#12冒険者の日常2
「なんでこうなるかなー。」
零夜がため息をつきながら見る先には麻痺を食らい、地面に突っ伏している10名の男がいた。
〜数時間前〜
「これで最後だな。」
零夜は簡単な依頼の毒消し草の採取依頼を受けていた。
「早く帰ってもう一個依頼を受けてくるか。でも先に昼飯食ってから行こう。」
〜1時間後〜
「よっしゃ!これで最後だ!」
次に零夜が受けた依頼は霊薬草の採取以来だった。
「はぁ。霊薬草の数少なすぎだろ。」
探索魔法で霊薬草を見つけられても数が少なく、零夜は森の奥深くまで採取しに行っていた。
「んっ?気配がするな。囲まれてる。」
神様がくれた能力のおかげで、いわゆる第六感が覚醒している零夜には気配を消しているつもりでも気づかれてしまう。
「SMG準備しとくか。合成魔法 創造・短機関銃&麻痺」
零夜の手の中にサブマシンガンが現れる。
『創造は同じ詠唱でも、想像の仕方によって作られるのは違うんだな。』
零夜がブレードラット討伐の際に使用したサブマシンガンはクリスのベクター(ヴェクター)という威力の高い.45ACP弾という弾丸を使う大型のサブマシンガンだった。一方、今零夜の持つサブマシンガンはIMIのマイクロUZIというもので拳銃より少し大きい位の大きさでサブマシンガンとしては小さいものだ。その大きさを活かし零夜は体で隠しつつ索敵をするのであった。
『全部で10人。盗賊か?』
「さっさと出て来い。わかってるぞ。」
「チッ。」
10人全員がぞろぞろと零夜を囲むように出てくる。
「お前ら盗賊か?」
「バレてんなら仕方ねえ。そうだ。てことで兄ちゃん、有り金全部置いていきな。あとあんた3人女連れてるだろ。そいつらもだ。」
1人の男がそう言う。
「嫌だと言ったら?」
「こうなる。」
パチンッと男が指を鳴らすと各々の武器を構える。
「そうか。なら、遠慮はいらないな。」
「兄ちゃん。手ぶらってことは魔法使いだろう。詠唱し終わった頃にはこの世に居ないぜ。」
「じゃあ。詠唱のない物理攻撃を使った魔法だったら?」
「何っ?」
男が驚愕の表情を浮かべたその時、零夜が拳銃の早打ちの要領でマイクロUZI抜き、フルオートで連射する。
「手応え無さすぎ。もっと頑張れよ。1人1発しか使ってないから、マガジンに10発余ってるぞ。」
〜そして今に至る〜
「雫たちを渡せって言われてカッとなってやっちゃったけど、どうしよう。」
零夜は少し考える。
「うーん。めんどくさいし、街の警備団の詰所に置いてこよ。」
詰所の近くに転移門を開き、10人全員を詰所の前に積み重ねる。
「君、この男たちはどうしたんだ?」
詰所から警備団員が出てくる。
「魔の森の奥で襲ってきた盗賊です。」
「わかった。この後は任せてくれ。」
「お願いします。」
団員に盗賊達を任せ、零夜はギルドに向かい、以来達成の手続きを済ませてくる。
「やっぱり、男1人に女3人で行動してたら目立つし、反感も買うよなー。」
蜜柑への帰り道、零夜は呟く。
「これが冒険者の日常なのかな。」
そう言っている頃に蜜柑に着いてドアを開けると、ドアベルがチリンっと鳴る。
「あっ零夜、おかえりー。」
「雫、ただいま。」
「零夜さんおかえりなさい。」
「零夜、おかえり。」
「ユイナとアイナも、ただいま。」
いつも通り3人が出迎えてくれる。
「簡単な依頼にするって言ってたのに遅かったね。」
雫が言ってくる。
「ちょっとあってね。」
「何、盗賊にでも襲われた?」
「アイナ、なんで分かるんだよ。」
「えっ、冗談のつもりだったんだけど。」
「冗談を的中させるのが怖い!」
思わず大声が出た。
「あはははは。」
「雫。笑い事じゃないんだぞ。」
「だって零夜の反応が面白いんだもん。」
雫たちが笑っているのを横目に零夜は一旦部屋に戻った。
クリス ベクター
IMI マイクロUZI
どうもyamaneくんです。
毎回言っていますが、今回も遅くなりすいませんでした。m(_ _)m
公道最速伝説の方に使う挿絵を描くのに夢中になっていました。しかもまだできていないという。
次回は「3ヶ月以上更新されていません」とか書かれないように頑張りますので、何卒よろしくお願いします。
ではまた。