりすぎでは?

「え、でも、劇の練習もあるのに、アルの負担が大きすぎるよ、、、」

「僕のことは心配しないで、大丈夫だから」


安心させるようにそっと手を握られる。こんな風にされちゃうともう何も言えなくなってしまう


「うん、ありがとう」

そっか、ゴーデルス様とアルが恋人役かあ、きっととっても神秘的でお似合いなんだろうなあ

---




「では、ミアさん教科書67ページを開いて、最初から読んてください。」


「はい」

立ち上がり、言われたところを読もうとして


「ちょっと!ミアナさん、それは古代語ではなく公用語の教科書です!」


「あ、失礼致しました、Ms.メハートン」


「教科書はアルノイドさんに見せもらいなさい」


「ミア、これ使って」


すぐにアルが、自分の教科書を貸してくれる。


「……ありがとう」


読み終えると見やすいように机をくっつけてくれた。


「やっぱり、ミア、今日はずっと変だね」


「そんなことないってば、私が変なのはいつものことでしょ……」


そういいながら、情けない自分に落ち込む。


もっとしっかりしなきゃ

そう自分に言い聞かせた


---


昼食の時間になってもミアのぼんやりは続いていた


「ほら、ミア。ちゃんと食べなきゃ」


アルがスプーンを差し出してくる。普段なら「やめてよ、恥ずかしい」と嫌がるのに、今日は何も言わずされるがままのミアだった。


「……」


パク。


「……」


もぐもぐ。


「……ミア?」


「あむ……」


次々と運ばれてくるスプーンを、ただ口に運び続ける。


(……なんだか、昔のミアみたい。かわいいけど、また、何も話さなくなったらどうしよう)


アルの心に、不安がよぎる。


(過去の話を聞いたら……ミアはどうなるんだろう?)


あの頃のミアは人形のように動かなかったな、いつも生きているのか心配してたっけ。だから僕はいつもミアから片時も離れなくてお母様に怒られてたな

僕達のこともやっと覚えてくれたのにまた忘れちゃうのかな


アルはミアの頬にそっと触れ、囁くように言った。


「ねえ、ミア……」


「……なぁに?」


無防備に返ってくる声に、アルはただ静かに微笑んだ。



(どんな結果になったとしても、またやり直せばいい。どんなミアでもそばにいるって決めたんだから)


アルは改めてそう決意しながら、ミアの頬についた小さな汚れをそっと拭き取ったのだった。

私のモットーは読みたいものを書く!でもストーリー進める上で楽しくないシーンも書かなくちゃいけない。メンタルやられそうってなるときに、リアクションとかブックマークついてるの見ると一気にやる気出てくるんですよ

ほんとにほんとに、感謝しかないです!

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