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第5話 大渦

 吊欺(ツルギ)とモンスターの存在を確認できた私は転移してきた場所で待つ(ヒジリ)さんと第3勇者の少女のもとへ急いだ。


 神様から授かった能力はとても強力で便利な力だ。

 スキルを上手く使えるか心配していたけど、どのタイミングで使えば良いか身体が覚えているといった感じで特に意識する事なく自在に引き出し操れている。

 普段なら息が切れる距離を全速力で走れるのも身体強化能力のおかげだろう。

 スキルの使い方が分からずに途方に暮れるような事がなくて良かった。


 オークの死体群を抜ける際、武器がない二人のためにオークの武器を何か持っていこうと考え先に握りしめていた石を放った。


 地面にぶつかり放った石が光を反射させた、なんの光だろうか?石を拾い直すと放った際に欠けたと思われる場所からパラパラと表面が剥がれ中から赤い鉱石が出てきた。もしかして、ルビー!?

 

ブン!ブン!ブン!ブン!


 空気を切り裂くような異様な音が背後から聞こえる。モンスターか?

 すぐに光学迷彩を発動させ前ポケットに宝石を仕舞い、近くにあった槍を拾ってから茂みに身を潜める。


「あー、ここの主とか言ってたトロールからレアドロップがないとかマジ萎えるわ〜。オークのドロップでレアとかあるのか?」


 吊欺(ツルギ)は小枝を振り回すように最強の剣を振り回しオークの死体を漁りだした。


「痛ッ!破片が」


 吊欺(ツルギ)の剣に弾かれたオークだった何かが吊戯の頬を裂いた。バカなやつ!


「イケメンに傷跡とか洒落になんねー!

 ヒーリング(回復魔法)!!」


 頬の傷が治った?!


「さすが俺様の頼んだ世界最高で最強の聖剣!!

 ゲームと同じ回復魔法が使えるとかまじ卍!」


 回復魔法が使える聖剣!?

 あの流行ってるゲームの!?

 実際にある武器じゃなくても女神は創造できた…

 だから矢が無くても打てる弓と言ってたわけか…


 吊欺(ツルギ)は私達より異世界の説明を女神から受けているとしか思えない。

 令嬢が転移でなく転生した事からも、都合の良い嘘をついている疑いがある。

 異世界からの帰還についてなど、知っている情報は聞き出したい。


 この事も(ヒジリ)さんには伝える必要があるだろう。

 無数の死体漁りに夢中になっている吊欺(ツルギ)に見つからないように転移場所へ急いだ。



 巨石の門が見えてくる、あの奥が女神像があった場所だ。丁度門の奥からこちらに向かってくる二人の姿が見えた。魔法少女のために迷彩を解除する。


「マオちゃん早く!こっちへ!」

「ノゾミお姉ちゃん!

 マオ、キュアキュアみたいに魔法使えるよ!」

「まずは吊欺(ツルギ)君と(メイ)さんを探しましょう!」

「二人共!!何をあわててるんですか!?」

「あ、その声は(メイ)さんですか?

 モンスターです、モンスターが現れました!

 周囲に沢山潜んでいたみたいで」

「ゾンビ映画みたいだよ!やっつけようよ!」


 二人が巨石の門を抜けると後から続々と赤のカサに白の斑模様のキノコが続いてくる、それも二足歩行で。


「うわぁ…気持ちわる…」

(メイ)さん!どうしますか?!」

「とりあえず、さっきヒジリさんがかけてくれた支援魔法(治癒と精神)は白いもやの感じから見てもまだ持続しているようですから、追加で私たちの移動速度と防御力を上げてもらえませんか?」

「わかりました。

 |上級移動速度補助小範囲アドバンスドヘイスト・ナローレンジ上級防御力補助小範囲アドバンスドプロテクト・ナローレンジ 」

「わぁ、これがノゾミお姉ちゃんの魔法!すごい!」


 白いもやが一定間隔で色が変わって見える気がする。魔法の重ね掛けに法則があるのかもしれない。


ドサ


「ノゾミお姉ちゃん!?大丈夫!?」


 ヒジリさんが地面に手を付いて四つん這いになっていた。これはきっと私のミスだ。


「だ、大丈夫です。ちょっと足から力が抜けただけなので」

「本当にすみません、何も分からない状態で無茶なな魔法の使い方をお願いしてしまいました。立てそうですか?」


 無闇に魔力を消費させすぎた反動がヒジリさんにでてしまっているのだと思う。

 ゲームをプレイする時の癖で戦闘前に全力でバフ(強化魔法)をかけてしまった事が裏目に出た。


「もう少し、もう少しだけ待ってもらえますか?」

「わかりました。それじゃ、ええと。マオちゃん、ですか?私はメイといいます。魔法って使い方とか分かりま…わかるかな?」


 この年齢の子との話し方が分からなくてついぎこちなくなってしまう。


「メイお姉ちゃん、よろしくね。あのキノコに魔法使えばいいの?」

「魔法なんだけど、マオちゃんの魔法の力ってなんだったかな」


 吊欺(ツルギ)が色々と説明していた時に私は私の能力の事を平行して考えていたのでマオちゃんの能力についてはあまり覚えていなかったので確認する。


「ええとね、ハイウィザード(攻撃魔法の達人)で、魔力常時回復のスキルだって」


 攻撃呪文特化能力を魔力が少なくても常時回復で無理やり発動させる計算?

 なんてものを子供に背負わせるんだ。


「教えてくれてありがとう。魔法を無茶して使いすぎると(ヒジリ)さんみたいに倒れちゃうかもし…かもなの。マオちゃんの魔法はいざという時に使…つかお?」

「そうなんだ、それじゃ使う時は教えてね」

「う、うん、その時はよろしくね」


 あぁ、慣れないと話しにくい…。


(メイ)さん、すみません、まだ立てそうにないです。肩を貸してもらえませんか」

「それなら私が背負います、無茶させてしまいましたから。マオちゃん、この槍を持って付いてきて欲しいんだ」

『筋力大向上』

「うん分かったよ、なんだかメイお姉ちゃんスポーツ選手みたいになったね」

「私は魔法使えないけど、こういう能力なんだ。あとさっきのお化けの正体も私だから、驚かせてごめんね」


 槍をマオちゃんに渡し、一回り大きくなった腕でヒジリさんを軽々背負うと背中に巨乳の感触がする。この感触、私が同性じゃなかったら耐えられなかったかもしれない。


 キノコから離れた茂みに二人を難無く移動させ る。聖さんの魔法の効果もあり思った以上に素早く移動できた。


「マオちゃん、ここでヒジリさんを守ってね。私はキノコをなんとかしてくるよ」

「うん、ノゾミお姉ちゃんを守るね、メイお姉ちゃんも気をつけて」


 槍をマオちゃんから受け取り、迫りくるキノコの大群へと向かった。


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