26. 女子会
デビュタントから数週間が経っていた。
アルティミシアはデビュタントの翌日に学院でユリエとレギーナに平謝りの上感謝の意を伝えたが、2人はまったく怒っておらず、ただアルティミシアの無事を喜んでくれた。
それでもどうしても気がおさまらないアルティミシアに、「じゃあ気になってる王都で人気のカフェでごちそうして」と提案してくれたのはレギーナだ。
中間試験はデビュタントの前に終わっていた。そのため試験勉強に時間を取られることはもうなかったが、休息日は3人とも多忙でなかなか予定が合わず、やっとカフェに行ける、という休息日はもう学院の長期休暇の少し前だった。
今、3人と1人はカフェにいる。レギーナの言っていた王都で人気のカフェだが、周りに客はいない。個室である。
店舗兼カフェになっているのは1階。2階は個室がいくつかあり、有料の要予約スペースとなっている。
「いいお部屋ね」
レギーナは部屋に入ると、そう言って嬉しそうに笑った。ユリエも興味津々で部屋のインテリアを見回している。ユリエの場合は商業的な興味だろう。表情がチェックしている、に近い。
喜んでくれたのならアルティミシアも嬉しい。ミハイルに感謝した。
いわゆる『女子会』の日が決定した時点で、ミハイルに「3人でお茶しに行ってきます」と言ったら、その日のうちに予約を取ってくれた。
3人で使うのが申し訳ないほどの、10人程度のちょっとしたお茶会なら余裕で開けるレベルの広さを持つ個室。おそらくこの店で一番大きな個室だ。
陽の光をふんだんに取り込むことのできる大きな窓には、直射日光が入らないように薄い紗のカーテンがかかっている。
さりげなく置かれているものも品がよく、部屋の雰囲気にうまく調和している。居心地のいい空間だ。
人気店だから、他の小さな個室はもう空いていなかったのだろうか。この部屋はいかにもお高そうだ。
ミハイルだから、他が空いていてもここを選んだ気は多分にするが。
『女の子3人で一般席でなんて考えられない。危険すぎる』
と言われたが、一般国民のほとんどの女性はカフェでお茶をする時、同性同士でも一般席で普通にお茶をしていると思う。
デビュタント後から、ミハイルが輪をかけて過保護になった。
学院以外の外出時は、本邸の敷地内を散歩するだけでも護衛が必ずつくようになった。
邸内でも必ず侍女が一人ついている。
ミハイルに『俺の心の平安のために、不自由な思いをさせるかもしれないけどどうか承諾してほしい』と言われている。
デビュタントの時にしていたミハイルの沈んだ顔が忘れられない。ものすごく心配をかけ、そして責任を感じさせてしまった。
こうすることでミハイルが少しでも憂いをなくせるのなら、アルティミシアにとっては何の不便もない。護衛や侍女に仕事を増やして申し訳ないと思いこそすれ、不満があるはずもなく、アルティミシアはミハイルに感謝を伝えた。
学院内でも、手洗いの時ですら、なぜかユリエかレギーナが「私も行く」と行ってついてくるようになった。どうしたのかと聞いてもはぐらかされるが、二人は何かを警戒しているように見える。ミハイルに頼まれているとは考えられない。
デビュタントの晩二人がどうしていたのかは、アルティミシアから聞くことはできなかった。二人がダンスや談笑を楽しむはずだったその時間を奪ったのは、結果的にアルティミシアだ。その張本人が「あの時どうしていたんですか」などと、聞けるはずもない。
二人もデビュタントの晩のことを、アルティミシアを気遣ってか口にしない。
ソールに会いに行った時も、無事を喜んでくれた後、「今回のことは王家が関わることだから、深入りしない方がいい」と聞く前に釘を刺された。
アルティミシアは、基本一人でいることは寝る時以外なくなった。もしかしたら寝る時も誰か外で護衛についているのかもしれない。
デビュタントの晩、ディスピナから「話は後で聞くから」と言われていたが、あれから誰にもデビュタントで起こったことを聞かれていない。ミハイルに全部話してはいたが、それで事は済んだということだろうか。思い出させないようにとの配慮だろうか。
どうしてあの時マグダレーナが来てくれたのか。ミハイルに聞いても、らしくないあいまいな答えしかかえってこなかった。あまりのらしくなさに、追求してはいけないのかもと思えてしまい、それ以上は聞けなかった。
休息日を丸一日使い、マグダレーナのところに「着せ替え人形」になりに行った時は、相手が王妹で公爵夫人であることもあるが、それ以前にとても聞ける状況ではなかった。
その日、一日でこんなに着替えができるのかと思うくらい、マグダレーナだけではなく何人もの侍女がついて何着も着た。休憩やお茶、軽食の時間もあったが、あくまでも補給。時間をかけて楽しむものではなかった。最後、あわせたアクセサリーも含めてそのすべてをもらい受けるという衝撃の事態に、アルティミシアはパンク寸前だった。
公爵夫人の申し出を断れるはずもなく、アルティミシアのサイズに微調整をされたものが、今は本邸の自室のクローゼットを飾っている。礼をするつもりがかえって贈り物をされてしまい、恐縮していると「楽しかったよ。今度はちゃんと専用のものを作らせてから、また呼ぶからね」と、とてもいい笑顔で見送られた。
意図的に起こされるはずだった『事故』は未然に防がれ、起こらなかったのだから、解決をするわけもない。そもそもが王太子の嫌がらせ。これだけでは終わらないということなのだろうが、当事者のはずの自分だけが何も知らないで、守られてばかりでいいのだろうか、と不安になる。
そもそも事の全容がわからない。何が起きているのかわからない。自分が当事者なのかもわからない。本当の当事者はミハイルなのかもしれない。
わからないことばかりだ。
ただ、王太子がアルティミシアのことをミハイルの『弱み』と認識しているなら、自分にできることなど限られている。周りに迷惑がかからないように、勝手な行動はせず、上手に守られなければならない。
今アルティミシアの周りが厳戒態勢に近いことだけは確かだった。
今日も護衛にダリル・レイが付いている。
カフェの個室のドア付近、騎士らしくない細身の長身が、私服でぽつんと立っている。
ダリルはもともと別邸の、ミハイル付きの騎士隊の一人だが、ミハイルにアルティミシアの専属騎士を命じられて、今はアルティミシアの護衛のために本邸の離れにある騎士用宿舎にいる。
ダリルが休みや用事の時は本邸の騎士隊から誰かが護衛についてくれるが、基本はダリルのみ。
『いずれシアには女性で専属を雇いたいところだけど、とりあえず今は仮でね』
とミハイルが言っていたので、ずっとではないのだろう。
メルクーリ家の騎士隊は、国家が反乱を危惧しない程度の少数で、かつ精鋭らしい。競争率も王宮勤務並みに激しいらしく、せっかくそれを勝ち抜いて入って来たのに、アルティミシア付きになるとはなんとも申し訳ない。おそらくこのごつくない体躯と柔和な顔立ち、歳の近さ、あと誰に対しても威圧を与えない緩い話し方をかわれて、アルティミシア付きになった。
顔合わせの時、ミハイルが少し席をはずしたタイミングで「こんなことになってしまって申し訳ない」と謝ると、ダリルは「いえいえ~仕事ですんでお気遣いなく~」と人のよさそうな笑顔で言ってくれた。
ずっと付いている護衛に威圧感があると、どうしても疲れる。
ダリルが休みの時にランダムで来てくれる本邸の護衛騎士たちは礼儀正しいのだが、みんな固い。話しかけてみたりもするのだが、「勤務中ですので」と言われてしまうと邪魔はできない。そういう意味で、ダリルはありがたい人選だった。
「ダリルさ~ん」
アルティミシアが着いた席から呼ぶと、ダリルはドアから離れようとはせず、返事だけをかえした。
「はい~?」
「個室ですし、大丈夫じゃないでしょうか。それなりの時間立ちっぱなしになりますし、こちらに来ませんか? 椅子も用意しますので」
ここはカフェの2階。大きな部屋の中央にポツンと3人が座るテーブル。ドア付近で張らなくてもいいのでは、と思い言ってみたが。
「だめで~す」
言い方は緩いが、妥協する気はみじんもない、断定だった。
レギーナがメニューの冊子を開きながらダリルのその口調にか、くすりと笑った。
「そりゃそうよ。職務怠慢って言われちゃうわ」
レギーナの実家、パヴェル家には辺境を護るべく、メルクーリ家とは比べ物にならない人数の騎士がいる。騎士隊ではなく、騎士団だ。騎士としての教育も、レギーナは受けているという。
「ちがいま~す。年頃の女の子3人のおしゃべりは怖くて聞けないからで~す」
やっぱりダリルは「勤務中ですので」とは言わない。
「あはは違いない」
ユリエがメニューを見ながら笑う。
「ああ見えて」
レギーナがメニューから目だけをのぞかせて、小さな声でささやく。
「あの人強いわよ? たぶんめちゃくちゃ強いわよ?」
「やっぱりそうなんですね」
レギーナに、アルティミシアもささやき声でうなずいた。
エレンには、「本邸の敷地内はまあ誰でもいいけど、ちゃんとした外出の時はなるべくダリルを連れてって」と言われている。持つ雰囲気の柔らかさだけではない要因が、やっぱりあるのだ。
「そんなのわかるんだ?」
ユリエがメニューをとじた。何を注文するか決めたらしい。
「わかるわよ、何となくだけどね。手合わせしてみたい。負けるけど」
レギーナもメニューをとじた。
(どうしよう)
アルティミシアはまだ決まらない。目に映るメニューのすべてが魅惑的すぎる。
「手合わせって。今までで一番強いと思ったのは? お父さん?」
ユリエが話を続けてくれる。アルティミシアが焦らないように。ゆっくり決められるように。
「父はぽんこつよ。今まで会った中で一番強いのはね、たぶんデビュタントの時にいた『カイル』ね」
それはエレンだ。アルティミシアはそうなんだ、と感心した。「めちゃくちゃ強い」ダリルよりも強いのか。
「見ただけでわかるってすごいね」
「あんたには言われたくないわね」
ユリエの言葉に、レギーナが苦笑した。ユリエは多岐にわたるジャンルで鑑定眼を持っている。
相手の強さを見極める目、ものに対する鑑定眼。二人とも、努力して努力してつかみとったものだ。
この二人に並び立てる自分でありたい、とアルティミシアは思う。
「決まった? アルティ」
「はい」
メニューには、ストラトス領の果物の加工品を使ったタルトがあった。この店は、ソールが契約した店舗のうちの一つだったのだろう。
王都に来てから、一度もストラトス領には帰っていない。アルティミシアはこのタルトを注文しようと決めた。
「至福の時間」
レギーナが言って、目の前に置かれたチーズケーキにさくりとナイフを入れた。
「ねえねえ、個室だし誰も見てないし。一口分だけシェアしない?」
ユリエが夢のような提案をする。他人の目があるところではマナー違反なのでできないが、ここなら確かに可能だ。
「いいわね。アルティは?」
レギーナの言葉にアルティミシアもこくこくとうなずいた。
ユリエはシフォンケーキ。皿の端に、クリームまでちょこんとのせてくれた。
「アルティこのタルトって、ストラトス領の」
アルティミシアが切った小さなタルトを二人の皿にのせていると、ユリエが自分の皿の上にのったタルトを飾る果物を指さした。
アルティミシアは知っていてもらえたことが嬉しくて、笑んでうなずいた。
「はい。サンドロップっていう白ぶどうをシロップ漬けにしたものです。もともとストラトス領ではよく食べられる果物なんですけど」
「あっという間に王都で認知されたもんね。あと他にもいくつかあるよね。売り出し方が上手だなぁと思ってたけど、何で今まで出てこなかったんだろうね。前からあったんでしょ? 果物自体は」
ユリエが商売人口調になっている。
「収穫したら傷むのが早くて、領内で消費するのが当たり前だったんです。せっかくたくさんあるし、長期保存できればいいなと思っていろいろ作ってみたら」
「アルティが作ったの?」
「はい。保存食に興味があって」
「またマイナーな所をつくわね」
レギーナが笑う。アルティミシアも笑ってうなずいた。マイナーな自覚はある。
「そのはずだったんです。外に売り出すつもりもなかったんですが、兄の懇意にしている行商人さんがこれは絶対売れるからって。そこからはもうとんとん拍子で」
「行商人? 名前知ってる?」
「ヤルミルさん・・・だったかと」
「ヤルミル・チャダ?」
「そこまでは・・・。有名な方ですか? 明るい麦穂色の髪に赤茶の瞳の陽気な方でした。私は一度しかお会いしたことないんですけど」
ユリエが苦笑した。
「それうちの社員だよ。商品になるものを探して世界中歩きまわってる。何でうちとの契約をもちかけなかったんだろう~」
「そういう話もあったみたいですけど、兄が王都の知り合いに物件の伝手もあるし、自分でやってみると」
「ああ~。さすがソール様」
ユリエは納得したようにうなずいた。エスコートの際に、ユリエはソールに名呼びを許されている。
話題を出すにはいいタイミングだろう。見計らっていたアルティミシアは、ふと思い出したような口調で切り出した。
「あ、そうでした。すみません伝えるのが遅くなって。兄とは定期的に会ってるんですが、昨日会った時に、ユリエの王都の滞在先に、『デビュタントの時の礼』を送っても大丈夫か聞いておいてほしいと頼まれました。何かお約束をされていたみたいですね?」
ユリエの実家は王都から離れており、学院に通うには遠いため、ユリエは今バラーシュ家所有の王都の社員寮の一室を借りて滞在している。すべての郵便物はいったん寮の管理者に届いてから各個人に配布されるため、ソールの名前でユリエ宛に贈り物をしても問題にならないか、という確認だった。
ユリエは、世界に名だたる大商会のご令嬢なのだ。
「お約束というか。意図してやったわけじゃなかったけど、結果的にソール様の手助けになったっていうことがね、あってね。その時に礼はするって確かにおっしゃってたけど、ソール様が気を遣う必要は全然ないんだよ。なんか申し訳ない」
「贈られたら迷惑なの?」
レギーナの問いに、ユリエはぶんぶんと大きく首を横に振った。
「そんなことあるわけないよ!」
「じゃあいただいて、ありがとうでいいんじゃない? ストラトス様はユリエに婚約者がいたり意中の人がいたらかえって迷惑かもしれないと思って配慮してくださってるんでしょう?」
「そ・・・か。そうだよね」
レギーナのこういう所がすごいと思う。深く考える必要がある? 何でもないことよ? とさらりと言って、相手を納得させてしまう。
レギーナは伯爵家の令嬢だ。伯爵家の嫡子が個人名で、異性の個人宛に物を贈ることの意味を、わかっていないはずはない。
ソールのユリエに対するアプローチうかがいを、レギーナは迷惑じゃないなら許してやれ、と言っているのだ。
ソールが表立ってこういう動きをすることは珍しい。アルティミシアの知る限りでは初めてだ。だから、どういう関係に変化するとしても、アルティミシアはソールとユリエの交流が続いてほしいと思っている。
「贈ってもいいと兄に伝えて大丈夫ですか?」
アルティミシアが最後の一押しをすると、ユリエはうん、と小さく言ってうなずいた。
ソールには頑張ってほしい。弱小伯爵家の嫡子と大商会の跡取りでは色んな意味で難しいかもしれないが、うまくいってほしいと思う。アルティミシアの、大好きな二人だから。
「長期休暇、二人は帰省するの?」
レギーナは言って、上品にチーズケーキを口に運んだ。
「『二人は』って。レギーナは帰省しないの?」
ユリエにレギーナは片手で「ちょっと待って」と制すると、ユリエは「ゆっくりでいいよ」と笑う。レギーナはきちんと口の中のケーキを食べ終えた。
「するつもりはなかったんだけど、騎士科の野営訓練がパヴェル領に変更になったから、受け入れ手伝いに帰省した方がいいかなとは考えてる」
アルティミシアは食べていた手を止めた。
「そうなんですか? いつ変更に?」
ミハイルは受講科目に騎士科も選択している。長期休暇中に泊まりがけで訓練があるというのは聞いていたが、場所は国の中央にあるカナル領のはずだった。
「ちょっと前かな。1週間ちょっと? もともといくつか候補地があって持ち回りなんだけど、ここ最近はシャンツとの緊張状態もあって、うちは候補地からはずれてたはずなのよ。それが急に。訓練をするのは国境の大森林になるから、あんまり向こうを刺激するような大騒ぎはしてほしくないんだけどね」
受け入れ自体は常に緊急事態に備えてるからそんなに大変じゃないんだけど、と、レギーナはカップを持ち上げて、一口茶を含んだ。
レギーナは騎士科ではないが、授業外で自主的に訓練に参加しているので情報が早い。ミハイルは当然知っているはずだが、変更が決まったというこの一週間くらいは会っていない。
野営訓練はまだもう少し先の話だし、場所が変わったくらいで手紙で知らせるほどのこともないだろう。次にミハイルに会う予定はまだたっていない。長期休暇に入ってすぐに野営訓練で移動に入るから、長期休暇までに会えなければ、アルティミシアは知ることのなかった情報だ。
場所が変更しただけ。それなのに、何か胸の奥がざわざわする。
「もし二人が帰省しないんだったら、うちに遊びに来る? と思って。ほら、私は野営訓練には参加できないし」
「参加したかったの?」
「そりゃしたいわね。でも騎士科を選択できなかったのと同じ理由で、参加はさせてもらえないのよ」
「女一人だと、しかもレギーナだとみんな野営訓練どころじゃなくなるよね」
「私そんなに乱暴な振る舞いはしてないわよ?」
「そういう意味じゃなくてね」
二人の会話が耳を素通りする。
「私はバラーシュの本店に行く用事があるから、そのついでに帰省する予定。移動を考えるとたぶんかぶると思う。行ってみたかったな、パヴェル領」
ユリエがため息をつく。
王都を離れての旅行は時間がかかる。汽車だと格段に速く移動できるがそれなりに値段がはる。二人がたまに帰るのに使えないほどの料金ではないが、ただ線路がなければ、駅が目的地の近くになければ、結局同じことなのだ。線路はまだ国の要所にしか伸びていない。
「これが最後ってわけでもないわ。またの機会にね。アルティは?」
「私も王都に来てから一度も帰っていないので、帰省する予定でしたが」
「でしたが?」
「パヴェル領には行ってみたいです」
パヴェル領に対する興味もあるが、この胸騒ぎのまま、帰省を考えるのは難しい。ストラトス領に帰るとパヴェル領はさらに遠くなる。
だがレギーナは興味を持ってもらえるのは嬉しいけど、と言いおいて、
「次の機会にユリエと一緒に来たらいいわ。一度も帰ってないんでしょ? うちに連れてってアルティのご両親をがっかりさせたくないわ」
と、苦笑された。
「それもそうですね。次の楽しみにとっておきます」
アルティミシアは答えたが、帰省をするのは少し様子を見てからにしようと考えていた。