#6宿屋「蜜柑」
〜街のギルドの解体場所にて〜
「終わった〜。」
「すっかり日も落ちたな。」
「早く依頼完了手続きしに行こ〜」
「分かった。」
零夜と雫は街に戻って来てから水晶鹿3匹の解体をししていた。
そして暗くなった今解体が終わった。
「依頼完了手続きをしたいんだが。」
「はい!依頼完了ですね。ではギルドカードと討伐の証明となる物をご提示お願いします。」
「これでいいか?」
零夜は水晶鹿の右の角を3つ渡す。
「はい!確認出来ました。ではギルドカードとこちら報酬の銀貨18枚です。」
「ついでに素材を売却したいんだが、どこに置けばいい?」
「素材でしたらギルドの職員にお声掛け頂き解体場所の横にある棚に置いていただけると査定額を支払わせていただきます。」
「分かった。」
零夜はギルドの職員に一言かけ収納から素材を出し棚に置くとギルド職員が驚いていたので魔法だと説明し、査定額を受け取って雫の元に戻った。
「売却出来た?」
「ああ、出来たよ。これが報酬の半分の銀貨9枚と査定額の半分の銀貨15枚な。」
「査定額の半分も貰っていいの!?」
「どうしてだよ?」
「だって水晶鹿の3匹は零夜が討伐して、私は1匹しか討伐してないじゃん、、、。」
「別にいいよ。」
「さすがにパーティメンバーでも貰えないよ!」
「なら俺の宿が決まって無いから、雫が泊まってる宿屋の1泊分奢ってよ。」
「いいよ。1泊銀貨3枚で食事付きだから私が払う金額の方が安いけどね。」
「ちなみに雫が泊まってる宿屋の名前はなんて言うんだ?」
「名前?名前は宿屋『蜜柑』よ。」
「美味しそうだな。」
「一応意味は蜜柑の色の様に暖かい宿屋っていう意味らしいよ。」
「へぇー。」
「零夜、眠いし早く行こう。」
「確かに。俺も疲れた。」
「じゃあ、尚更早く行かなきゃ。」
「だから雫、待てって!」
『今日は追い掛けてばっかりだな』
小さくため息をついて零夜は雫を追い掛けて宿屋「蜜柑」に向かっていった。
〜10分後〜
「ここだよ。」
「意外と大きいな。」
「蜜柑」は木造建築のオシャレな喫茶店の様な見た目だった。
「ノアさんただいま。」
「雫ちゃんお帰り。あら。何、雫ちゃん彼氏?」
「違いますっ!パーティメンバーですっ!」
「あははっ冗談よ。そちらの人も宿泊?」
「はい。とりあえず1週間お願いします。」
「はい。1週間ね。じゃあ銀貨21枚前払いで頂戴します。」
零夜は銀貨18枚を出し残りの3枚を雫が出した。
「あれっ、なんで雫ちゃんが1泊分出してるの?」
「零夜にお礼っていう意味で1泊奢る約束だったので。」
「そうなんだ。じゃあ零夜さんで良かったかしら?」
「はい。」
「この紙に名前を書いてください。」
零夜は紙に名前を書き込みノアさんに渡した。
「如月零夜さんね。これが部屋の鍵、2階の奥の部屋ね。向かい側は雫ちゃんの部屋よ。食事とお風呂は1階ね。 あっ今夕飯食べる?」
「「お願いします。」」
「じゃあ2人とも部屋に行って来てゆっくり休んだ方がいいわよ。10分もしたら降りて来て恐らくその頃には食べれるから。」
「「分かりました。」」
零夜と雫は階段を登って2階に上がり突き当たりの部屋に左右別れて入っていった。部屋の中はベッドや机、椅子等の家具が置いてある思ったより広い部屋だった。それから零夜はベッドに横になった。
〜10分後〜
コンコンコン
「雫。10分位たったよ。」
返事が無い。
「雫?入るぞ。」
零夜が雫の部屋に入ると雫はベッドですやすや眠っていた。
「おい雫。起きろ。」
「んっ零夜?なんで私の部屋にいるの?」
「声掛けても返事しないからだよ。」
「ごめん。眠たくてベッドに入ったら寝ちゃった。」
「とにかく夕飯食べるぞ。」
「そうだね。」
2人は1階の食堂でノアさんの料理を食べ、風呂に入った後、別れを告げ部屋に入るなりベッドに倒れ込み、自分でも驚く程早く眠りについて長い1日が終わった。