トイレと偽り逃亡を企てた女騎士は本当に漏れそうになってもさせてもらえない
「すまない……その……トイレに、行かせてもらえないだろうか……?」
山中の街道を行く兵士達の列。
その中程で、男の兵士に囲まれた1人の女性が、とても言いづらそうに口を開いた。
白いレオタードから垂涎もののボディラインを晒す彼女は、エリシア・カーレイ。
長い金髪と美貌、そしてその可憐な容姿に似合わぬ剣技で、『戦乙女』の名を近隣に轟かせる、西の国の女騎士だ。
だが今は、剥き出しになった太ももを、モジモジと苦しげに擦り合わせている。
「我慢しろ。トイレ休憩はまだ先だ」
「それは、わかっている……だが、我慢ができなくなりそうなんだ……!」
居丈高に振る舞う男に、眉根を寄せて食い下がるエリシア。
美貌と武勇で名を馳せた彼女だが、今は両腕を後ろで縛られ、くねくねと悶える弱々しい姿を晒していた。
男は東の帝国の兵士。
エリシアの仕える王国と帝国は、現在戦争の真っ最中だ。
エリシアは数々の武功を上げ、総力で劣る王国の戦線を何とか支えていたのだが、先の砦の防衛戦に敗北。
部下の多くの逃がすことと引き換えに、囚われの身となってしまった。
今は捕虜として、帝国本土まで連行されている最中だ。
「た、頼むっ……! 本当にもう、漏らしてしまいそうなんだ……!」
縋る様な目で兵士を見上げ、トイレを懇願するエリシア。
帝国は先進国で、野営中に仮設トイレを設置するのだ。
女性なら捕虜でも使用が許されるのだが………どうやらエリシアは、次の野営の時間まで待てなくなってしまったらしい。
「まったく……少し待っていろ。今、団長殿に確認を――」
「ああんっ!!」
「どうした!?」
『戦乙女』にあるまじき泣き言に呆れながらも、兵士は部下達に仮説トイレ建設を指示を出す。
だがその直後、エリシアが切羽詰まった様な悲鳴を上げた。
「だ、だめだ、急に尿意が強くなって……! そこでするからっ、着いて来てくれっ……!」
「はぁ……世話の焼ける……。すまない! その辺でさせてくるから、少し待っていてくれ!」
待ち切れないとばかりに、木々の中へと駆け出すエリシア。
艶かしくくねる尻に情動を掻き立てられながら、任務中だと気を締め直し、男はその後をついて行く。
隊列からも見えなくなり、エリシアは手頃な大木へと駆け寄り、即座に首を後ろに回した。
「な、何をしているっ! 私は手が縛られているんだっ……早く股布をずらしてくれ……!」
「なぁっ!? だ、だが、それは条約に……!」
男を見るエリシアは、恥ずかしそうに顔を赤らめた『女の顔』をしていた。
迸る色香に、男がゴクリと喉を鳴らし、エリシアの体に視線を這わせる。
純白の甲冑で恐れられた戦乙女は、今や脚回り以外の装甲を取り外され、背中と、胸元から鳩尾までが大きく開いたレオタード型のインナー姿を晒している。
決して薄くはないが締め付けの強いレオタードは、男に向けて突き出された尻に食い込み、下半身の肉付きを強調していた。
前に後ろに、右に左に――両の尻肉の中央の、また別の小さな膨らみが揺れる様に、男の理性にヒビが入っていく。
「この緊急時に、訴えたりなどするものか……! 頼むっ、急いでくれっ……! もうっ、出るっ……!! あはぁん……!」
「わ……わかった……!」
男の承諾を得て、大木に向けて股を開き、しゃがみ込むエリシア。
男は熱に浮かされた様な表情で、背後から開いた脚の中心に手を回す。
繰り返すが、帝国は先進国だ。少々領土拡大の意識が強い傾向があるが、捕虜の扱いは丁寧。
抵抗、逃亡の素振りを見せない限り、暴力や、女性の捕虜の体に触れるなどすれば厳罰に処される。
「まだかぁ……! 漏れるぅ……!」
――だがこの状況はどうだ?
エリシアは如何にも『我慢の限界』といった感じで、男の手助けがなければ惨めに失禁することになるだろう。
これは介助だ。
後ろからではよく見えないし、少しくらい手元が狂っても仕方がないのではないか?
エリシアも、我慢に精一杯で抵抗することはないだろう。
脚の間に伸びた男の手が、レオタードの股布の、裾ではなく中央の膨らみに吸い寄せられていき――
「ごっ」
勢いよく振り抜かれたエリシアの回し蹴りが、男の側頭部を直撃した。
一瞬で意識を失い、男が崩れ落ちる。
「すまないな……女を武器に騙し討ちなど、したくはなかったのだが」
立ち上がったエリシアは、凛とした瞳で昏倒した男を見下ろした。
背筋を伸ばして直立する姿は、下着同然に肌を晒し、後ろ手に縛られていても尚、『戦乙女』と呼ぶに相応しい風格を見せ付ける。
エリシアは、尿意など催してはいなかった。
全ては逃亡を図り、王国に帰還するために打った―芝居だ。
「重ねてすまないが、剣を借りるぞ。縄を切りたいのでな」
後ろ向きのまま器用に男の剣を抜き取り、地面に突き刺すエリシア。
そのまま、刃に縄を当てようとするが――
「そこまでだ。念の為、後を付けておいて正解だったな」
「くっ……!」
背後からかけられた声に、その動きを止めることになった。
振り返ると、自身を取り囲む多数の兵士の姿。
「女の捕虜の排泄を覗こうなどとは……文化人たる帝国兵にあるまじき行為ではないのか?」
「全くもってその通りだ。だが、明らかな虚言を吐かれてはその限りではない」
せめてもの抵抗にと、形だけの非難を向けるエリシア。
だが、団長の男は一切恥じる様子もなく、泰然とした表情をエリシアに向ける。
「最後のトイレ休憩からは、精々2時間だ。各国に名を轟かせる騎士である貴殿が、その程度で我慢が利かなくなるような、股の緩い女なわけがない」
「それは………あまり嬉しくはない買い被りだな……っ」
男の性を利用したエリシアの逃亡計画は、彼女自身の名声に阻まれ、失敗に終わった。
◆◆
左右に2人ずつ、前に3人、後ろに3人と、馬に乗った団長の男。
女1人に結構な包囲網だが………自業自得か。
トイレと偽っての逃亡が失敗した結果、当然ながら私に対する警戒は一気に強まった。
警備の数は増え、両足も鎖で繋がれてしまった。
歩くには問題ないが、走ることはできない。
首には家畜の様な首輪を嵌められ、リードは前を行く兵士2人の手の中に。
これほど厳重に監視、拘束されては、もう逃げるチャンスはないだろう。
非常に厳しい状況だが………今はそれ以上に、かなり差し迫った問題がある。
「ん………ふぅ………」
敵兵相手とは言え、卑劣な真似をしてしてしまった罰だろうか。
まるで、先程の嘘の代償であるかの様に……本当に、その…………催してきてしまったのだ。
それも、かなり急速に。
「んん………んふぅ………んんっ……」
山道では歩きでの行軍になるため、適宜水分は取らされているのだが、どうやら日影が多いルートを選んでいるらしい。
思った以上に汗をかかず、摂取した水分が、全て下の方に向かってしまっているようだ。
下腹が、とても重い……。
休憩自体は、ついさっきあった。
だが………あの騙し討ちを仕掛けた直後の休憩で『トイレに行きたい』と言い出せるほど、私は恥を捨て切れてはいない。
結局、私は代わる代わるの兵士に見張られたまま、休憩時間を無為に過ごすことになった。
次のトイレ休憩までは、あと半日。
それまで、何とか我慢をするしかない。
だが……正直なところ今の時点で、かなり我慢が辛くなって来ている。
そして、排尿というものはどうにも……できないとなると、余計にしたくなってくるものだ。
私も、当代限りとは言え騎士爵の位を与えられた女。
誇りに賭けて、弱音など吐きたくない。
ないのだが…………くぅっ………どうしても、不安になってしまう……。
もう、本当に尿意が辛くて……表情を引き締め、腰が引けないようにするだけで精一杯なのだ。
本当に私は……次のトイレ休憩まで、我慢し通すことができるのか……?
「んっ……くぅっ……! ふぅぅ………ふぅぅ………ん……んぅっ……!」
いっそのこと、本当に脇の森の中で………いいや、だめだ。
私は先程、まさにそう言って彼らを謀り、逃亡を図っている。
舌の根も乾かぬうちに同じことを言われ、頼みを聞く様な愚か者はいないだろう。
それに――
「なんだ?」
「………いや、何でもない………」
トイレではない場所で、男に介助されながらの排泄など……とても、耐えられない……!
先ほどの様な、はしたない言動ができたのは、実際にする気がなかったからだ。
それでも、恥ずかしさで涙が滲みそうになってしまった。
本当に、男に股布をずらされながら、野山で放尿など………あぁっ、無理だっ……!
「はぁっ……はぁっ……! んんぅっ………あぁっ………! はぁぁっ……! ふぅぅっ……! はぁぁっ……!」
尿意が、辛いっ……!
どうしても腰が引けてしまう。
枷などなくても、脚が内股になってしまって……小さくしか開けない。
尻を見るな……! 胸を見るな……!
こんな頼りないインナーでは、肌も体の動きも隠せないんだ……!
震えてしまう私の脚を、見ないでくれぇぇ……!
「んんっ……! んむぅぅっ……! んぃっ……! くぅぅっ……!」
あぁぁっ! 腹の中の小水が、下まで降りてくる……!
次のトイレ休憩は、まだまだ先なのに………もう、小水がしたくてたまらないっ……!
これほどまでに尿意を耐えることになったのは、あの日以来だ。
今日の様な山中で、敵将の追撃をすることになったあの日――
持ち場を離れることができなった私は、半日以上も小水を我慢する羽目になってしまった。
男の兵達は、少しの間にその辺で済ませている。
私もそうすればよかった。
普段から、『女である前に騎士』、『私を女扱いするな』と言っていたのだから。
だが…………できなかった。
どうしても、恥ずかしかったのだ。
もう我慢の限界だったと言うのに、私は男の部下達に、小水がしたいと告げることができなかった。
あの豪雨が降り出すのがほんの少しでも遅かったら、私は………既に漏らしてしまっていた小水を、部下達に見られてしまっていただろう。
あの日私は、自分がどうしようも無く『女』であることを思い知らされた。
そして、今も――
「遅いぞ! なんだその屁っ放り腰は!」
「うっ……こ、これはっ……」
「まさか噂の戦乙女様が、この程度の山道で根を上げたわけではあるまいな!?」
「くっ……! 好き勝手なことを………歩けば、いいのだろう!」
――疲れたわけではないんだ。
――小水が漏れそうで、早く歩けないんだ。
騎士として屈辱を受けているのに、女としての恥じらいが、尿意を告げることを阻んでしまう。
もう、一歩進むだけでも辛くて堪らないのに、我慢を悟られることが恥ずかしくて、背筋を伸ばし、歩幅を広げてしまう。
「はぁっ! はぁっ! はぁっ! あっ! あぁっ……! ふぅぅっ……! はぁぁっ……!」
まだか……? 休憩は……トイレ休憩はまだなのか……!?
腹の中の小水が、外に出ようと出口に押し寄せてきてっ………も、もう、挫けてしまいそうだ………っ。
「くふぅぅっ……! んふぅぅっ……! ん゛っ……! ん゛ぅっ……! くっ……あぁっ……!!」
また腰が落ちる。
脚が、内股になってしまう。
尿意から逃れようと、尻が勝手に動いてしまう。
もう一歩歩くだけの振動で、膀胱が屈服してしまいそうで……!
小水がっ……小水がしたいっ……!
小水を……させてくれぇぇ……!!
「はぁぁーーっ! はぁぁっーー! はぁぁーーっ! はぁぁーーっ!!」
もう…………もうっ、だめだぁぁぁぁ……!!
「す、すまないっ!! トイレにっ……トイレに行かせてくれっ!!」
「なにぃ?」
声をかけた兵士が、疑わしげに私を睨む。
続けて後ろの団長が合図をしたのか、隊列全体が足を止めた。
そして、あぁっ……視線がっ……!
私の……もう、動きが止められなくなってしまった下半身に、視線が集まってくる。
屈辱だっ………こんなことで、注目を集めてしまうなんて………!
だが私にはもう……この程度のことを恥じらっている余裕はない。
「あんなことを仕出かしておいて、本当に心苦しいと思っている……! だがっ、も、もうっ………小水が限界なんだっ! ずっと、我慢をしていて……! 頼むっ……今すぐ、トイレにっ……!!」
「ふんっ、馬鹿め! もう、その手には乗らん」
「今度は本当なんだっ! ああぁっ!? だ、だめだっ、漏れる……! お願いだっ、信じてくれっ! もうっ、漏れるぅぅぅ……!!」
だ、だめだっ……信じてもらえない……!
小水をっ、させてもらえないっ!!
もう、一刻の猶予もないというのに……あぁぁっ、漏れるぅぅっ……!
小水が、腹の中で渦を巻いている様でっ……ほ、本当に漏らしてしまうっ……!
私はっ……私はどうすればいいんだぁぁぁ……!!
「はぁぁーーっ! はぁぁーーっ! トイレっ……トイレにっ……お願いだっ……! 嘘じゃないんだぁぁぁ……!」
「信用できるか! そんなに尻を振って……その卑猥な姿で、また我々を籠絡するつもりなのだろう?」
「そ、そんなことはしない! 約束する! 私は、ただっ……一人で、服を汚さずに………小水がしたいだけなんだぁぁ………!」
あぁぁっ……こんなことまで、言わねばならんのか……!?
そもそも、こんなあられも無い……インナーだけの姿にしたのは自分達だというのにっ……!
だ、だがっ……くぅぅっ……! 今、この者達の機嫌を、損ねるわけには……!
「お願いだぁぁ……! もう、漏らしてしまうぅぅ……! 仮設トイレを用意してくれぇぇ……!」
「だめだ、次のトイレ休憩まで我慢しろ」
「あああぁぁぁぁ……!!」
何故……何故だ……?
恥を捨てて頼んでいるのに………何故、彼等は私に……トイレを使わせてくれないんだ……?
「う゛ぅっ……! う゛ぁぁっ……! あ゛ぁっ……! あ゛ぁっ……!」
本当は、もう疑ってなどいないのでは無いか?
もっともなことを言いながら、私が失禁する姿を嘲笑い、慰み者にしようとしているだけではないのか?
あぁぁっ……何か先進国の兵士だ……!
女が尿意に悶える姿に興奮する、穢らわしい変態共ではないか……!
い、嫌だっ……! 漏らしたくないっ……!
こんな……こんな変態共の前で漏らすなんて……絶対に嫌だぁぁっ!!
ジョビッ、ジョビビッ!
「あ゛あ゛っ!!?」
で、で、出て、出っ、出てしまった……!!
股に、生温かい感触がっ……あっ!?
だ、だめだっ、また――
ジョビィィッ!
「あ゛あ゛ぁぁっ!!」
尿道が閉まらないぃぃっ……!
漏らしてしまった小水が、呼水になっているのかっ……!?
あぁぁっ、だめだっ……次の小水がっ……小水が染み出して来る………!
ジョビビッ! ジョビビッ!
「あぁんぁぁぁぁ……!! んぁはあぁぁぁ……!!」
父上………母上………国王陛下………不甲斐ない私を………お許しくだ――
「ふっ……ははははっ! いいだろう、小便をさせてやる」
「はっ!? ぐぅぅぅっ!!」
シュビビッ………シュビッ………ピュッ…………。
と、止まっ、た……!
危ないところだった……! 完全に、心が折れていた……!
あと少し声をかけられるのが遅かったら……す、全て、漏らしていた……!!
だが、なぜ急に……んんぅっ!?
ジョビビビッ!
「ん゛ぅぅぅっ!!」
だ、だめだっ! 今は、余計なことを考えるな……!
きっと、状況が動くっ……!
それまで、耐えろっ……耐えるんだぁぁぁ……!!
「よろしいのですか? 団長殿」
「ああ、構わない。小便がしたいと言うのは本当の様だからな。見ろ、もう股を濡らしている」
「なっ!? あっ! ああぁぁっ!!?」
そ、そうだった……!
インナーのレオタードは白く、薄い。
普通の下着と比べれば分厚いが、衣服としては圧倒的に薄い部類だ。
そして心の折れた私は、忘我のまま、かなりの量の小水を漏らしてしまった。
もう下腹から尻の穴まで、生温かい感触に包まれている。
バレていないわけがないんだ……!
私の、情けない股の染みに……周囲の兵士達の視線が……!!
「ははっ、本当だ。もう尻までびしょ濡れじゃないか」
「これはすまなかった。まさかこんなに漏らしてしまうほど、くくっ……我慢しているとは思わなかったんだ」
「ああぁぁっ、見るなぁっ! 見ないでくれぇっ!」
敵に……こんな姿を見られるなんて………!
だがっ………これでトイレに行ける……!
耐えろ、エリシア………『騎士』エリシア……!
例え、括約筋が全て千切れ飛び、膀胱が破裂することになっても………誇りに賭けて………あと少しだけっ、排尿を堪えるんだぁぁぁ……!!
「では、仮設トイレの設置を始めろ。麗しの戦乙女が使うトイレだ。丁寧に組み立てろ」
「そ、そんな気遣いは要らんっ……! それよりっ……お願いだから、急いでくれぇぇぇ……!」
団長の号令で、トイレの設置が始まった。
兵士達は穴を深く掘り、分解薬を馴染ませ、消臭剤を撒いていく。
そこからは、穴の周りを、踏み固め、て――
ショッ、ショビッ、ショビッ!
「ん゛んっ! ん゛ぅっ! で、出るなぁぁ……!!」
遅いっ……!! 作業を始めてから、もう何分経った……!?
私はもう、いつ果ててしまうかわからないのにっ……!
トイレがっ……出来上がらないぃぃ……!!
「ま、まだかっ……まだなのか……!! 先ほどから、何度も小水が溢れているんだっ……! 急いでくれっ……頼むぅぅぅ……!!」
「急かすなっ、あっ!? ほら、手元が狂ったじゃないか。こいつは組み直しだな」
「ああああああぁぁぁ………!!」
ジョビビッ! ジョビィィィッ!
何故、そんなにゆっくりなんだ……?
何故、『手元が狂った』と言いながら、全く焦った様子がないんだ……!?
間に合わない……! こんなペースでは……間に合わない……!
間に合わなかったら………私は――
ジョッ、ジョビッ、ジョッ、ジョッ!
「ん゛ぐぅぅぅぅっ!!」
だめだっ! 諦めるなっ!!
気持ちを奮い立たせれば、耐えられるはずだ……!
私は……諦めない……!
シュビッ!
屈しない……!
シュビビッ!
負けはっ、しない……!!
シュビッ、ジュッ! シュビビビッ!
諦めない……! 諦めて………いないのに……!
シュビィィィィィ――
小水が止まらないぃぃぃぃ……!!
「も、もうダメだっ! 完成まで待てないっ! 頼む、森でさせてくれっ!!」
「それはできない。先ほどは、それで取り逃がすところだったのだ」
シュビィィッ! シュビィィィッ!
「もう逃げたりしないっ!! 見張りを大勢付けてもいいっ! お願いだっ、させてくれっ……! もうっ……もう出ているんだぁぁぁっ……!!」
ジョォォォォォォッ!
漏れるっ……! ああっ、出るっ、止まらないっ! 漏れるっ、漏れる漏れるっ!!
い、嫌だぁ……! 漏らすなんて嫌だぁぁ………!!
「わ、わかった! なら、ここでするっ!! だからっ……誰か股布をっ――あ゛あ゛っ!!?」
ビジュゥゥゥゥゥゥッ!!
「あああああああぁぁぁぁぁ………!!」
だ……だめだ………間に合わないっ…………!
尿道に……流れ込んでくる…………!
漏らしてしまうっ……漏らしてしまうっ……!!
もう………もう………!
もぉぉだめだああああああああぁぁっっ!!!
ジョビィィィィィィィィ――
「―ない―くれ」
「何だ?」
「みなぃでくれええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇっっっ!!!!!」
ジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあぁぁぁあああぁぁぁああぁぁぁ………!!」
あぁ………終わっ……た…………漏ら、した…………。
シュビイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!!!!
腹が……あれだけ苦しかった腹が、嘘のように軽くなって……生温かい何かが、脚全体に降りかかって………。
本当に……漏らしてしまった………小水を…………漏らしてしまった…………!!
「見ないで……くれ………う゛ぅっ………ぐずっ………見ないで、くれっ………」
私は………私はもう終わりだ。
もし救出されて、王国に返り咲く日が来たとしても………きっと、この醜聞はどこまでも追いかけて来る。
いい歳をして、我慢できずに小水を漏らしてしまった……この最悪の失態が……!!
今後、私が何を成したとしても………皆、私の名と共に思い浮かべるのだ……!
『お漏らし』の、4文字を……!
「う゛ぅっ……ひっぐ………ずっ……う゛ぁぁっ………あ゛ぁぁっ……えぐっ………」
「呆れたものだ。トイレの組み立ても待てなかったのか?」
「まさか、ここまで股の締まりが緩いとは……確かに、団長殿は買い被り過ぎていたようですな」
「ジャバジャバとはしたない……仮にも騎士を名乗るなら、力を入れて止めて見せろ」
「い、言わないでくれっ………う゛ぅっ………どうやってもっ……ぐずっ……止められないんだぁぁ………」
勝手な……ことを……!
私だって………止められるものならっ………だ、だが………!
ビジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッ!!!!
バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャッッッ!!!!!
女の体は………お前達のように、穢らわしい物はぶら下がっていなんだ……!
一度、出てしまった小水はっ………止められないんだぁぁ……!
「あ゛ぁぁぁっ……! あ゛ぁぁぁっ……!」
ジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!
「戦乙女が聞いて呆れる……しかし物凄い量だな。どれだけ溜め込んでいたんだ」
「西の国の戦乙女も、もう終わりだな……」
もう……もうやめてくれ……!
そんなこと………私が一番わかっているんだ………!
西の王国の戦乙女は、もういない……。
私は……私はもう………ただの――
『お漏らし女』だ……!
ジャバババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババッッッ!!!!!
「う゛ぅっ……う゛ぁぁっ………!」
とうとう、脚からも力が抜けていく。
体を支えられなくなった私は、その場で地面にへたり込んだ。
地面の水溜まりは冷たくなっていて、もう抗う力を失った心に、不快感を染み込ませていった。
「うわ゛あああぁぁあぁぁああぁあぁぁっっ!!! あ゛あ゛ぁあぁあぁああぁぁあぁぁあああぁぁっっ!!!」
◆◆
帝国に連行されたエリシアだったが、幸いにも一月後には、人質交換という形で王国に戻ることができた。
現場にもすぐに復帰し、再び部隊も任され、以前の様に辣腕を奮っている。
だが――
「んんっ! ん゛っ! くっ……だめだっ………! す、すまないっ! すぐに来てくれっ!!」
「団長、お呼びでしょうか?」
「すまないが、一旦指揮を任せる! そ、その……また、花を、積みに……!!」
「了解しました、お急ぎを」
「あぁぁぁっ……何度も何度も、本当にすまない……! も、漏れるぅぅぅ……!」
連行中の失禁は、彼女の心身に大きな傷を残していた。
復帰以来エリシアは、戦場に出ると極度の頻尿を発症してしまう様になったのだ。
トイレの間隔は、凡そ30分………我慢の限界で、30分だ。
副官に指揮を任せ、部下達の前だと言うのに両手で出口を押さえながら、人気のない方向に移動するエリシア。
当初は見張りを拒否していたが、一度潜伏していた敵兵に襲われ、漏らしながら戦う羽目になってからは、数人の女性騎士を連れて行く様になった。
「み、皆も、すまない……! 私が、ん゛んぁっ! ふ、不甲斐ない、ばかりに、あ゛ぁっ! こ、こんな手間を……!」
「めっそうもない! それよりも、お身体を気遣って下さい」
「見張りは我々にお任せを。敵兵も、覗きも、全て撃退して見せます!」
「あぁぁぁっ……感謝するぅぅぅ……!」
見張りの4人に泣きながら、本当に心から感謝をしながら、エリシアは腰を下ろし、股布をずらした。
「あっ……ああぁあぁあはあぁああぁあぁぁああぁぁああぁぁあぁぁあぁぁぁぁ………」
ビシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッ!!!!!
嬌声と共に我慢を解き放つエリシア。
その顔は幸福感に満ち、涎と感涙に濡れていた。
尚、見張りの4人は、何か艶めいた顔でチラチラとエリシアを見ていたのだが、それに気付くことはなかった。